85 ナッシュビルREC アルバムに入らなかった2曲
このアルバムには収録されなかったが「明日になれば」と「チャリンコと夕陽と野良犬と」をレコーディングした。
「明日になれば」は19歳の時に彼女に受話器越しに歌ったう曲、「チャリンコと夕陽と野良犬と」は長い間弁当配達をしていてできた曲、どちらもデビュー前からずっと歌っている思い出深い曲だった。
「チャリンコと夕陽と野良犬と」は変わったレコーディングをした、地元のブルーグラスバンド「サイドマン」と一緒にナッシュビルの街中で路上ライブレコーディングをしたのだ。
僕が路上ライブ出身ということもあってスタッフの方達が考えてくれた演出だった。
サイドマンのメンバーは10人ぐらいいただろうか?
日本からシンガーがやってきてストリートライブをやるということでいつもより多くのメンバーが集まったらしい。
一度スタジオで顔合わせしてこんな曲ですと音合わせをして街中へ、佐橋さんリードの中録音機材をセッティングしてGO。
セッティングといっても一つ一つの楽器の前におくのではなく、だいたいのこの辺に置くという感じ、もちろんエンジニア中ちゃんが計算してのことだ。
サイドマンの曲の理解の速さに驚く、基本的にナッシュビルのミュージシャンは飲み込みが早い、ナッシュビルチャートでやってるという意味もあるのかな?1.2回リハしてもう本番なんだから、そして2テイクでOK。
通りの名前は覚えてないが隣に川がながれてて、通行人や車がバンバン通るような場所だった。
晴れていたし通行人も足を止めて聴いてくれてがとても楽しくやれた。
今思うと反省点ばかりだ、ブルーグラスを知っていたらもっと楽しかったと思った。
バンジョーやマンドリン、フィドル、ドブロ、瓶のボトルでのベース、南部ならではの楽器満載だ。
僕はケーシーから借りた半音落としたギブソンJ45で歌った、いつものようにやった、いつものようにさらっと、これがこの歌には合ってる。
アメリカの路上で日本でやってた弁当配達のバイトの歌を歌うなんて思いもしていなかったからとても変なかんじだ。
悲哀が出ないというか、カラっとしてるというか、とても独特で面白いテイクが録れたと思っている。
そして「明日になれば」
なんとバンドで演奏、ダグモアのペダルスティールが最高だ。
この歌はピアノ弾き語りでしかやったことのない曲だったから、最初はとまどった。
バンドが跳ねて歌が跳ねてない、とてもカラッとしているのだ、これも悲哀がない。
そうなんだな、悲哀感というのがナッシュビルサウンドから出てこない気がしてる。
暗い方向にいかないサウンド、同じ歌詞同じメロディなのに。
土地柄や気候、人柄や町並みから陽気さが伝わってくる。
ギターの音が湿らない感じ、日本だとギターは湿る感じがある、壁や曇りしきられない広大なイメージがある。
これは味噌汁で生きてる僕の個人的な感想。
この2曲はアルバムには入らなかった。
だがこの2曲は2005年に出た「STARTING OVER SHINJI KAKIJIMA BEST ALBUM」に未発表曲として収録された。
そう、あとで書くことになると思うがこの9年後にベストアルバムを出してくれたのだ。
2曲とも大事な曲なのでとても嬉しかった。