捩れ屋敷の利鈍 | 本との出会いは、師との出会い。

本との出会いは、師との出会い。

智慧は、先生から指導されて身につけるものではなく、自ら学ぶものです。ですから、先生が本であっても、生徒の意欲が高ければ、学習の成果が期待できます。書店には、素晴らしい先生方が、時代を超えて、いつでも待っています。

 Vシリーズ中最も薄い262頁?文字も大きくて老眼の中年に嬉しい第8弾は、ロケーションに萌絵と国枝先生が登場し、保呂草と対決するという構図が楽しめる。犀川先生も電話で中継に参加するというサービスぶりだ!

 萌絵との再会がとても嬉しいが、(犀川先生は相変わらずつれないにもかかわらず、何が彼女を支えているのか)S&Mシリーズよりも高慢に描かれており、アンチ萌絵派は顔をしかめるかもしれない。最新型?のフェラーリ?に乗っているというのも悪趣味?で嫌味だ。

 一方、舞台として登場する建造物は、メビウスの輪からヒントを得たもので、森先生ご自身が造りたいのではないかと思われる贅沢なものだ。国枝先生が指摘するように、捩れを180度から90度に修正することに加え、各々の部屋を隔てる壁を取り払うと、より魅力的なものになりそうだ。

 トリックは、相変わらず反則スレスレアウトで、本格推理を期待する読者は、ベランダを渡り損ねて植木鉢に躓き、萌絵に発見されてしまうことだろう。

 私だったら、国枝先生のアイデアを取り入れて、捩れを90度にし、シームレスに繋がる壁、床、天井をマンセルの色環のように変化する滑らかなグラデーションで塗りたい。

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