48 作詞 メチャクチャ英語との戦い | 柿島伸次オフィシャルブログ powered by Ameba

48 作詞 メチャクチャ英語との戦い

当時の作詞作業はノートに手書きだった、パソコンはまだ出てない(出てるかもしれないがもちろん持ってない)。

ワープロは販売されてたが持ってない、どちらにしろ持ってない。

 

2年後くらいに作詞家の松本一起さんにお会いした時「僕はねワープロで書いてるの、ワープロで書くと文章を移動できるでしょ、文章が入れ替わるだけで全然印象変わったりするんだよね、柿島君もワープロ使いなよ」っておっしゃってた。

今は作詞する時はWardを使って書いてる、作詞をする時に松本一起さんの言葉を思いだす。

 

氷丸めるマンもやめてたから(クビになったから)一日中家にいる。

「よっしゃー!作詞し放題だー!」という感じにはならなかった(笑)。

「君は詞がもう少しかなぁ」タレント社長の一言が意外と離れていない、きにしいの僕。

 

ギターを弾きながら、ピアノを弾きながら、自分の作ったオケを聴きながら、鼻歌だったり色々な方法でチャレンジした。

「チクショー!かっこいいのになぁ、ここに歌詞が入ったらなぁー」。

 

ある時なんどもナッシュビルに送ったテープを聴きながら気づいた。

あのメチャクチャ英語がジャマをしていたのだ。

英語独特の発音(英語みたいに聞こえる言葉)が歌の世界をアメリカにしてしまうのだ。

意味のわかんないメチャクチャな言葉を暗記してしまって、サウンドだけに酔っていたのだ。

 

これはデモテープの罠で、歌詞のついていない曲で盛り上がっちゃいけない、いや盛り上がっていいんだけど盛り上がりすぎちゃいけないのだ。「アメリカに行くぞー!」という異様な盛り上がり中、あのノリユキ魂をすっかり忘れていた。

 

メチャクチャ英語で曲を作る人は多いと聞く「あの人もメチャクチャ英語で作ってるよ」とリュウさんから聞いたことがある。

それは音楽を選ぶ、そういう方達は出来上がった曲も日本語なんだけど英語っぽく聴こえる、それがカッコいい。

 

でも自分はタイプが違うのだ、それが身にしみた。

メチャクチャ英語をミュートして一回忘れ、メロディーをピアノで録音、それに日本語の歌詞をのせていった。

この脳内変換は大変だったけどさすが納豆大好き日本人、しだいに慣れていった。

ちなみに今は詞曲同時か作詞が先のことが多い、この方法になったのは30代後半からだ。

 

かくして2DKのボロアパートでファーストアルバムの曲を作った。

いろんな紙に書いた歌詞をまとめて手書きで清書する、1曲だけ最後まで書けなかったのは……後で考えればいい。