井上士朗の句《士朗 その20》;「何事も なくて春たつ あしたかな」 | 「洋ちゃん」のひとりごと

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今年もあと2日。

 

今朝、井上士朗の軸装の句を詠みました。

                        (私の収集品です)

井上士朗は、

 江戸時代中・後期の俳人で

「尾張名古屋は士朗(城)で持つ」と言われました。


古い句(軸)であり

汚れ傷等あり相当老朽化していますが大切にしている収集品です。


詠み方です。

何事も なくて春たつ あしたかな

                士朗


明後日はお正月。

この句は‘立春(春たつ)の朝(あした)”の句ですが、

年末の今日の朝、

 この一年平穏無事に過ごすことが出来た

  感謝の思いもあり、床の間に一時掛け詠みました。

(付記)

なお、この句は、

 井上士朗の「枇杷園句集  巻之一」

        春・歳旦に記載されています。
歳旦…①1月1日の朝。元旦。

 

句意

「春たつ」は中国語の「立春」の動詞化。

陰暦では立春と新年とが大体同じころに来る。

必ずしも一致しない。

だから、「春」は季節の春でもあり、新年(新春)でもある。

「平穏無事に春(新年)の朝を迎えた」ということ。

ことさらな技巧もなくすらすらと言いくだした措辞(おくじ)が豊かな新春を象徴する。

この句の焦点は「朝(あした)」にある。

「かな」という重い詠嘆(えいたん)の語がそれを示す。

新春の感慨は朝にことさらに深い。