最近60センチほどの鰹が毎回16尾ほど入荷してくる。もっぱらマネージャーが手際よく素早く三枚に下ろし柵にして売場に出したり刺身用にスタッフへ回したりだった。
ところが今月は頻繁に50キロごえの本マグロの解体を頼まれて手が回らなくなってきたみたい。若い社員にやらせたらずいぶん遅くて仕方ないかと諦めながら、僕が他の刺身に回すイナダやアジを手早く終えると鰹が来るようになった。

やり方は知ってるがマネージャーのような雑ではない早さが出せない。どうしても早くしようとすると身割れが起きる。皮引きが独特で三枚に下ろした真ん中から直接皮の下を包丁をくぐらせて右と左の柵を皮からはずす。ある程度やれたらとても簡単で早いが柔らかさが難点だ。

ネットでは彼よりうまそうな早業動画が載ってるから新幹線の中、本も一話読み終わりイメトレに何度も動画を見た。考えなくてもその動作が本番でもやれる自信がつくまで見てた。
こっちは似た形だがマグロの子供メジマグロ、さばきかたはとても似てる。たまにこれも入ってくるから動画で練習。ただこちらは小さいとはいえ鰹の腹と違って小さくても脂のある大トロの腹はできるだけ削ぎとらない。
タイラギというムール貝のお化けのような貝。二度ほどホタテと同じようにして開いたが一般的なやり方を知らないから検索した
真ん中の貝柱を食べる。一度寿司屋で食べたがホタテと違いコリコリしてる。大きいから貝柱は7センチ5センチほどの大きさ。ホタテむきでやってたが持つとこが長くて刃がついてないステーキナイフが普通だった。そしてヒモも食べれる。

大きいと1200円もするからよこにスライスして4枚ぐらい盛り付け3パック売りするがひとつ500円ぐらいになる。

動画も見尽くして日記を書いてたら社内販売のお姉さんが来た。サンドイッチやおにぎりは弁当の社内販売の終了と共にもはやないといわれコーヒー。これコンビニより美味しいと聞きましたよと褒めると、嬉しそうに、でも私はこれの前の味が美味しかったと思いますと返された。

なかなか売り子でこう返す人は珍しくて楽しい。僕と同じタイプの売り子だ。まずいとか高いとかマイナス要素も隠さず本音を言って相手の心をつかみながら信頼もいただく。この人から買ってみたいと思わせる魅力がある。

そしたら隣の80位のおじさんも、同じコーヒーを頼まれた。気にせず買ったワッフル食べてたら話しかけられた。少し話したらなんとわが母校の能代の会社の社長さん。しかも奥さんは僕の実家と同じ出身。遊漁船を秋田県で初めて営業した組合長もやってるとかでさかなの話で盛り上がった。二人とも最近の秋田沖の魚はよくないという話。なんにでもアニサキスがいて味も落ちたと嘆いていた。
この船がネットにあった社長の釣り船らしい。福島過ぎて話し始めたらあっという間に東京。でも17号車にのったら一番お尻。降りたらすぐ日本橋口改札の階段

ひさしぶりに日本橋の店を覗くかとこの小さな階段の出口を出た。すぐに静かな地下通路でとてもほんとの改札へは回る気がしないほど閑散としてる。でも東西線や日本橋へ行くなら絶対のおすすめ通路