りえ「ごめん、やっぱりうちにいたいや」


リュウ「…そっか。無理に、とは言わないよ」


りえ「うん…またね」






今週もリュウとは遊ばない。


別に遊びたくないわけじゃない。


別に理由ないかない。


もともと家にいるのか好きなわけじゃない。


出掛けるのが好きじゃないから、いるだけ。


なんとなく、家にいるのが求められている気がするから、いるだけ。


理由がない。


もう、関わりたくない。

でも、繋がっていたい。


妹が死んだ悲劇のヒロインになって、


そんな自分に酔っていたし、

そんなわたしに気を使わざるを得ないリュウにと、離れたいという気持ちもあった

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告別式が終わって、


ひとり、隅っこの喫煙所でタバコを吸うリュウ



未成年の妹の友達に、もちろん喫煙者はいない。




りえ「…今日はありがと」



リュウ「…あぁ、いいんだよ、俺が勝手に来ただけだし」





りえ「…嬉しかったの。」


リュウ「…そうか」




りえ「また、あそぼ。連絡するね。」

リュウ「もちろん。…待ってる」



りえ「んじゃ、あたし、もう行くね。」

リュウ「おう…」



周りのあたしの知らないすこしの人が、あたしたちを見て少し騒いでるみたい。

今はそんな視線さえ少し気持ちいい。


リュウの冷たい手を握ったら、リュウは握り返してくれた。




振り返ったらリュウと視線が合ったから、

手は上げずに手を振ったの。


そしたらリュウは少し笑って、


手を挙げて手を振ってくれた。
今日は、勘違いしても、いいよね。


きっと、妹も許してくれる。



リュウは余裕がなくなると、姿勢が悪くなる。


付き合ってまだ10日くらいしか経ってないけど、あたし、知ってるよ。


自分じゃ気づいていないかもしれないけれど、リュウってすごい目立つ。


ん、理由は今日は伏せておくw



きっと、この参列者の中で、リュウが一番悲しくて、つらそうな顔してるよ。

一見ちょっと強面なんだけど、本当は、とても優しくて、お人よしなんだもんね。



私、今笑えているかわからないけど。

ちょっと、さっきよりかはましなのかな。



リュウと目が合う時くらい、笑っているあたしを見ててほしいな

もういっぱいリュウには弱い私を見せちゃったけど、

あとちょっとだけ、ちょっとだけ強い私も見せたいから。




焼香をしてくれる方たちに

私たちは反射的な、お辞儀しかできない。


今思えば申し訳ないけれど、感謝、すべきだったね。



ほんと、失礼だけど、

来てくれたのになんにも感情が湧いてこなかった。

いや、うれしかったんだよ、きっと。もちろん。



でも、なんだか人が集まれば集まるほど、

この現実が真実であることの証明のような気がして、

とてつもなく悲しかったんだと思う。


そんな、いろんな感情がごちゃ混ぜになって、

私は感情を殺してたんだと思う。

なにも、感じなかった。


でも、


りえ「(…あ、リュウだ…)」


参列者の中に、リュウをみつけた



一人だけ、なんだか浮いているへんな人。



そんなときでも時間は過ぎて、

参列者は次々と焼香をしていく。



時々母が突然泣くから、


私は時々母の手を握っていた。




そんなこと、子どもの時以来してないけど。

相変わらず冷たくて、

細くてごつごつしている手だった。


私だって泣きたいのに、

頑張って我慢していた。



普段私は平気で嘘泣きだってするのに。


私が本気で泣くのを我慢したのは、この日だけかな。




別に誰かに強制されたわけではないけれど、

この日だけは、自分を取り囲む全てに反抗したくて。


それでもそんなあたしの反抗の成果はないらしく、
現実はもっともらしくやってくるものなんだよね。