なぜ日本人は岩風呂が好きなのか。
もちろん、温泉や露天風呂が嫌いだという人をつかまえて、日本人らしくないと言うつもりはない。
しかし、東京都町田市にある縄文遺跡(田端列石)を見たら、われわれがなぜ岩風呂に癒やされるのか、その理由がわかると思う。
遠く血のDNAが繋がっているだけの縄文時代だが、この岩風呂のような列石は日本人の先祖たちが自然信仰の祈りや祭りを捧げる場だった。
酒に酔い、舞い踊り、失神して眠りこける場所だったと思う。
こういう場所は北海道から沖縄まで、あちこちに点在している。
だから日本人は岩風呂が好きなのだ。
温泉風呂は誰でも全裸になっていい大義名分で、
温泉だけでいいなら、ジェットバスの付いたプラスチックの湯船でいいだろう。
われわれは旧石器時代・縄文時代のように、岩に囲まれて、心まで素っ裸になることで癒やされているのだ。
そこでまた千年が過ぎ、弥生時代や古墳時代にも同じ場所の竪穴が住居だった。
日本人は天皇家も庶民も、旧石器時代の暮らしはほとんど同じ竪穴住居だったのだ。
古事記には一足で上がる宮殿(神武天皇が立ち寄った宇佐神宮の原型)、
板葺きの宮殿(蘇我入鹿を誅殺した大化の改新の現場)という皇居の表現も見られる。
弥生時代になると高床式倉庫が建造され、神社の本殿みたいな建物に寝起きする豪族が生まれたが。
それは一部の人々。
日本人はほとんど床のない住居に藁編みのタタミやゴザを敷いて生きてきたのだ。
もう答えは出ているだろう。