72 驚きのレコーディング計画 ロス、ナッシュビル、ニューヨーク
「ロサンゼルスでレコーディングしようと思うんだけど?」誰が言ったか覚えてない。
「ナッシュビルでもレコーディングしようと思います」誰が言ったんだっけ?
「ニューヨークでマスタリングします」誰かが言ったことは確かだ。
佐橋さんか、ケイさんか、リュウさんの誰かだと思う。
サウンドプロデュースに佐橋佳幸さんをむかえることが決まってからすぐ告げられたと思う。
ロスで半分、ナッシュビルで半分レコーディングをすることが決まった。
かくして40日間のアメリカレコーディングをすることになった。
佐橋さんがロスのミュージシャンと親交があり「だったらこのレコーディングでやりましょーよ!柿島アメリカンロック好きだし!」ということになったらしい(こんな単純じゃないと思うけど)。
佐橋さんは僕がジャクソンブランが大好きと知ってアルバム「Running on Empty」のメンバーを中心に集めてくれようとしてたのだ。
ドラムのラス・カンケルをはじめ、ペダルスティールのデビッド・リンドレー、ダン・ダグモアギターのワディ・ワクテル、ベースのボブ・グロウブ、リー・スクラー、ピアノのクレイグダーギー、コーラスのローズマリー・バトラー、タグ・ヘイウッド、ストリングスはなんとデビットキャンベル、ドブロにジェリー・ダグラスetc.。
日本からはキーボードの柴田さんが一緒に行く予定。
柴田さんと佐橋さんが一番信用してるキーボーディストだ。
ツアーのバンマスでもある柴田さんが一緒だと心強い。
このメンバーで本当にレコーディングが出来るのか?!
ピンとこない、憧れのシンガーのCDクレジットで見てた人達、無理もない。
その前にプリプロだ。
プリプロは佐橋さんと一曲づつギターを持ちながら話し合った。
この曲はこんな風にやりたいんですということを一曲づつ言っていく。
憧れのアーティストのこの曲の感じと具体的に注文を出したりした。
佐「これこのがかっこよくね?」
か「ホントだ!いいですね!」
か「これはトムペティみたいにやりたいんです」
佐「これKeyがGだからワディにテレキャスで5弦のオープンでやってもらおうよ」
か「これはKey高いから、半音落としたいんですけど」と言ったら。
佐「これは絶対Amがいいって、ミュージシャンも盛り上がるよ」。
佐「このサビこっちの方が歌伝わりやすくね?」
か「ほんとだ、こっちで歌ってみます」
か「これは頭打ちのスネアでやりたいんです」
佐「これはやめといた方がいい、そっくりになっちゃうから」
佐橋さんからアイディアがたくさん出てきた、それが頷けるアイディアで曲の姿が想像できるようになる。
西本さんの時と同じようにフレーズは細かく伝えた、こう弾きたいんですと。
こうして全ての曲を話し合い、佐橋さんがアレンジに取り掛かりはじめた。
その間に僕は全国でライブを続けた。