41 いつか夏の日に TVの向うで
ユイ音楽工房のオーディションに落ちてから数ヶ月くらいたっただろうか、ケイさんがまたデモテープを録ってくれた。
本当にありがたい、またスタジオで録音できる、新しい曲も聴いてもらいたかった。
このあたりの楽曲からサウンド的にフレーズやリフでつくることをしだした。
印象的なフレーズを繰り返してその中にメロディーを入れてく方法。
サイモン&ガーファンクルのスカボロフェアーのように7カポでCでプレイする。
これは洋楽っぽく聴こえて自分ではとても気に入ってた。
当時ウィルティマッシーというアーティストのCDを聴いてた。
ハイカポのアルペジオの曲で指先が弦にふれる音まで聴こえた。
この雰囲気を出したいなぁ、そう思って夜中にアパートでアルペジオでギターを弾いて作った。
この曲は「いつか夏の日に」というタイトルになった。
そして初めてシャッフルのリズムを取り入れた曲も作った。
この頃世界では湾岸戦争が起きていた、この時代にまさか戦争がおきるなんて嘘だろ?
戦争なんて古いものだろ?みんな反省したんじゃなかったのか?
テレビは連日戦争を流す、それはリアリティを感じなかった。
爆弾を落としてるのにそれはまるで花火のように見えて皮肉に綺麗に映った。
遠い国で起きてる現実にどうすればいいのか?という悩みと迷いと怒りがゴチャゴチャになってまとまらない。
Amのシャッフルはそのコードを弾いてるだけで悩みと迷いと怒りの世界が見えてきた。
そしてこの曲からバンドサウンドもイメージできるようなってきた。
毎日流れるニュースをみながら「テレビの向こう側」という曲を作った。
後に「TVの向うで」というタイトルになった。
この新しいタイプの2曲を聴いてくれてケイさんは喜んでくれたと当時感じた。
「こうしたらいい、こうしたほうがかっこいい」と今まで以上に意見を言ってきてくれた。
「いつか夏の日に」はアパートで大き音が出せなかったから生まれた曲。
「TVの向うで」は湾岸戦争のショックから生まれた曲。
環境や社会が歌を作っていくんだなぁとその時も感じたし、今も痛切に感じている。
この二つの曲数は数年たって3rdアルバム「Rolling DOWN HOME」に収録された。