こんにちは。
いつも応援ありがとうございます、わたなべです。
今日は昨日の記事の続きです。
2024年5月25日(土)12:00
捕獲作業の翌日、猫にゃんネットワーク府中 の代表さんから電話があった。
病院で前日に捕獲した母猫を診てもらったら、乳頭が2箇所吸った形跡があり、でもそんなに腫れている訳では無い。
もしかしたら
・子猫が2匹産まれて育ってもうお乳は卒業している
・まだお乳を強く吸えないほど小さい子猫が2匹どこかに居る
・息子たち2匹が餌やりする人がいなかった期間に餓死を防ぐためお乳を飲んでいた
どれかの可能性があるとのこと。
あのごみと荷物が混ざった山の中に居たのかもしれない。
「あの山、解体してどかしていいですか?」
すぐにお湯を沸かし、熱湯に耐えられるボトルに入れ、シリンジ、哺乳瓶、カロリーエース、a/d缶、ビニール袋、ウェットティッシュ、ニトリル手袋、長靴、不織布マスク、懐中電灯…ああ、こんな時に限って子猫用のミルクが無い。
必要なものを片っ端からリュックに詰め込み、現場に出発。
母も休みだったのでホームセンターで子猫用のミルクを買ってから来てもらうことに。
現場に到着。
昨日ブンブンしていた虫たちがいない。
歓迎されているのか…
子猫を助けてほしいのか…
また失礼しますと頭を下げ、ニトリル手袋を二重に付け、長靴を履き、ごみと荷物が混ざった山の元へ走る。
ビニールシートを剥ぐと、大量のアリ、シロアリ、ゴキブリ、コバエ、ウジが一斉に飛び出してくる。
下の方の荷物というか紙類は、もう半分ダンゴムシや微生物等の分解者によって土になっていた。自然の力は偉大だ。
荷物の山が崩れたら子猫を押し潰しかねない。
一番上からなるべく急いでなるべく慎重に荷物を退かし、下に掘り進めていく。
いろんなものが出てくる。
母が到着。
2人で虫や塵にまみれながら掘り進める。
するとダンボールをめくった瞬間に何かがバラバラと音を立てて崩れた。
なんだろうと目を向けると猫の頭蓋骨と肩甲骨と大腿骨が…
真っ白でしっかり頭蓋骨にくっついた歯を見る限り、まだ若かったように見えるがどうなんだろう。
下顎やあばら骨も出てきて、辺りにある細かい骨と思しきものを手ですくって、とりあえずダンボールに入れて端っこに避難させる。
ボロボロの首輪も3本出てきた。
こちらも避難させる。
カビやらなんやら胞子とホコリがすごくてむせかえりながら作業を進める。
ちょうど猫にゃんの代表さんが病院から帰ってきたので、一緒にめちゃくちゃになった荷物の山を整理しつつ子猫を探す。
そこに自治会の会長さんがいらして、挨拶し状況を説明。
差し入れにコーヒーとチョコをいただいた。
明らかに猫のおしっこの匂いがするポイントが2つあった。
1つはごみと荷物が混ざった山の中の一番奥のダンボールの上。
ここは母猫と息子たちがよく居た場所だそうだ。
もう1つは倉庫の裏の捕まえられた野鳥が食われた形跡がある羽と血とウジにまみれた床の下の空間。
這いつくばって探したがどちらにも猫は居なかった。
ご遺体すら見つけられなかった。
仕方がないので、夜暗くなってから、捕獲した母猫を放して、子猫を探してもらうことにした。
せっかく捕まえたのに…子猫が居たら一刻を争うのに…無念でならない。
帰宅して夜ご飯をかき込んでまた現場に向かう。
代表さんが母猫を放つ。
母猫は子猫を大きな声で呼んで辺りをウロウロ。
どの子猫を呼んでいるのだ?
息子たちか?
はたまたどこかで生まれているのか?
しばらくウロウロした後、ご飯にありついた。
そしてまた子猫を呼ぶ。
恐らく「もう自力でご飯を食べにきてほしい」の声だ。
母猫も体力的に限界なんだろう。
私はどこかに生まれたばかりの子猫がいる気がして、その場に立ちすくんで耳を澄ませた。
しかし子猫は現れない。鳴きもしない。
母猫はまた辺りをウロウロしながら子猫を呼び続ける。
代表さんは息子たちを母猫が呼んでいるように見えるそうで、私は生まれたばかりの子猫を呼んでいるように思えた。
私たちを子猫から遠ざけたいからずっと辺りをウロウロしているのかもしれない。
だとしたら私たちが帰らないとお乳をあげられない。
このままでは夜が更けるだけなので、一旦帰って、一晩経った翌日の母猫の行動を見て判断することに。
2024年5月26日(日)10:00
ご近所さんの話だと、母猫は一晩中鳴きながら子猫を探していたようだ。
やはり息子たちを探していたのだろうか。
それとも子猫のご遺体をご遺体と認識出来ずに何度も通り過ぎたのだろうか。
もしどこかにご遺体があるなら連れて帰って火葬したい…せめてもの償いとして…
諦めがつかない私はご近所さんと自治会長さんに協力していただいて、子猫が居そうなところを隅々まで探した。
だが見つからなかった。
まだ諦めがつかない半泣きの私を猫にゃんの代表さんが呼び戻した。
「子猫は居なかったものとして考えよう。恐らくお乳を飲んでいたのは息子たちだ。」
頭痛がして足がふらふらし始めた。
諦めて母猫を捕獲し、帰ることにした。
その後、代表さんが「息子がケージ内でお乳を飲んでいた!」と報告を上げてくれたが。
どの時点だったら助けられたのだろうと、今でも考えてしまう。
もし死産でお乳が出てそれを息子たちが飲んでいたとしても…それでも私は諦めがつかない。
妊娠と出産は猫にとって命懸けなのだ。
なぜ家主の生前、行政が介入していたのにそれが防げなかった?
なぜ?なぜ…
昨日はありがとうと言えたお家に、その日はお邪魔しましたとしか言えなかった。
許せなかった。
避妊去勢を拒否してたくさんの猫を産ませ、たくさん死なせてきた家主も。
猫がそんな状態なのに横のつながりで猫のボランティアに介入させなかった行政も。
子猫を ご遺体を 見つけられなかった自分も…
その日は米津玄師の「地球儀」を聴きながらオイオイ泣いた。
僕が生まれた日の空は高く遠く晴れ渡っていた
行っておいでと背中を撫でる声を聞いたあの日
僕が愛したあの人は誰も知らないところへ行った
あの日のままの優しい顔で今もどこか遠く
泣いたってどうしようもなかった。
でも私には泣くしか手段が無かったのだ。
こうして3日間に渡る捕獲&捜索作業が終わった。
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