朝8時、看護師さんが部屋に呼びにきた。
いよいよ手術室へ
呼ばれたと同時に、緊張感が増してきた。
ストレッチャーで移動するのかと思いきや
車椅子で移動するとのこと。
移動前に、部屋で家族で写真を撮った。
そして車椅子に乗せられ
家族が同伴できる通路まで、両親が一緒に来てくれた。
看護師さんが
「すみませんが、ご家族の方はココまでとなります」
次、両親に会うときは手術を終えたとき
そう思うと、少し切なくなった。
ここから先は、ひとりでの戦いになる。
両親としっかり固い握手を交し、ハグをして
パワーをもらった。
「頑張ってね。絶対に大丈夫だから。」との
両親の言葉に見送られ
ひとりで手術室へ
通路の扉が閉まるまで、心配をかけないよう
「行ってきまーす!」と、笑顔で手を振った。
その後、両親と別れた通路から手術室までのことは
あまり覚えていない。
看護師さんと少し話したと思うけど
内容は忘れてしまった。
手術室までの道のりが異様に長く感じたのだけは
覚えている。
そして、手術室へ到着。
とても広い空間で、手術をする部屋が
いくつもあった。
入り口で、名前と生年月日を言わされ
帽子?みたいなものをかぶって
さらに奥の個室へ
個室へ到着すると、そこには手術台があり
部屋にはラジオ?のような音が流れている。
顔見知りの先生や主治医が、手術の格好をして
準備をしている。
その光景を見た瞬間
「あー、いよいよ手術かぁ」と
やっと手術をする実感が湧いてきた。
しかし、ココまできたら、もうやるしかない!と
肚は決まっていた。
手術を終えて目が覚めたとき
一体、どんな身体になっているのだろう。
痛みに耐えられるのだろうか。
どのくらい痛いのか。
全く未知数で、不安だったけど
もう、やるしかない。
「今日は、よろしくね」と
顔見知りの先生や主治医が声をかけてくれた。
看護師さんが
「じゃあ車椅子から降りて、手術台に寝て下さい」
との指示で、降りて手術台の上へ
ドラマで見たことのある装置が、目の前に広がる。
手術台の上で、横になる。
あれだけ肚が決まっていたのに
少し怖くなってきた。
「じゃあ、今から始めます」
「右手に麻酔を刺しますね。チクッとしますよ」
と同時に、右手の手の甲に針が刺さる。
左手は看護師さんが優しく手を握ってくれていた。
あ、いよいよ始まるんだ・・・と思った瞬間
「じゃあ、麻酔を流しますね。少し痛いですよ」
手術台の上に乗るなんて
一生に一度、あるかないかのことなのに
まさか、この若さで乗ることになるなんて・・・
麻酔が右手から、身体の中を流れる。
右手から激痛が走った。
痛い!
意識がだんだん薄れていく。
あ、もう始まるんだー・・・
と考えた、次の瞬間
もう意識は、ない。