2019年の夏、イオンスタイルでの対面販売の写真が残っていた。
安い魚は氷箱のまま並べる
冷蔵台には氷のバットを敷いてその上に氷を敷いて早朝からマネージャーたちが並べて値札をつけてくれてる。ウチワエビなんて初めてここで知った高級食材
10時頃に店に出てこれを売りさばくのが僕の仕事。朝に店長と会うと今日もよろしくお願いしますと言われ、終わりにエレベーターであうとありがとうございましたと敬意を表された。それだけで時給を盛ってもらった以上に嬉しかった。
イオンスタイル碑文谷はイオンの先端実験販売の本拠地。専属の売り子が魚売場に立ってたのもここだけ。
ここが僕の立ち位置。寒いから厚着してモコモコだった。冷蔵台の向こうにはアシスタントがいて、その後ろのガラス窓のなかには五人ほどの調理人がいて僕がお客さんと話し合って決めたさばき方ですぐ調理してくれた
辞めるときの記念写真は常連さんの奥さんと僕の販売をサポートしたFさん。買ってもらった魚をさばいて氷を乗せて青い袋で渡す。この店の駐車場にはベンツやBMWがたくさん並んでた。
この台の中国産ワカメが在庫で長いので詰め放題で任せるから売ってほしいと頼まれ大きな山盛りを半分なくした頃に売り声を一休みして写真を撮ってくれた。この山盛りのワカメを20分ぐらいで完売にしたが、それを見ていたマネージャーが呆然としてた。

売ったコツはなんだ中国産かぁという奥さんには、なにいってんの習近平が作ってるわけじゃない、日本の海辺の漁村のおばちゃんたちと同じく中国の漁村のお母さんたちが一生懸命作ってんだよと大声で答える。そうすると人だかりができて、そうだよね、あたしはもらうよと遠巻きから急ぎ買いの流れがうまれる。でもおばさんたちは置いてる焼きそばをいれるサイズのプラトレイになんとか蓋をしまるように苦労して詰めるから時間がかかるし、台は狭くて効率が悪い。これでは待つ後ろの人たちがあきらめて去ってしまう。

おばあちゃん、俺が詰めてあげるよとわしづかみで2度ほどトレイに盛り込むともはや蓋すら閉まらない大盛りワカメ。これでいいからとポリ袋にトレイごと突っ込む。周りに見てた人がビックリ仰天、次々に私にもとお買い上げ。60キロほどのワカメがあっという間。これ以来常連さんたちは僕が店内に向かってさあぁ~~~と声をあげると何かとんでもない安売りを始めるのだろうと人が集まるようになって、値段を言う前から手を上げる人が続出。抜群のコミュニケーションと売り上げを誇るトップ売場になった

結果的にこうした日々のお客様たちとのやり取りが年末2日で毛がに400杯に結びついた。
誰にも口にだしてわざわざ話せないどや話しもこうやって書くと気持ちが張り切れる。包丁ではまだまだ半人前でも売りならプロだという支えを思い起こす