遺言・相続専門行政書士の掛谷章です。

 

これからしばらくの間は、相続税について述べたいと思います。

 

今日からは、相続税額を計算するにあたって必要となる、相続財産の評価について述べたいと思います。今日は、「個人年金など定期金の評価」についてです。

 

(注)わかりやすさを優先するため、必ずしも法律の規定どおり厳密な記述になっているとは限りません。

 

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1.個人年金などの定期金は相続財産とみなされる

 

個人年金のように、掛け金を払い込み、一定年齢に達すると定められた期間または終身にわたって現金を受け取れる権利を定期金給付契約に関する権利といいます。

 

例えば、故人(被相続人)が保険会社と契約をしていて、自分が亡くなったら妻に1年間に100万円ずつ10年にわたって保険がおりる契約を結んでいたとします。この場合、10年経てばその妻は、100万円×10年=1000万円を受け取れることになります。

 

この場合のように1000万円を10年にわたって受け取るのと、一括で受け取るのとでは経済的価値が違ってくるので、相続税を算定するうえでの評価も違ってきます。

 

故人が掛け金を負担していた場合、この定期金(個人年金など)はみなし相続財産とされ、相続税の対象となります。

 

この定期金の評価方法は、定期金の種類や、定期金を支給する事由が発生していたかどうかによって異なります。

 

 

2.定期金の支給事由が発生していた場合

 

(1)有期定期金

 

給付期間の定めのある定期金で、例えば、年100万円を10年にわたって受け取れるといった定期金です。「10年」などと期間が決まっているのがポイントです。次の①~③のうち、一番多い金額で評価します。

 

①解約返戻金の金額

②一時金の金額(定期金のかわりに一括で受け取ることができる場合)

③1年あたりの平均額×残存期間に応じた予定利率による複利年金原価率

 

③について、予定利率は保険会社などに確認しましょう。複利年金原価率とは、一定の金銭に対して、それを定期的に積み立てて一定の利回りで複利運用することが終了した場合の総額の現在価値を求める率のことです。

 

有期定期金の評価については、次の国税庁のサイトで自動計算できますので活用しましょう。

 

●有期定期金に関する権利の自動計算(国税庁)

https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/nofu-shomei/teikikin/yuukiteiki.html

 

 

(2)無期定期金

 

給付期間のない定期金で、永久に定期金を受け取れる権利ですが、現実にはほとんどありません。次の①~③のうち、一番多い金額で評価します。

 

①解約返戻金の金額

②一時金の金額(定期金のかわりに一括で受け取ることができる場合)

③1年あたりの平均額×予定利率

 

無期定期金の評価については、次の国税庁のサイトで自動計算できますので活用しましょう。

 

●無期定期金に関する権利の自動計算(国税庁)

https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/nofu-shomei/teikikin/mukiteiki.html

 

 

(3)終身定期金

 

亡くなるまでの間、定期金を受け取れるもので、いわゆる「終身年金」といった保険商品がこれに該当します。次の①~③のうち、一番多い金額で評価します。

 

①解約返戻金の金額

②一時金の金額(定期金のかわりに一括で受け取ることができる場合)

③1年あたりの平均額×残存期間に応じた予定利率による複利年金原価率

 

終身定期金の評価については、次の国税庁のサイトで自動計算できますので活用しましょう。

 

●終身定期金に関する権利の自動計算(国税庁)

https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/nofu-shomei/teikikin/shusinteiki.html

 

 

(4)期間付き終身定期金

 

期間付き終身定期金とは、一定期間、かつ給付対象者が生存中に限り定期金を受け取れるものです。例えば、保険契約者が故人(被相続人)Aさんで「被保険者である妻Bさんが60歳になったら10年間定期金を支払います。ただし、妻Bさんが亡くなった時点で定期金の支給は終わりです」といったものです。

 

期間付き終身定期金は、上記(1)の有期定期金として算出した金額と、上記(3)の終身定期金として算出した金額のどちらか少ない方の金額で評価します。

 

なお、相続の場面では、被保険者(定期金の給付対象者)が故人以外である場合にだけ評価の対象となります(被保険者=故人であれば、相続人は何ももらえないので)。

 

期間付き終身定期金の評価については、次の国税庁のサイトで自動計算できますので活用しましょう。「(1) 次のいずれかを選択してください。」では、「①権利者に対し、一定期間、かつ、定期金給付契約の目的とされた者の生存中定期金を給付する契約に基づくもの」を選択してください。

 

●期間付き終身定期金に関する権利の自動計算(国税庁)

https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/nofu-shomei/teikikin/sonota.html

 

 

(5)保証期間付き終身定期金

 

保証期間付き終身定期金とは、保証期間中は、給付対象者が死亡しても権利を受け継いだ人に対して定期金を給付するものです。例えば、保険契約者が故人(被相続人)Aさんで「Aさんが生存中はAさんに定期金を支払います。ただし、支払い期間より一定期間内にAさんが亡くなった場合は、その一定期間のうち残存期間は、Aさんの遺族(継続受取人)Bさんに定期金を払い続けます」といったものです。

 

保証期間付き終身定期金は、上記(1)の有期定期金として算出した金額と、上記(3)の終身

定期金として算出した金額のどちらか多い方の金額で評価します。

 

保証期間付き終身定期金の評価については、次の国税庁のサイトで自動計算できますので活用しましょう。「(1) 次のいずれかを選択してください。」では、「②期金給付契約の目的とされた者の生存中定期金を給付し、かつ、その者が死亡したときはその権利者又はその遺族等に、定期金を給付する契約に基づくもの」を選択してください。

 

●期間付き終身定期金に関する権利の自動計算(国税庁)

https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/nofu-shomei/teikikin/sonota.html

 

 

3.支給事由が発生していない場合

 

相続開始日(被相続人が亡くなった日)に、まだ定期金給付の自由が発生していない定期金給付契約の権利の評価方法は、基本的には解約返戻金の金額で評価します。

 

 

4.平成22年の法改正で以前の有利な評価方法が使えなくなっている

 

平成22年に、定期金に関する相続税法の規定が改正されました。改正前は、今回説明したような分割で受け取る定期金の相続税評価が不合理に低く評価されていたことにより、相続対策として法律の規定を逆手に取った保険商品が数多く出回っていました。ですので、平成22年より前に相続税対策になるからといって加入した保険商品が現在ではまったく相続対策になっていないというケースも想定されますので注意が必要です。

 

 

 

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⇒京都大学法学部卒業

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