82 とても粋なシステム ミュージックロウ
2回目のナッシュビルレコーディングが始まる。
スタジオに入ってファーストアルバムでお世話になったメンバーを待った、一人づつ時間を開けずに入ってきて一人づつ再会のハグだ、ハグは慣れた、完全に慣れた。
ナッシュビルはミュージックロウという音楽の街がある。
レーベルオフィスやレコーディングスタジオ、ラジオスタジオ、インペグ屋、音楽にまつわるものが集まって一つの街を作ってる、その一区画がミュージクロウと呼ばれている。
ミュージシャンの拘束時間は一回3時間と決まっているから、人気のあるミュージシャンは1日に4つくらいレコーディングスタジオを回れる。スタジオ作業が終わったら夜はライブをやる、そしてまた次の日がやってくる。
ツアーに誘われたら何ヶ月かアメリカ中を回る。
一度ベースのマイケルに誘われてライブを観に行ったらすごかった。
CDをリリースしてるシンガーやミュージシャンがアメリカンバーで普通に歌って演奏してる。
僕が入った店は一つ屋根の下バーエリアとライブエリアに分かれてる、この二つは壁にしきられてなく、腰までくらいの低い塀があるだけだ。だからお店に入ったらライブの音は聴こえる、もっとライブを近くで体感したいと思ったらチャージを払いライブハウスエリアへ行く仕組みだ。
どちらにしろその店に入ったらライブは聴こえるのだ。
なるほど、音楽が愛されるわけだ。
マイケルのライブが終わって街を歩いたら、あちらこちらからライブが聴こえてくる。
なるほど、音楽を愛すわけだ。
誰の耳にも音楽が届く街ナッシュビル。
ある意味きびしい世界だが、みんなそうやって憧れて鍛えて楽しんでるだろうなぁ、素敵な世界。
マイケルのライブが始まる前にバーエリアでストーンズの新譜「Voodoo Lounge」がかかっていた。
ストーンズってこんなにかっこよかったのかと痺れまくった。
カーラジオから流れるトムペティーやCCR、ホテルのモノラルラジオから流れるボブディランやキャロルキング、すべてかっちょいい。
ケ「ここがええよ、しんちゃんなら気に入るはずや」
クラッシックロックしか流れないRidioチャンネルをケーシーから教えてもらった。
人が演奏してる音楽は美しい、躍動感に溢れ魂を揺さぶる。
当時ナッシュビルでしか売ってなかったジェントルマンジャックを飲みながらラジオを聴いてた。
なんでだかわからないけどナッシュビルでは楽器の音質やフレーズ、歌やコーラスがしっかり聴こえる。
地理のせい?気候のせい?地球の謎?なぜだろう?クリアーに聴こえるのだ。
この理由がわかる人がいたらそっと教えて欲しい。
もう一度ここに来れたということが嬉しくてたまらなかった。