76 ロスレコーディング アコギダビング悔しい思い
ロスでのレコーディングはとても刺激的だった。
とても一言では語りつくせないしいまだに謎な部分もあってミステリアスだ。
今日(2023.9.15)のことだが10/27に開催する「Rolling DOWN HOME再現ライブ」のリハをやってきた。
デビュー30周年イヤーということで今まで出してきたアルバムをできるところまで再現しようというライブ。
30年後の「たった一人の俺」だ、止まって確認しようと、何を思って今ここにいるのか、自分は何者か。
リハをやるには少々早いがメンバーのスケジュールがどうしても合わず一ヶ月以上前のリハになった。
あと一回やろうと思う、リハは二回やると俄然よくなる。
なんでもそうだ、二回目からパワーが出てくる。
35回と36回の意味はそうかわらないかもしれないけど、一回と二回の意味は違う。
「Rolling DOWN HOME」のアルバムは面白い。
自分で言うのはなんだが、所々に挑戦がある。
ソングライターとして新しい分野に飛び込んでいった感じ。
緻密にアレンジされたサウンドがとても心地よい。
「Letter」や「TVの向うで」「瞳の中へ」や「木村くんの悲劇」などサウンドをはじめメッセージも今までとは変わってくる。
ギターやピアノのフレーズやリズム、それぞれの楽器の音質を意識するアルバムになった。
ロスレコーディングでは「たった一人の俺」「TVの向うで」「瞳の中へ」「いつか夏の日に」「Letter」「朝が降る夜が来る」の6曲録った。
リースクラーのベースダビングは痺れた、音もフレーズもどうやってるんだろう?
「たった一人の俺」でのアコギダビングの日。
この曲は、この曲だけは自分でアコースティックギターを弾きたかった、どうしても弾きたかった。
ダビング前に佐橋さんに懇願した。
か「この曲は弾かせてください!」
佐「わかった、じゃぁ弾いてみ(ニコニコしながら)」と一回だけ弾かせてくれた、そして自分が弾いたテイクをプレイバック。
佐「な、わかっただろ?バラツキがあるだろ?(ニコニコしながら)」
確かに。
そして佐橋さんが2テイクくらいでバシっと決めた。
この「たった一人の俺」のアコースティックギターはマーチンのOMかOOOだったと思う。
それまで僕はドレットノートしか弾いてこなかった、この曲に小さめのボディのギターを使うなんて想像もしてなかった。
あの時の僕はパワー感を出そうと力んで弾いたと思う、力強くやでかいサイズがパワーじゃないのだ。
ものすごく悔しかったことを今でも忘れない。
あの日から「アコギを鳴らす」ということをすごく意識して生きている、今も。
今までギターの練習はしたことなかったけど、このレコーディングを経験していわゆる練習を始めた。
ギターのストロークやフィンガリング、木(材質)やボディの大きさを意識して弾くようにした。
ギターを鳴らすにはリズム感が必要だ、そのリズムをどう捉えてどう鳴らすか。
このコードで演奏するときにミュートする弦はどこか、アコギを弾くと言うことは実はとても繊細な作業だったのだ。
繊細だからこそパワーが出るのだ、この体験はものすごく刺激になり勉強になった。
今もレコーディングするときにはアコースティックギター選びにはシビアに考えている。
そんなことを今日のリハで思い出した。
各々がリズムとフレーズを大切にすることによってアンサンブルが生まれる。
荒々しく見えても丁寧に。
そしてレコーディングはつづく。