映画 「THE MOON」 2024(令和6)年7月5日公開 ★★☆☆☆

(韓国語・英語: 字幕翻訳 根本理恵、字幕監修 柳川孝二)

 

 

2029年12月 韓国の月探査船ウリ号が3名の乗組員を乗せて発射。

ところが、太陽風の影響で地球との通信がとだえ、

アンテナ修理のために船外に出ていた船長とユンジョンが命を落としてしまいます。

残されたのは宇宙船の操縦もできない若いクルー、ソヌのみ。

 

 

そのころ、キム・ジェグクは助手の女性と雪山でイノシシ狩りをしていました。

 

韓国は5年前にも有人探査機ナラ号を飛ばしたものの、爆発事故で3名の飛行士を失い

そのときのセンター長だったジェグクは組織からはずれて

ソベク山の天文台にこもっていました。

 

 

緊急事態で彼も呼び戻され、

遠隔操作でソヌを安全に地球に帰還させようとしますが・・

                 (あらすじ とりあえずここまで)

 

 

ほかの乗組員が全員死んでしまい、「オデッセイ」と同じく

宇宙でひとりぼっち、というパターンです。

 

いや、それより気になったのが、

韓国の宇宙開発事業って、もうこんなところまで進んでいたっけ?

ということ。

 

 
3年前にインドが火星の探査機を軌道に乗せた映画も
にわかに信じられないかもしれませんが、これは実話。
インドの国力を世界にアピールする!というよりは
お金ないから痛々しいほどの節約をしたという自虐ネタにあふれたコメディでした。
面白かった!
 
本作は無人探査機じゃなくて、いきなり有人ですよ!
設定は2029年だから、その可能性を否定はできないですが、
5年前、つまり2024年の今年に一度ナレ号で失敗した設定は無理じゃない?
チャレンジャー号の失敗を思い起こすような映像をかぶせて
3人の宇宙飛行士が死亡したことになっています。
(今年韓国に有人飛行の計画がなければウソになるし
あったらあったらで、失敗を予告されたロケットに乗る?と思いますけどね)
 
そして5年後の2029年、
リベンジをかけて、ウリ号を打ち上げるも、船外活動で2人を失い、
新人のソヌだけがひとり生き残ります。
 
私はもう最初、設定の段階で醒めてしまったんですが、
まあエンタメ映画として楽しみましょう、ということで・・・
 
 
ここから先はネタバレ込みの感想です
 
 
*亡くなった船長は、妻が妊娠中でもうすぐ父親になる予定でした。
*ユンジョンにも愛する妻子がいました。
*ソヌの父、ファン博士は前のロケットの設計者で
          事故の責任をとって自殺していました。
*ソヌは宇宙船の操縦はできないけれど、体力と気力はだれにも引けをとりません。
 
もうこれでもかというほどのウェットな設定を投入。
 
事故の責任をとって自殺した人の息子を次の宇宙飛行士に選ぶかなぁ?
とか
ロケットの設計者の息子がメカに弱くて体力自慢とかありえる?
とか思ってしまうんですが、
どうもこれは「なんとしてもリベンジを果たして任務を全うする」ことへの伏線だったようで
そのまま帰還するのではなく、地上からの遠隔操作で
ともかく、なんとしても根性で月に降り立つのです!
 
 
しっかり韓国の国旗も立てていたと思います
 
アメリカにつづいて2国目の韓国の月面着陸に世界中が湧きますが
この後、大量の隕石が月に降ってソヌを襲い、
ソヌの生命維持装置の信号が途絶えます。
専門家の意見は悲観的なもので、韓国政府は追悼文を発表します。
 
実はソヌは月の反対側で生存しており、SOS信号を出していました。
宇宙センターでは傍受できなかったその信号は
なぜかソベク山の天文台のボロい機器が受信に成功。
その通信内容をユンジョンの助手の女性がSNSに流したために
多くの人がソヌの生存を知ることになります。
 
ただ韓国の力ではソヌの帰還は無理で、NASAに頼るしかないのですが・・・
NASAの有人月軌道のメインディレクターのユンという女性が
「ユンジョンの元妻」というのもなかなか無理やりな設定(笑)
 
 
NASAの上層部は救出活動はしない、という方針でしたが、
指令室の鍵をしめてほかの人間を締め出し、
ユンはルナゲートウェイ(月周回有人拠点)のクルーたちの情に訴えて、
独断で強引に救出を依頼。
ソヌは無事地球に帰還できました・・・というハッピーエンドで、
一旦は拘束され懲戒処分となったユンも、その後、世論の後押しで
NASAの長官?に出世してめでたしめでたし、というおまけつき。
 
 
NASAのこの人が血も涙もない悪人に描かれてますけど、
たしかその前に1回、NASAは救助要請を受け入れたんでしたよね。
でも指定された座標にソヌがいなくてドッキングできなかったような・・・
 
山で迷子になったわけじゃないんだから
(いや雪山でも必ずしも救助に行けるとは限らない)
助けてもらって当たり前じゃないですから。
 
それにしてもよくこんな映画作ろうと思いましたよね。
こんなプロパガンダ映画、自国でひっそり上映して自己満足していればいいのに
世界で公開とか、ちょっと信じられない。
VFXがここまで進化したことをアピールしたかったとか??
 
ドキドキハラハラするシーンも皆無でしたが、
唯一面白かったのは、相棒のドローン、マルのかわいらしさ。
良い画像がみつからないんですが、
月で穴に落っこちたソヌを小さな体で必死に引っ張り上げようとするところとか・・・・
 
 
NASAに依存するのはやめて、マルとのバディものにすれば良かったのにね
                           (冗談です)