62 仮歌が本チャン 「WINDING ROAD」レコーディング | 柿島伸次オフィシャルブログ powered by Ameba

62 仮歌が本チャン 「WINDING ROAD」レコーディング

シビレテナンボ魂は未だ健在である。

 

作詞や作曲、バンド練習をしてても痺れたら合格だ。

痺れたら出来たも同然、あとは磨くや工夫だ。

 

デビューの決め手になった「WINDING ROAD」を録る時が来た、とうとう来た。

この曲はデモテープでも弾き語りパターン、ヒロさんギターありパターンと色々録ってきた。

ついにバンドでレコーディングする日がきたのだ、信じられない。

 

確かクレッセントスタジオだと思う、ピアノはベーゼンドルファーだった。

スタンウェイやヤマハと比べて重厚な印象がある、あくまでも僕の感想だが。

 

黄昏時、カーテンが揺れる2DKのアパートで作ったあの大好きなピアノフレーズがここで新たに生まれかわる。

メンバーは西本さんの、ギター長田さん、ベースのりさん、ドラム小田原さん「夜明け前に」レコーディングと同じだった。

 

歌い慣れてるWINDING ROADは仮歌を歌うために僕もブースに入った。

リズムRECと同時に歌を歌う、観客がいない生ライブみたいなもの。

 

仮歌はガイドだから、なんていうんだろう、いわゆるガイド歌、あくまでも仮の歌なのだ。

だけどそんなことは関係ない、この環境を味わなくてどうする、シビレテナンボ、感動しながら仮歌を歌った。

最後の歌詞のところで声がひっくり返る、そんなこと関係ない(また言った)、最後まで気持をこめて歌った。

2回くらい歌ったと思う、どっちも同じところで声が枯れた。

 

別日にギターダビングで佐橋佳幸さんがきた。

そのギターソロを聴いたときぶったまげた、おお!これは!

ジャクソンブラウンの「レイトフォーザスカイ」を感じさせるソロ、ストラトから繰り出されるトーンが心をこれでもかと揺さぶる。

 

そしてシンセダビング、シンセは曲を壮大にするのにとても力を発揮する。

目立たないけど新しく考えられたシンセメロが世界を広げ歌のテーマを明確にしていく。

 

かくして最高のオケが出来た、俺はどうやって歌えばいいいんだ!?って。

 

ボーカルレコーディングは別日になって横浜のランドマークスタジオという出来たばかりのスタジオだった。

そこで何テイクも歌ったが僕を含めみんないまいちだった、あの素晴らしいオケにたいしてとってつけた歌になってしまってた。

 

なんでだろう?しっくりこないのは何故だ?正直理由は今もわからない。

そこでケイさんからの大提案が……

 

ケイ「あの仮歌でいきませんか?」とにっこりした顔で言う。

 

仮歌は感動しながら歌えたけど最後の場面で声が枯れてひっくり返ってる。

仮歌のどのテイクも同じところで声が枯れてる、差し替えも出来ない。

それでもケイさんはじめみんなはいいと言ってくれた、というかあの仮歌がいいと言ってくれた。

 

 

「よくこれ出したよね、ビックリしたよ」ファーストアルバムを聴いてくれた時ジョージの言葉を思い出す。

バンドと一緒に歌った仮歌をいいと言ってそれを本チャンにしようと言ってくれたスタッフのみなさんが本当に嬉しかった。

 

かくしてアルバム「夜明け前」の「WINDING ROAD」のボーカルは仮歌テイクが収録されている。