今夜のぐるないの会場、ホテル椿山荘が懐かしいし大河で熱演の小芝風花も可愛い。上京して何度も神田川遊歩道の冠木門から無料で散策していた。ほたるも見たし冠木門の門番さんにいまは何が見頃と尋ねると椿が咲き始めてますとか答えてくれた。庭園の築山には男鹿の椿も植わっていた。
でもまさかの仕事、秋田に帰る2年前に勤めた日本橋三越真ん前の400年続く八木長という鰹節や乾物を扱うお店の売り子時代にあまりの接客でぜひ椿山荘の大広間でやる結婚展の引き物予約会に行って引き物用の鰹節のセットの予約をとってもらえないかと頼まれた。
行ってみたら周りは高級菓子やら飾り物やら何十社もベテラン販売員を揃えて次々はいってくるカップルや親御さんに声掛けして引き出物の注文取り。これじゃ殿様商売で店にきた客しか相手にしてこなかったうちの従業員先輩がかなうわけがない。
うちはどう並べてもどれも鰹節セットが数種類がメイン、ガンガン声がけして楽しくお客様と話で盛り上がり笑いも起きてわが机の前は賑やか、ノリで予約してもらったようなものだ。
使ったお話は、この江戸時代から歴史ある椿山荘で式挙げるんだから両家ともに江戸のしきたりを大事にする人が参列するはず。何で鰹節が昔から結婚の引き出物にされたかというと勝男武士と書かれて江戸の侍にとってとても縁起が良かった。それを日本橋辺りのおばあちゃんたちとかはとても大切な風習として覚えてる。だからうちの店も何百年も日本橋で店をやれた。
参列の方が家に帰り、古いしきたりを大切にするご家族とかにその引き物を見せたとき流行りのケーキやティーセットの豪華な引き物だけで江戸の武士の婚礼のたしなみとされた鰹節が入ってないのを見たらどう思います?
江戸時代の黒田家から明治の山県有朋が譲り受け名付けた椿山荘という歴史ある一流の会場で式を挙げながらご両家は江戸のしきたりも捨ててしまったかねと渋く思われたりしかねないでしょ、大阪でもないこのお江戸で式を挙げるならせめてこの3袋だけのミニパックでも十分だから引き物袋に入れておきましょう。一袋でも入ってたらそれでおっわかってるねと思ってもらえるのが鰹節なんです、と笑いと冗談交えて真剣に話すと、立ち止まっただけのご両親やお嫁さんが呼ぶ人たちを思い起こすようにして、まさか一番小さなセットでは恥ずかしいからと1000円位のセットを注文してくれた。
予約も50人の引き物から200人近い予約まで2日間にわたっていただき周りのベテラン売り子たちを圧倒して大勝利。とうとう70歳位の常連ベテラン売り子おばさんがそばにきて、あんたすごいわねぇ、こんな品数しかないのにこんだけ予約をとるなんてと褒めてくれた。
あの2日間は椿山荘の通用口から入り裏階段やバックヤードを見ながら会場に通った。裏はどこもおんなじだなとそれまで高い壁だったホテルがとても馴染み深く感じられた
明日はべらぼう再放送を見よう