昔は鴨肉は高級食材だった。
明治時代、宮中の宮内省大膳寮は市川市新浜にわざわざ鴨の養育場を設け、食材だけでなく、捕獲ゲームの外交接待にも供した。
これが新浦安に隣接する市川塩浜駅前の宮内庁鴨場だ。

そうなると富豪の狩猟家が野鴨のジビエ料理を作るほかは、鴨を養鶏場みたいに肥育する農家もなかった。
もちろん子どもの私が肉屋にコロッケを買いに行っても鴨肉はなかった。

函館の五島軒は1989年にご来臨あらせられた上皇陛下、上皇后陛下を鴨カレーで接待した。
私も大宮駅までいって食べに行ったことがある。

天安門事件以降、中国は国営企業が鴨をそれこそ養鶏のスケールを超えて繁殖させ、日本に大量に輸出している。
中国の農村も合鴨、アヒルがいっぱいいる。
この門戸開放が価格破壊を生み出した。
いまはコンビニでも鴨のローストを売っていて、価格も350円程度だったりする。

でも日本には鴨肉の家庭料理は少ない。
業務スーパーが500円で鴨のコンフィを売り出した時も飛びついたが、これも鶏の唐揚みたいには食べられない。

鴨肉は貴重な高級食材だから、鴨汁・鴨蕎麦といったメニューはあるが、家庭料理ではない。

そこでチキンライスのつくりかたで、オリジナルの鴨ライスをつくってみた。

鴨ロースは黒胡椒がけを使う。
ブイヨンとトマトケチャップでは鴨肉の風味に負けるので、発色はビーツとパプリカ粉をつかった。
ちょっとした発明だな。
帝国ホテルのシェフに自慢したい(笑)