16 その一夜で決めた 関内7thアベニュー | 柿島伸次オフィシャルブログ powered by Ameba

16 その一夜で決めた 関内7thアベニュー

「スクールウォーズ」の自分の出番が終わり撮影が終わった。

マクドナルドでバイドしながら次のオーディションを待つ生活。


劇団で舞台もやったけど本当に大変だった。

週5日飯田橋まで通って稽古、2,000円のチケットノルマを50枚、本番は2日間2時間の芝居。

時々一言二言セリフがあるテレビの仕事が来たけど心は踊らなかった。

 

あれ?俺は役者になりたいんじゃなかったのか?

 

ある日父が新聞の記事を見て……

 

「北海道に無名塾っていう劇団があるんだってさ、仲代達矢がつくった劇団で無料らしいよ。役所広司っていう役者がすごくいいんだって。伸次も北海道いってオーディション受けてみれば?」

 

ワクワクしない。

あれ?俺は役者になりたいんじゃなかったのか?

 

パンの耳だけしか食えなくても、それでもやりたいことが本当のやりたいことだ、父がよく言っていた言葉だ。

パンの耳だけしか食えなくても、それを続けてやりたいとは思わなかった。

 

俺は本当は何がやりたいんだ?

 

前にも書いたけど平行してバンドをやっていた。

東横線の日吉にあるヤマハのスタジオで練習してた。

 

そこでお世話になっていたヤマハのモロさんに……

「関内に新しいライブハウスができるんだけど、君達のバンドでサウンドチェックしてくれないかな?」と声をかけられた。

無料で音が出せるのは嬉しい、弾き語りと違ってバンド練習はお金がかかるのだ昔も今も。

 

喜んでライブハウス「関内7thアベニュー」にサウンドチェックバンドとして行った。

モロさんは喜んでくれて……

「今度ここでライブやってみない?いいよーライブハウスでライブ」と言って声をかけてくれた。

 

「やらせてください!」初ライブハウスだ。

 

7曲やったと思う、自作曲をバンドやった。

先に感想を言っちゃおう、こんなに素敵なことってあるんだ!

自分の想いをメロディーにのせて歌うことで、こんなにも気持が自由になるなんて。

一言で言うと心の解放、なんてドラマチックでロマンチックなんだとめちゃくちゃ感動した。

 

芝居は2時間で一つの物語、歌はせいぜい5分以内で一つの物語、7曲だから7つの物語を音楽にのせて表現できる、これが僕にとってはよかった、うまく言えないけど音楽と馬があった、これがいい!これからこれをやりたい!

パンの耳だけしか食えなくても、全然平気だ。

 

数日後に劇団をやめた、4年もやってもったいないという友人もいたが未練とかない、未練というほど夢中じゃなかったんだな。

大好きなギターやピアノを弾きたい、歌を作っていきたい、シンガーソングライターでデビューしたいこれが新しい人生の目標になった。

 

19歳、こっからが本番、音楽人生がスタートした。