田島ヶ原サクラソウ自生地は、国の特別天然記念物に指定されています。サクラ ソウは日本全国の原野に分布しますが、群落として見られることは稀です。植物の群落や自生地は、微妙な自然環境のバランス中で成り立ちますが、大都市近郊 でこのような環境が守られていることは、極めて貴重なことといえます。次に、さいたま市教育委員会の案内文を引用します。
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サ クラソウノの群生する田島ヶ原は、わが国で初めて天然記念物に指定された由緒ある場所です。広さは第一次指定地と第二次指定地とを合わせて約4.12ha あり、そこに100万株以上とも言われるサクラソウと、250種余りの野草が育成する国内最大規模のサクラソウ自生地です。
サクラソウ育成地は、冷涼な気候の山地や高原に多く、ここ荒川低地のように標高の低い温暖地に大群落を発生させている例は少ないのです。田島ヶ原は夏・秋には人の背丈を超すオギやヨシが茂る原野になり ます。昔、人々はそのオギやヨシを茅葺屋根や葦簀に使うため、冬に刈り取ったので、春には地面に日差しが良く当 たりました。このことが、春から初夏に日差しを受けて育つサクラソウとうまく一致して、大繁殖したのです。現在は、火入れや刈り払いを行い、春に地面に日 差しが当たるように管理しています。
かつて荒川流域にあった多くのサクラソウは自生地が、開発などで失われた今日、大都市近郊に往時の姿を留めて残っていることは奇跡ともいえます。また、江戸時代には荒川流域のサクラソウを原種として、多彩な園芸品種が育てられました。その遺伝情報を田島ヶ原のサクラソウは保持しているのです。
以上の理由で、「田島ヶ原サクラソウ自生地」は、世界的にも貴重な存在となっています。
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田島ヶ原では4月のサクラソウ開花時期にあわせて「サクラソウWeeks」が開催されています。ここは、サクラソウばかりではなく、野草の宝庫となっています。他の野草も楽しんでください。


 上 : 田島ヶ原サクラソウ自生地

 中上 : サクラソウ

 中中 : ヒノカサ(絶滅危惧種)

 中下 : アマドコロ

 下 : ノウルシ(準絶滅危惧種)
 撮影日:2015年04月16日
 
 地図
 さいたま市田島ケ原サクラソウ自生地
 

2015-04-20