89 ロス ナッシュビルレコーディング 全行程を終えて
ミックスが終わったらナッシュビルともお別れだ。
最後マスタリングをやるために僕らはニューヨークへ行く。
ここで佐橋さんは日本へ帰ることになる。
プリプロ から始まり本当に長い間お世話になった。
ミックスしてる間に僕らは時間が空いているのでピアノブースでコードの面白さを教えてもらった。
理論を勉強しなきゃだめだみたいなことは言わない。
佐「なー!こうするとかっこいいだろ」とか「こうやるとオシャレになるんだよ、な!」とかニコニコしながら教えてくれた。
それは上から下へとかじゃなく横から横へだ、楽しさの共有だ。
音楽をもっともっと楽しいものにするために、なにが必要なのかがわかった旅だった。
それは前回のナッシュビルでは体験できなかったことだ。
このレコーディングでは本当に学びが多かった、本当に貴重な体験をさせていただいた。
ナッシュビル最後の夜に佐橋さんの部屋で打ち上げをした。
ビール、バーボン、ワインをたくさん飲んだ気がする。
僕は慣れないワインをおそらくたくさん飲んだと思う。
あれだけお世話になったナッシュビルにフラフラでサヨナラをしてニューヨークへ向かった。
疲れもたまっていたのもあって次の日はものすごい二日酔いになったのは言うまでもない。
ニューヨークの空港についてタクシーに乗ってしばらくして……
か「ストッププリーズ!プリーズ!スタップ!プリーズ!」運転手はなるべく人気の少ないところに止めてくれた。
マンハッタンについてまずやったのが(やってしまったのが)……、アイムソーリーニューヨーク。
アルコールはマジで気をつけないとと思ったことが人生で2回ある、そのうちの1回がこれ。
あと一回はギターのヒロさんの家で、いやぁお酒はあぶない、気をつけます。
マスタリングはファーストの時と同じエンジニアでジョージ・マリノ。
ボンジョビ、メタリカ、ジャーニー、ジョンレノン、スティービーワンダー、ボブディラン、数えられないほどのアーティストのアルバムをマスタリグしている。もうなんて言っていいかわからない、そのジョージ・マリノにやっていただいたのだ。
残念ながら数年前に亡くなってしまった。
レコーディングはマスタリングで決まると言われてるほどマスタリングは大事なんだとわかる。
マスタリング専用の卓があって、ミックスされた音源を聴きながらいろんなつまみをザックリと回す。
いったい何をどうやってるのだろう?パワーが出たり優しく聞こえたり、音の広さ、奥行きなども変わることに驚いた。
全ての工程を終えて日本に帰る時が来た、最初は大勢いたのに最後までいたのは僕を含めて4人くらい、レストランでお疲れ様の乾杯、色々あったが本当に充実した旅立った。
40日間アメリカ大陸にいた感想は……一言では言えない、いや一言にすると「ありがとう」だ。
20代の多感な時期にこの経験が出来たことは宝物だと思っている。
どの時代に何歳で何をやるために、この意味を偶然を大切にしたい。
社会状況、体力、時代、年齢、いろんなもののタイミングがあってそれがある。
1年ずれてたらそれはなかったかもしれないし、あったとしても形が違うかもしれない。
陳腐に聞こえるかもしれないが、やっぱり奇跡なのだと思う。
全てはせっかくのことなのだ。
今この時を大切にしなくちゃ、とあらためて思う。