浦安市の高齢者介護施設《舞浜倶楽部》を経営するスウェーデン出身のストランデルさんが、日本のコロナウイルス対策について賞賛の寄稿を発表された。

全世界で確認された新型コロナウイルスに
よる死亡者数は、5月16日の時点で309,047人
でした。(5月16日www.statista.comより)
このうち日本の死亡者数は725人です。
個々の事例がどれほど悲劇的なものであれ、100万人につき5.73人の死亡率です。
中国に近いこと、ウイルス感染者が初めて見つかってからの期間が比較的長いこと(1月16日から)を考えると、これは奇跡的に低い数字と思われるかもしれません。
定義によると、奇跡とは突然現れるものであり、その理由は説明できないものです。
その意味では、日本の成功は実は奇跡などではないのです。
国際的水準で死亡率を最小限に抑えているのは、世界トップクラスの医療ヘルスケア専門家による科学的なアドバイスに基づいた日本の政策と対応です。
世界で最も進んだ超高齢社会であるところの最大の課題のひとつは、高齢者、特に介護施設の入居者をどうやって守るかということになります。
1月29日に厚生労働省から注意喚起が出されて以後、2月中旬頃までには発熱症状のある介護職員への注意喚起とともに、外部からの面会者制限についての警告が出されました。
私が会長を務める浦安市介護事業者協議会の45社の会員を含む日本全国の介護事業者は、これらの警告に準じた対策を緊急かつ非常に迅速に実施しました。
対照的に、私の母国であるスウェーデンは、4月1日までは面会者に対し制限を課しませんでした。
スウェーデンの対策は、お手本として歓迎されると同時に、潜在的な災害として非難されています。
国は政府・メディア・市民との間の信頼に基づいて、理解を深め対話を維持することにひときわ成功しています。
明治大学の鈴木賢志教授との最近のオンラインセミナーで、それにおける考えうる理由が挙がりました。
2014年にOECD(経済協力開発機構)の26か国
で実施された国際調査によると、スウェーデンでは47.4%の人が政治家を信頼していると述べました。
これに対し、日本の数値は9.3%でした。
しかしながら、100万人あたり360.79人の新型コロナウイルス犠牲者を抱えるスウェーデンの死亡率は、日本と比べて63倍以上です。
2倍、3倍などではなく、63倍です。
日本がこの比率に達したら一体どうなるのか想像もつきません。
今日の日本のテレビチャンネルやソーシャルメディアを見ると、この国が惨事に向かっていると即座に思いこんでしまいます。
しかし、これは真実ではありません。
ここでの最初のメッセージは、日本の63倍もの犠牲者を出しながらも、いかにしてスウェーデンの政府・メディア・市民が新型コロナウイルスへのアプローチに関し賢明な関係を保っているかが、実に印象的であるということです。
第二のメッセージは、日本のリーダーシップに対する期待の度合いがいかに不合理かということです。
ウイルスのクラスターに悩む不幸な病院や老人ホームに対する社会的恥も横行しています。
(中略)
日本はこれまでの成果を誇りに思うべきなのです。
リーダーや政治家達を追及し精査することは、民主主義国家の健全な行動かもしれません。
しかし、現在日本で行われている新型コロナウイルスへの合理的かつ責任あるアプローチに関しても、知るべき時が来たら、それが驚くべき成功であることを皆で認めましょう。
kakkamax※
ストランデルさんの賛辞には率直に感謝を申し上げたい。
しかし、スウェーデンと日本の違いもある。
最も大きな相違点は日本が第二次世界大戦で焦土と化した経験があるからだ。
戦争は純粋な人災だ。
だから現代の日本人はどんな天災にあたっても、愚かな人災による被害の増大をなあなあに許容することは絶対にできない。
阪神淡路大震災のとき、震源地の兵庫県知事は知事公邸で自衛隊の救援を要請するのに半日遅れ、ガス爆発の延焼で数千人が焼き殺された。
東日本大震災のとき、原子力委員会は原子力発電所で水素爆発が起きているのに、「状況がわからない」と大うそを垂れ流した。
津波が襲いかかった漁村で、小学校教頭が海辺に子どもたちを引率して水死させたことをわれわれはまだ憤激している。
責任者が失敗の責任を認めずに逃げ回ったからだ。
今回の新型コロナウイルス対策でも、スポーツクラブやナイトクラブのクラスター感染が確認されてから以後、国民の自粛でほとんどクラスター発生は阻止された。
しかし、遺憾ながら、クラスター感染は老人ホームで発生した。
次に感染者の自宅で家族に感染した。
そして病院の院内感染がまだやむ気配がない。
院内感染を起こした湘南泉病院、聖マリアンナ医科大学横浜西病院の共通点は、平素からクチコミの点数が悪く、病院側に不満や抗議した人びとの意見が目立つ、という事実だ。

病院経営者の過失犯罪だ。
病院関係者がコロナウイルスの危険性に無知だったという理屈は有り得ない。
政治家の決定も最善とはいえない。
アベノマスクは誰がみても失敗であり、愚策だ。
アベノマスクのおかげでマスクが出回ったというのもデマだ。
転売行為を警察が取り締まるといったら、転売屋が投げ売りしただけだ。
専門家会議にも大罪がある。
PCR検査数を抑制して放置した。
竹槍方式の試験管試薬検査法以外は認めずに、各地の保健所に対応を丸投げした。
軽症患者に自宅待機を推奨し、武漢や韓国で設置された隔離施設の必要性を内閣に提言しなかった。
つまり、家庭内隔離で病死した人びと、家庭内クラスターで感染した人びとは専門家会議の不作為と誤断の犠牲になった。
人災なのだ!
感染が終息したのは、全国の開業医が立ち上がり、自治体が財政支援してPCR検査をやり、隔離施設を用意してからだ。
これが成功した日本モデルだ。
安倍内閣や専門家会議の手柄ではない。






