今でもキャストバッジを誇りにしている吉野さん。
京都の女の子にモテモテだろうな(笑)
ディズニーに学ぶ元警察官


京都市内の中心地、三条室町にある欧風カレー「ガーネッシュ」の店主・吉野明彦さんは、少し変わった経歴を持つ。

前職は警察官。京都府警で殺人や強盗事件など凶悪犯罪を担当する捜査一課にも所属して、その後は検視官として働いた。

転身するきっかけになったのは、東日本大震災の2週間後に宮城県石巻市に派遣されたことだった。
遺体の検視のために20人の部下を率いて被災地に入った。50歳の時だ。

そうしたなかで、「自分は人の悲しむ現場でしか仕事をしてこなかった」という思いもあって、「これからは違う人生もありかな」と考えたという。


52歳で京都府警を早期退職する際には、「カレーショップをするので辞めます」と宣言した。
警察官はほとんどの人が定年まで勤めるので周囲は驚くとともに、「そんなバカなことはするな」と言う人もいたが、カレー店をオープンして人の笑顔を作る仕事がしたいという吉野さんの決意は固かった。


顧客対応を学ぶために東京ディズニーシーでほぼ1年間キャストとして働いた。
警察組織はもともと笑いが少ない職場である。
それと対照的な最高峰の顧客サービスを学ぼうと週に5日、入場ゲート近くで主にお客さんを迎える仕事に取り組んだ。
実際に体験して開店後の顧客対応に役立てようと考えたのだ。

東京では、カレー激戦区と言われる神保町をはじめ、1年に200食ぐらいカレーを食べ歩いた。京都に戻ってからは、調理法や衛生管理、品質保持を学ぶため、いくつかのカレー店でアルバイトとして働いた。

祇園祭の曳山《鷹山》にちなんだ名物カレー

 


最後に、警察官の時と現在のカレー店主との違いを聞いた。
自分で決めることができることは何物にも代えがたい。
ストレスは警察官の時と全然違う。
自分でやりたいことがあればぜひ新たな人生に向かって飛び出すべきだ。そう語ってくれた。