映画「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」2017(平成29)年10月13日公開 ★★★☆☆

(英語; 字幕翻訳 栗原とみ子)

 

 

猿インフルエンザのウィルスでほとんどの人類が死滅してから15年。

生き残った人間と遺伝子進化を遂げたエイプたちの全面戦争は

コバの死で一段落するも、まだ戦闘の火種は残っていました。

 

 

森のなかを進軍する米軍。

馬に乗った3頭のエイプと塹壕を発見します。

無線で攻撃命令を受けると、奇襲攻撃をかけ

完全制圧と思われましたが、シーザーたち援軍がくると形勢逆転。

米軍のハイテク兵器もエイプたちの前には役に立たず、

兵士の一人、プリーチャーは

「仲間が全滅です。もう私しか生きていない」

と無線で大佐に報告します。

大佐からは撤収の命令はなく

「とにかく猿を一匹でも多く殺せ」といわれるだけ。

 

 

生き残ったわずかの兵士が集められ、シーザーが登場します。

「おれが始めた戦争じゃない。(解放してやるから)

帰ったら大佐に言え!エイプは戦いを望んでいないと」

兵士のなかには、人間側に寝返った「レッド」という赤毛のゴリラもいました。

 

そこへ移転地の調査に行っていた息子のブルーアイズが

腹心のロケットと共に帰ってきました。

そして、群れが移動する日の前日、いきなり軍隊が再び責めてきます。

(白毛ゴリラのウィンターが敵側についてシーザーの居場所を教えたようです)

 

シーザーたちは果敢に応戦しますが、

「シーザーは殺した。撤収する」という無線を聞き

あわてて戻ると、ブルーアイズをシーザーと勘違いしたようで

妻のコーネリアとともに大佐から殺されていました。(弟のコーネリアスは無事)

 

家族を殺されたシーザーは恨みに燃え、

仲間たちには、予定通り新天地に移動するように言いおくと

ひとり大佐を追うことにしますが

それに待ったをかけたのがモーリスとロケットとルカ。

 

 

彼らは途中で出会った言葉を失った少女(ノバ)も連れて敵地に向かいます。

                    (あらすじ とりあえずここまで)

 

 

2011年から3年ごとに公開された「猿の惑星」のリブート版。

1作目2作目は劇場鑑賞していたのですが、なぜか3作目だけが未見でした。

 

 

 

 

 

 

 

ということで、今回、DVDで鑑賞しました。

 

今公開中の「猿の惑星/キングダム」とはそれほどつながらないので

予習も復習も必須ではありませんが、

前回、ブログのなかに恥ずかしいことを書いてしまいました。

 

ノバはオリジナル版のこの女性

とか書いてしまいましたが、(それは間違ってはいないですが)

本作に登場した少女の名前でもあったんですね。(恥ず!)

 

それはともかく、3作目は、

完全にエイプ側が主役で、人間は悪役の脇役に徹しています。

最初のシーンは軍の隊列を後ろからとらえ、帯同するゴリラも

「スターウォーズ」のチューバッカみたいで

境界をこえた連帯って、なんかいいよね~と思いながら見ていて、

見張りのチンパンジーのほうが完全に「ターゲット」だったんですが、

人間目線はここだけ。

 

ひたすら「人間の愚かさ」が寓話的に連発されるので

けっこうぐったりしました。

 

続きです(ネタバレ

 

軍のキャンプ?に到着すると、人間側に寝返ったウィンターを発見。

大佐たちは「境界」のほうに行ったと聞きだします。

途中、兵士同士の殺し合いを目撃。

また、「バッドエイプ」と名乗る動物園育ちのしゃべれるエイプと出会い

彼の案内で基地にたどりつきます。

 

バッドエイプが「人間動物園」と呼ぶその場所には

新天地にいったはずの仲間たちが捕らえられ、強制労働させられていました。

ルカが命を落とし、シーザーもレッドに襲われ気を失います。

 

鎖につながれたシーザーの前に大佐が現れます。

「仲間を助けにきたのか?お前の目は人間の目だ」

「情けをかけて解放してやったのに、妻と息子を殺された。

お前に復讐しにやってきた」とシーザー。

 

 

大佐は恐ろしいウィルスの感染から逃れるために

自分の息子をふくめ、次々に殺していったと話します。

「知能が退化し言葉も失ったら、もう人間としての価値はない」

という大佐の考えに反対する勢力(北軍)が次なる敵で

その攻撃を防御するために、捕虜を使って「壁」をつくっていると。

 

バッドエイプたちはそとから檻の中まで通じる地下通路を発見。

脱獄計画は成功し、シーザーは大佐の部屋へ。

大佐はウィルスに感染し、言葉も失い死の淵にあり、自ら銃の引き金を引きます。

 

北軍の襲撃がはじまり、シーザーはガスタンクを爆破しようとしますが

プリーチャーにわき腹を撃たれます。

それをみたレッドがシーザーを援護し、プリーチャーは死に

手りゅう弾が爆発して、基地は大破します。

 

基地は破壊したものの、こんどは北軍にやられる、と思ったそのとき

大規模な雪崩が起き、木の上に登れたエイプたちだけが助かりました。

 

新天地にたどりついたエイプたち。

シーザーは安らかに永遠の眠りにつきます。(あらすじ ここまで)

 

シーザーの危険な復讐の旅に自ら同行を願い出た3頭のエイプたち。

良い面構えしていますね。

 

それに引き換え、人間は完全に敵キャラで、

大佐とプリーチャーくらいしかセリフもありません。

敵キャラでないのは、少女ノバだけで、

弱いけど純粋無垢なペットの猫ちゃんみたいな存在です。

(ちょっと「鬼滅の刃」の禰󠄀豆子っぽくもありました)

 

人間側、あんなに人数がいるのに、意思も感情もスルーなんですけど、

それでいいのかな?

シーザーに恩義があるはずのプリーチャーが

エイプ側に寝返ったりすれば面白いのにね(笑)

 

寝返りといえば

シーザーを裏切った紅白のゴリラが下の2頭。

 

 

レッドは大佐側に寝返ったんですが、最後、シーザーのピンチに援護して

自分は射殺されてしまいます。

 

ロケットたちがシーザーに同行するくだりもですが

なんかもう「義理人情」に厚い任侠映画をみてるみたい。

あきらかに聖書が出典のシーンも多いし、

西部劇みたいなとこもあるし、後半は脱獄ものだし・・

いろいろ薀蓄を語りたい人にはたまらないんでしょうけど

あんまり流れがよろしくないような気が・・・

 

「無事に逃げられたはずの仲間が強制労働させられてる」とか

「高いところに登れたエイプだけが助かった」とか

この辺は、今公開中の「キングダム」とカブってますね。

 

「意味のない壁を作ってる」というのは、2017年だったら、トランプ批判なのかな?

これはあまりにつまらないけど、

コロナウィルスの蔓延する前の猿インフルウィルスは

ある意味「予言」かもしれません。

ただ、「感染者を隔離して殺す」とか、

コロナ以降だったら、あまりに不適切すぎて公開できなかったかもね。

 

ところで、大佐はなぜ最後にウィルスに感染したのか?

多分ノバの持っていた人形から感染したんでしょうけど、(感染源、弱!)

なんで大佐だけが感染?

それに、生き残ったわずかな人類は

先天的にウィルスに耐性のある人、といってたような気がするんですが・・・