105 伊勢正三さんと共作〜最後の夜明け〜
「伊勢正三さんにお願いしたらだめですか?」
伊勢さんは事務所の大先輩、大名曲「なごり雪」の作者。
ちなみに初めて買ったアルバムはかぐや姫のライブ版。
ユイのヒロさんに聞いたら、話をつけてくださった。
なんと伊勢正三さんと共作ができることになった。
作詞家をつけるということに説明がつかなかったけど、これなら説明がつく、憧れの先輩とやるのだから。
話は少し前後するが、前に一度四国だったか伊勢さんのワンマンライブがあった。
僕もたまたまラジオか何かのイベントで同じ場所にいたことがある。
そのワンマンライブになんと飛び入りさせてくれたのだ。
ライブ中盤で伊勢さんが「今日はスペシャルゲストをお呼びしています!」なんて言ったもんだから大変、お客さんが風の大久保さんやこうせつさんやイルカさんかと思って大拍手、その大拍手の中で僕がギター持って登場!
でもお客さんはとてもあたたかく迎えてくれたことが本当に嬉しくて、今でもはっきり覚えている。
僕はアルバムに入る予定の「明日になれば」を歌った。
サビの歌詞の「さまーよう、こころー、冷えたからだー」のところで少し間が開く。
その時にお客さんの一人が「ハックション!」とくしゃみをした、あまりの絶妙なタイミングに会場から拍手と笑いがこぼれ、あったかいムードになった。
控室ではギターの話ばかりしていた、何年までのマーチンはこうとか、ギブソンはあーだとか。
伊勢さんはテリー中本さんが作った特注ギターを弾いていた。
「弾いてみなよ、いい音するよ」と僕に特注ギターを弾かせてくれた、深みのあるやさしい音がした。
「あの伊勢正三と二人だけでギター談義をしたんだぜ!」と中学の僕に教えてやりたい、そんなことを思いながらお話していた。
話は戻るが伊勢さんは僕が作ったメロディーに対して二つの詞をつくってくれた。
一つは男の生き様のような詞で、もう一つは恋愛の詞。
「どっちがいい?どっちでもいいよ」と言ってくださったので、ふたつのパターンを歌ってテープにとってみた。
そして「最後の夜明け」が生まれた。
作詞 伊勢正三
作曲 柿島伸次
編曲 西本明
柿島に作詞家をつけませんか?」というあのミーティングはこの最高の形になった(^ ^)。
この場を借りて全ての人にありがとうございました!