2)麻薬の誘惑と芸術性の公認

今回の映画Get Backでは、「気分が悪かったら地下でマリファナを吸ってきな」と事もなげに発言するスタッフが登場する。
また、Get Backの歌詞にも一匹狼気取りのジョジョが「カリフォルニアの草(grass=マリファナ)のためにアリゾナ州ツーソンの家を捨てた」とある。

1967年8月、エプスタイン死去のニュースはインド滞在中のメンバーに届いた。
ディズニープラスがビートルズのメンバーの麻薬常習を隠さなかったのは、歴史の正確さを極める上では英断だった。
アメリカ国内でマリファナ合法化が進みつつある現在地の判断だろう。
 


このマリファナと瞑想のドラッグ・カルチャーに染まったのはジョージ・ハリスン。
ジョンさんはハンブルク時代から覚醒剤の近くにいたが、溺れなかった。
しかし、色彩感覚を覚醒するLSDは一時期常用したようだ。
 


それが昂じてサイケデリック(psychedelic)なアルバム、≪サージェント・ペッパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド≫が登場する。


皮肉なことに、交響楽団伴奏を背景にしたポップスの提案は、クラシック指揮者レナード・バーンスタイン、作曲家アーロン・コープランドも絶賛した。


ピンク・フロイドやキング・クリムゾンの登場にも影響を与えた。



後日談だが、オノ・ヨーコさんと交際したジョンさんは決意してLSDを断った。
それを象徴するのがビートルズのホワイトアルバム(1968年11月)と
ジョン&ヨーコのホワイトアルバム(Wedding Album 1969年10月)。


そこにはドラッグ・カルチャーとの絶縁状という裏メッセージの意味合いが隠れていた。