亀有はマンガの聖地。
ここにもミシュラン掲載のラーメン屋がある。

ミシェラン推薦を取ってからも
店主の白岩蔵人さんがみずから麺を打ち、奥さんはエビ餃子の皮を巻いている。
このスタイルは尊敬せざるをえない。
銀座の[八五]も仕上げは店主だったが、麺は外注だったし、湯きりも店員さんがやっていた。
八丁堀の[七彩]は店員さんが懸命に麺打ちしていたが。
それが普通で、分業は合理的だ。
しかし、白岩さんはすべてをひとりでこなしている。
伝説のミシェランラーメン初デヴューをした[九段斑鳩]のスタッフを七年も勤め上げて、
ついに自前の店に自分なりに考案した稲庭うどんのような《超多加水式》の麺。
スープは金色不如帰と八五より甘味旨味を感じる、しかしあっさりした白湯で。
これこそ「毎日食べても飽きない味」だろうと思う。
これから弟子入りする人もいるだろうが、とにかく店主はラーメンづくりを本当に楽しんでいるようなのだ。


実に見上げた人物だ。
この人はきっと大勝軒の山岸一雄さん、佐野実さんのような神カリスマになるのではないか。
ラーメンも美味しいが、店主にも惚れてしまった。
また行きたいラーメン屋だ。
「お代わりできないのが残念です」と私がいうと、白岩さんは子どものような笑顔を返してくれた。