
エッグ・ベネディクトはいろいろな起源説があるが、1900年頃、ニューヨークでお金持ちのユダヤ人ベネディクトさんのわがままから生み出された料理で。
マンハッタン最高級ホテルのウェルドルフ・アストリアの定番朝食メニューになったものだ。
そこからアメリカ料理の代表格になった。
イングリッシュ・マフィンに焼きベーコンと半熟卵を載せて、
オランデーズソースをかける。
オランデーズはマヨネーズと似ているが、
マヨネーズはオリーブオイル、オランデーズはバターを使うが基本は卵黄とワインビネガーのドレッシングだ。
当然、オランデーズのほうが濃厚で甘くなる。
ニューヨーク証券取引所の近くの老舗レストラン、デルモニコスの料理長に採用されたランホーファー(Charles Ranhofer)の料理だった。
彼は肉用のソースだったマヨネーズを最初に生野菜サラダにつけあわせた天才である。
ニューヨークを訪問したイギリスの文豪チャールズ・ディケンズやマーク・トウェインがオランデーズの料理を激賞したので、
ランホーファーの料理は同時代のフランス料理の大家エスコフィエ(George Auguste Escoffier)にも影響を及ぼした。
しかし、ランホーファーは結局、エッグ・ベネディクトをつくらなかった。
落ちみたいだが(笑)
彼のレシピはディナーレストランのメニューで、朝食は出さなかったからだ。
日本ではハワイの高級ホテルの朝食に多かったので、ハワイ料理だと誤解されているが(笑)
ハワイ発のエッグスンシングスが普及の火付け役になったからだろう。
ベーコンではなく、スパム・ミートをはさんでいるのがハワイ風だ。
エッグスンシングスはワイキキの日系人Fukunaga夫妻が創業したカフェ。
Sarabeth'sはニューヨーク発祥のオリジナル・クラシックを意識した店だ。
ユダヤ系のサラベス・ラヴィーン(Sarabeth Levine)のアッパーウエストサイドにある有名スウィーツカフェが本店。
周辺は映画『ウエストサイド・ストーリー』の舞台。ジョン・レノンの旧宅ダコタハウスやメトロポリタン美術館がある原宿のような市街地。
しかし、日本での経営はハードロックカフェを展開する六本木ロアビルのWDI(カプリチョーザ本社)で、
実はライバルのエッグスンシングス・チェーンの運営もしている。
だから二つの店は基本は同じ仕入れの食材だが、オランデーズソースのレシピだけ微妙にちがう。
ニューヨーク風はリンゴ酢ベースで、
ハワイ風はパパイヤ酢にアボガドオイルだから。
こういうところに横目がいっちゃうのが、うるさい株主オヤジの悪い癖だ(苦笑)










