
巨星ウォルトはもういない。
これからのディズニーは若いアニメーターの才能にかかっているのだから、
原画アーティストをきちんと待遇しないと、ライバルに奪われてしまう。
彼らにやる気を無くさせたら、ヒット作品のビジネスチャンスにマイナスだと身に染みている。
だから従来、ウォルト一人の功績だと過大評価されてきたディズニー作品のルーツが批判的に検証されるようになったのだ。
現実的な話をすると、
[夢を壊すからやめてくれ]といわれるかもしれないが。
事実関係を明らかにしないと、成功は永続しない。
神風が吹けばディズニーが儲かるのか?
アップル社の創業者スティーブ・ジョブズさんは、i-pod、i-phone、i-padの開発責任者ではない。彼は経営者。
しかし、開発を指示して製品を生産することを決断した。
ディズニー映画のヒット作品の白雪姫、シンデレラは確かにウォルトの作画ではない。
しかし、アニメーターらは白雪姫の製作過程で、ウォルトに反発をはじめ、シンデレラの製作にものすごい過剰労働が強制されたとき、ストライキまで起こしかけた。
確かにウォルトはひどい独裁者だった。
反抗的な才能あふれたアニメーターの首を容赦なく斬った。

それで白雪姫、シンデレラができた。
ファンタジアができた。
これはウォルトのアイデアを妥協を許さずに押し通した結果だ。
ベートーベンは作曲家だが、やることは指揮とピアノ演奏だけだ。
しかし、作品は彼の独創に間違いない。
巨星ウォルトがいなくなったディズニー本社はカリスマを失って迷走していた。
そこにひょっこり、アップルを追い出されたスティーブ・ジョブズさんがやってきて。
1986年、スーパーコンピューターの3D映像で、
ディズニー映画のリメイクをする提案をもってきた。
こうしてアップル退社組とディズニーの原画アーティストが立ち上げたのがピクサーアニメーション。
ジョブズさんは旧経営陣と対立してディズニーを辞職していたアニメーター、ジョン・ラセターさん(現在、アニメーション部門の最高執行役員)を起用した。
トイストーリー、
ファインディング・ニモ、
先年公開されたプーさんのリメイクをはじめ、
ジブリとの提携、
アナ雪の大ヒット、
ラセターさんのピクサーなくして今日のWD本社はない。
そしてスティーブ・ジョブズなくしてラセターなし。
ワンマンズ・ドリームの伝統はこうして引き継がれていく。
