スタジオツアーのホグワーツ城は、USJの
ホグワーツ城と同じではない。
一見すればわかるようにUSJでは塔の数も減らされ、規模も1/3に省略されている。

kakkamax※

HPST(ハリー・ポッタースタジオツアー)について。
私は建設計画の詳細が明らかになったとき、
「オールインワンの常設展示館になる」と断言していたが。
実際その通りの施設だった。

1,ハリー・ポッターのコスプレは奨励される。
外国人観光客も目立ったが。
日本人の多くはホグワーツ魔法魔術学校のコスプレをしていた。

ということは。
マニアが何度も来てスタジオの雰囲気を楽しんでいるように思われた。

つまりハリポタ・ヲタの聖地となっていて、
いわゆるテーマパーク運営ではないという予測通りの結果だった。
2,フォトスポットは多いが。

ハリー・ポッターマニア以外の需要はどれだけあるんだろう。
フォトスポットという考え方は確かにディズニーにもある。
ディズニー初体験の修学旅行でも、ほとんどアトラクションに乗れなくても、学生さんたちが満足デキたのはフォトスポット体験があったからだ。
シンデレラ城は日本最大のフォトスポットで、これはディズニーシーも代替デキない。
HPSTはまさにフォトスポットの聖地。
ハリポタのコスプレなしには成立しない。
つまり私のようなディズニー市民は《1度来たら、それで終わり》ということになる。
博物館の常設展示なのだから。


3,もの珍らしさが先行するうちは魔法が解けないが。

お手本はディズニーだとすると、テーマパーク運営はイベントとお祭りの連続だ。
これはサンリオ・ピューロランドも同じ。
ピューロランドは少ないアトラクションが飽きられて、かなり入場者数が減り、経営危機が続いた。
HPSTも《もの珍しさ》の魔力が消えたら、落ち目のピューロランドと同じになるのではないか。
その点、外国人観光客のハリポタ好きがこの施設のかなりの部分になっているのは納得だ。
ただキャラクターグッズは、一度高額なアイテムを買ってしまえば二度と買わない。
ディズニーはイベントで商品を大幅に入れ替え、新商品祭りをくりかえしている。

アメーバブログのディズニー情報はほとんど新製品のラインナップで。
HPSTはこのような情報告知ブログはない。
4,USJとどうちがうか。

ディズニーで言えば、美女と野獣の城、
お城とアトラクションが一体になったUSJウィザーディング・ハリー・ポッター(WHP)だが。
ホグワーツ城は1/2サイズだ。
マーメイドラグーンのトリトン城のようにフォトスポットにすぎない。

でもアトラクションはよくできているので、いまでも行列が絶えない。
同じ発想がニンテンドー・ワールドだ。
狭い空間にこれでもかとアトラクションを詰め込んでいる。
USJピーチ城は1/2サイズですらない。
しかし、USJのアトラクションは一度乗ったらもう一度乗りたいし、行くたびに乗りたい、乗るためにまたUSJに行きたいと思わせる。
スタジオツアーの巨大模型はUSJホグワーツ城と全くちがう。
これと同じものを作るには、USJの敷地では足りない。
またイギリスの城は最大のドーバー城をはじめ、日本人が理想とする童話イラストとはちがう。
何これ、城なんですかという印象だろう。
イギリス王室の居城ウインザー城もブロック体。
ゴシック様式が多い。
ロマネスク様式の城はない。
11世紀、カノッサの屈辱を頂点とするローマ教皇とドイツ皇帝の対立関係から危機を察したザルツブルク大司教が建設した。
もちろん、ハリー・ポッターのロケーションはイギリスの世界遺産も使われている。
これは歴史的な建造物で、15世紀につくられた。
実際にロケ地になったオックスフォード大学Divinity Schoolの外観は修道院建築である。
城ではない。
  

 


HPSTのホグワーツ城はどうやらポーランドのプラハ城を参考にしたようだ。
イギリスとポーランドは場所も文化もちがう。
またプラハ城はパリのノートルダム寺院のデザインをオマージュして建てられている。

マリー・アントワネットの母マリア・テレジアが大改修し、1848年のウィーン革命で退位したハプスブルク皇帝フェルディナンド1世が居城とした。
これも近代の宮殿だ。
われわれがよく目にするロンドンの壮麗なウエストミンスター宮殿は明治維新の前年、1867年に建設された。
まさに近代の建造物なのだ。
その建設費にはアヘン戦争(1839ー1842)前後に清帝国から強奪された黄金や馬蹄銀が投入された。
 


だからディズニーのピーターパンでも有名なビッグベン・タワーの正式名はヴィクトリア塔だ。魔法の塔じゃない。
ではディズニーのシンデレラ城は何なんだ、ということだが。
これはアニメのSleeping Beautyの設定だから、そのままでいいのだ。
美女と野獣の城も、アレンデール城もアニメーション映画に登場するファンタジーだから、そのままでいい。
アニメにするときに、すでに完全なファンタジー設定になっている。
だから東京ディズニーリゾートは何回も行きたくなるのだ。

好意的にいっても、ホグワーツ城はあまりに設定がバラバラで混乱している。
だから、としまえんのHPSTのマネキン展示会はビジネスライクに言えば5年と持たないと思う。
ロンドンのHPSTはライバルが同じようなマネキン陳列館《マダム・タッソー蝋人形館》だから、観光スポットとして何とかなっているんだろう。