数日、一緒に過ごしてあることに気づいた。

友梨奈の親に何も言ってない。


「友梨奈、そろそろ言わなきゃいけないと思うんだ」


『何を?』


「こうやって私と住んでること」


『ああ、言わなくていいよ。本当の親じゃないし、私の事なんかストレスが溜まったら殴れる特別必要なやつじゃないから』


でも言いに行こうとは言えなかった。


もうひとつ気づいたことがある。

頼んだ覚えのない宅配が来るようになったことだ。


友梨奈に聞いてみると、


『私が頼んでた。何も言ってなくてごめんなさい』


素直に謝ったので良しとした。

中身を確認するのは良くないと思ったからだ。


友梨奈はバイトをして家賃などを私に渡す。

私もはたらているので、家が空いている時はしょっちゅうある。



一緒に過ごしてから3ヶ月がたった。

お互いに勝手はわかってきて、喧嘩は今のとこない。


友梨奈からの願いで久しぶりに一緒に風呂に入った。



『あの時、私を連れてってくれてありがとう』


「助けたいと思ってたから礼なんていらないよ」


『でも嬉しかったから…』


私だって嬉しかった。

1人は寂しかった。

だから2人になって、楽しかったし、毎日が充実していた。


『だからさ、もっと一緒に居たい』


「えっ」


友梨奈は満面の笑みで私の首を絞め、湯船に沈めた。


私は為す術なく、水の中から友梨奈を眺めるしかなかった。






目が覚めると、私はベットに横たわっていた。

最後に見た記憶しか思い出せず、楽しかったはずの記憶はぼやけている。


「生きてたんだ…」


起き上がろう。そして友梨奈と話をしよう。


そう思って体を起こし、床に足をつけようとした。



ガシャンッ



顔から床に落ちた。

訳もわからず足元をみると、手錠でフットボードに繋がれていた。

フットボードが柵上になっていたことを今になって悔いた。


「スマホ…」


ベットのすぐ横にあるテーブルの上に私のスマホが置いてあった。


何とか手を伸ばして取った。


時刻は15時ちょうど。

記憶がある日から3日が過ぎていた。


確か、今は友梨奈はいないはず。

どうにかしてこの手錠を取らないと。


何度もフットボードに足をぶつける。

ぶつけたところが赤くなって痛い。

手錠はビクともしない。


どうしようもなく天井を眺めている内に寝てしまった。





どのくらい寝てただろう、窓から入る光はオレンジ色だった。



ガチャ



「理佐さーん、そろそろ起きました?」


友梨奈が、帰ってきた。

体が強ばるのを感じた。


理佐のいる部屋のドアは閉まっている。

心の準備をする時間はあった。


「理佐さーん、お、起きてたんですね。心配したんですよ?3日も目覚めてくれないので」


『友梨奈、これ何?』


『手錠ですか?手錠なのに足につけるって面白いですよね。我ながら馬鹿だと思います』


そう言って友梨奈は声を出して笑った。


「そうじゃない。この状況は何って聞いてるの」


少し強めに言った。


『理佐さんが私から離れないようにしたんですよ』


「こんなことしなくたって離れないよ」


『私ろくな教育受けてないんです。だから愛情はこうやって伝えるしかないんです。理佐さん、私、理佐さんのことが好きです。愛してます』


「友梨奈!これは間違ってる。私がちゃんと教えてあげるから、これをとって」


『逃げようったって無駄ですよ。ずっと一緒にいてくれないと困るんですから』


「ゆり、んぐっ」


いきなり深いキスをした。

全身に鳥肌が立つ。

手は繋がれてないのに抵抗できない。


怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い…


恐怖が体を埋めつくした。


満足したのか、しばらくして唇を離した。


『待っててください、今ご飯作ってきますので』


ここが自分の家じゃないみたいに不安が募る。

私はまた友梨奈が戻ってくるのを待ってるしか無かった。