これはそれぞれの家庭の考えがあるので、何が正しくて何が間違っているのかを判断することはできない。子育て全般に言えると思うが、結果がどうかということから考えているに過ぎない。

日本では、日本語以外が通じるところなどないし、日本語がたどたどしい人は日本人でないと考える為、いわゆるハーフや帰国子女で日本語が上手く操れない人は「ちょっと残念」という目で見られる。これは日本に限ったことではないが。

 

殆どのハーフや外国生まれや育ちの人は、裕福な国の方に住むことが多く、裕福な国に合わせて育つ。若しくは、将来どこでも働けるように英語を優先する。

 

欧州圏内であれば、どの国が優勢かは難しいのだが、言葉が似ているせいでバイリンガルやトリリンガルのハードルが低い。移住や里帰りなども楽であるから、どの国で学業や仕事をしようが問題ない。

(英国での子育て)

1.赤ちゃん期

様々なバックグラウンドを持つ人が多い英国では、多言語教育を推進している。(普通の英国人は英語しかできないからね)子供が産まれたら、それぞれの言語で話すように言われる。

 

2.幼児期

保育園では話し始める年齢なので、バイリンガルの子(現地語以外の言語家庭含む)の言語疎通の遅れが多くみられる。これは就学年齢の4/5歳でもみられるようだと、スピーチセラピーなどを勧められたり、自閉症の疑いを持たれることもある。学校が始まってから焦ってバイリンガルを休止し、英語(現地語)の勉強を頑張るというのはよく聞く話だ。

嫌な事を嫌と言えないか説明できないかで、口が立たない分、手が出てしまう子供もいる。または上記の問題があると思われて問題児として特別扱いされてしまう。

 

3.学齢期

学校が始まると他人と違う事をイジメの対象とする子がいる。日本人母は、よくお弁当で日本食を作り、それを嫌がる子がいると聞く。最近では日本食ブームでどこでも手に入るようになったので、日本食はヘルシーで高い食べ物と見られるようになっている為、昔ほど嫌がる子は少ないようだ。(特に年齢が上がると)

そういった違いを嫌がり「日本語で話さないで」とか、日本語で聞いても英語で返すなどが始まる。最近ではアニメが人気なので、日本語で見てくれればいいのだが、特に女の子の中にはアニメを嫌う子がいる。

4.青年期

他人との違いが自分の特徴だと気付き、日本語をしっかり勉強しておけばよかったと思い始める時期。勉強していた子は中学(Yr11)や高校(Yr13)で希望して日本語のテストを受ける。していなかった子は大学生になってから少し勉強(一般教養程度)を始める人が多い。また、日本語の勉強を頑張って現地校での成績に影響しては、と様々な場面で(特にテストがある時期に)日本語をあきらめる親は多い。

 

5.  壮年期(親となって)

自分も小さいときからやっておけばよかった、とクオーターの子供に日本語を教えるハーフの人も少数ながらいる。また自分の親が他界するにあたり、日本の家族への連絡や身辺整理をするにあたり、日本語がネックとなり、勉強を始める人もいる。

以上、私が見てきたハーフの人達だが、名前も日本的な名前を付けられている子もいて、日本語で大丈夫だろうと話して「Sorry」と言われたときはショックだった。しかし、彼らもいろんな道を辿ってきているわけだから、頭ごなしに「なんで日本語話さないの?」とか聞かないであげてほしい。

世界的に有名な作家カズオイシグロは、英国育ちの日本人だが、両親とも日本人であるが日本語は上手ではない。もう英国籍であるし、日本語をどこかで見限ったからこそ英語での素晴らしい文学作品を書いている。彼の存在は、バイリンガル子育てのプレッシャーを少し和らげてくれたと思う。