最近「日本に旅行に行きたいのよね」という人が増えた。「行ったことあるよ」という人もチラホラいるのは嬉しいものだ。少し前は「いつか行ってみたい」とか現実味の無い人や「日本ねぇ…」と不安気な人の方が多かったので、テレビで紹介される機会も増えているお陰かと思っている。

 

テレビなどでは、いつもちょっと変な国扱いで紹介されることが多かったせいもある。ロリコン文化や児童ポルノまがい、ロボットや変な人形と暮らす人など、性的におかしく、他人と接することができないところに焦点が当てられ、これは社会のほんの一部だというのに、かなり恥ずかしい思いをする。

それでなくともお爺さんが、アジアなど(主にフィリピンやタイ、アジア以外ではロシアなどの旧ソ連邦が多い)から若い花嫁と再婚、再々婚する(勿論女の子は良い生活を求めて、お爺さんは人生最後、絶対逆らわないピチピチの嫁と良い思いをして死にたい)ものだから、アジア女性といえば、性産業従事者とか貧困から逃れてきた人という偏見を持たれることがある。インドネシア人の友達は、そんな友達に「英国まで来てそんな恰好しない方が良いよ」とか「口紅赤すぎ」とか注意をするそうだ。映画「プリティウーマン」でもジュリアロバーツがしていた恰好と言えばわかるだろうか。

それはさておき、日本に行きたい人が増えたのは、ズバリ「桜」だ。(断言)

 

いつも春に日本に帰国していた私は、その高まりを年々感じていた。飛行機で外人比率が高くなってきていたからだ。しまいには、航空会社は浴衣まで羽織って桜フィーバーを煽っていた。機内でも初老の外人夫婦などが熱心にどこの桜を見に行くか調べていたし、航空会社のチャンネルや雑誌で花見情報をやっていた。友達にも「日本のチェリートゥリーはとてもきれいなんでしょ?」と聞かれたけれど、ここ英国でも最近人気だから、庭に植える人もいるし、近所の国道の一区間は桜並木にしているので結構綺麗なんだけど、と思い、濁した返事をしている。大体、インスタグラムやデジタルイメージで実際よりも幻想的な写真を見ている人が多いせいだと思う。ここでは殆どが日本のソメイヨシノの様に淡い色ではなく、濃いピンク色で艶やかだ。

「桜」というのは、老若男女問わず心を捉える。これは、ただの花でここまで行きたいと思わせるのは、他にチューリップを見にオランダへ、ぐらいしか思いつかない。まあ、イギリス国内ではブルーベル(青スズランーヒヤシンス似)の時期に森を散歩とか、欧州各地でラベンダーを見に行く事はあるかな、という程度だ。

他に日本に行きたい人というのは、それぞれの趣味の範囲か、行ったことないから経験として行っておきたいという人だろう。

 

ただし、食べ物は大変人気が出ていることは違いない。

元来英国人は非常に保守的で、ファッションも家も食べ物もトラディショナルが大好きな人達である。(特に自分たちより劣っていると思う国のそれは眼中にない。同人種と思われるアメリカは進んでいる国なので取り入れるのに抵抗はない)

 

それは今も70-80%の人がそうだと思うが、外に出る人も入ってくる人も増えて、新しい食べ物を「友達が、セレブが食べているから」という理由で試す人が増えてきた。それが照り焼き、寿司、焼きそばうどん、カツカレー、豆腐、ラーメン、餅と徐々にハードルを上げてきた。日本に行けば、それはかなり安く食べられるし、シェフはプロフェッショナルだと聞くと、行ってみたいと思うようだ。

ただし、食べ物の制限を設けている人が多いので「ビーガンだけど、大丈夫か」とか「グルテンフリーはあるか」とか聞かれるのだが、「病気にならない限り、旅行中は気にするな」と言いたい。ふた昔前に日本料理屋に行った時に某日系のお店の社長さんが「ベジタリアンの客を連れてくるので適当に用意してくれる?」と聞いたら若女将が「豆腐やてんぷらでいいですか?あ、お味噌汁ダメですね。ダシですから。」と言うと、社長は「あー、大丈夫、肉が見えてなければ。どうせ大したベジタリアンじゃないから。太ってるし。」と言いたい放題。中には本当にアレルギーという人もいて、食べ物のアレルギーが原因で亡くなった人もいるからいい加減な事は絶対に言えなくなっている。

 

日本に行きたい英国人はとても多いので、暖かく迎えてあげてね!