伊達公子選手や福原愛選手のトレーナーをされている中野ジェームズ修一氏のセミナーが先週金曜日にあり、とても勉強になりましたので簡単に紹介させていただきます。

アメリカで学ばれた心理学をベースに、クライアントのやる気とモチベーションを上げていく指導で定評がある、日本を代表するトレーナーです。

セミナーのテーマは「ランニング指導における体幹エクササイズ」

ランニング系のセミナーは少なく、特に長距離はほとんどないので、大変楽しみにしていました。

中野氏は、ランナー出身ではありませんが、ランナーの気持ちや目線に立って指導するためにも自らトレーニングを積んで、フルマラソン6度完走し、今ではサブスリーを狙えるタイムをお持ちです。

体幹のスペシャリストとして、ランニングをどうご自分のトレーニングに取り入れて、指導に繋げているのかとても興味がありました。

マラソンのトレーニングは、「走る」という単純な運動を長時間、特定の筋肉と関節の反復動作を行う競技ですから、心肺機能や筋持久力のフィジカル面の強化と共に、長い時間、長い期間に渡って「走る」という単純動作を飽きずに続けられるメンタル面にアプローチしながら、負担をかけずにリラックスした状態でトレーニング効率を高めていく方法を大切にされています。

マラソンを長年やっている人間からすると当たり前のことかも知れませんが、マラソン未経験者にとってみれば、大きな障壁になるような問題です。

例えば、30キロ走を行うとすれば、3~4時間走り続けなければなりません。それに耐えうるプレッシャーや筋肉や関節への負担や痛みへの不安などといった緊張や不安による過剰なストレスをどのように取り除いていくかということです。

いかにモチベーションを維持して、やる気を引き出していくか、最終的には自分でコントロールできることが必要だと思いますが、トレーナーがその役割を果たしてサポートしていくことが出来ることは大切かもしれません。

さらに、フィジカル面でのトレーニングにおいても体幹(コア)の機能を発揮しやすくするためには、筋肉を意識的に脱力と緊張を切り替えることができること、特に四肢(手、脚)の緊張を取らないとコア(体幹)をうまく引き出すことができないと言われています。

トップアスリートはその能力にとても優れているそうです。

そこで無理なく脱力できる方法として、ジェイコブセンの「漸進的筋弛緩法」という方法を提案されていました。

筋肉を意識的に緊張させると、そのあと脱力しやすくなるという体の仕組みを取り入れた方法で、もともとストレスやメンタルの心理療法を兼ね備えた方法です。

ランニング中でも行うことのできる方法ということで、無理なくリラックスしたフォーム作りやコアをうまく使える体になっていけば、ケガの予防にもつながります。

このように発想やアプローチを変えることで相手の力を発揮しやすくできるものとして、とても参考になり、いいヒントを得ることができました。

いいと思ったことは自分で試してみて、感じてみて、そして納得できるものを伝えていきたいと思います。

貴重なお話しをしてくださった、中野氏に感謝したいと思います。