映画館で不快になることは日常的にあって

大ヒット作なのにあきれるほど薄っぺらな内容だったり

大好きな原作が酷く改変されてたり・・・

 

あえての「胸糞悪い鬱映画」は、逆にけっこう「好み」なんですが

「関心領域」はそのレベルをはるかに超えて、

リアルに気分が悪くなって、ここで吐いたらどうしようと・・・

(Xを見たら、同様の人、けっこういたようです)

 

妄想癖がある、というか、

現実を想像で補完しがちな人は、本作はちょっと覚悟してみたほうがいいかもしれません。

 

「直接的な描写はない」といいますが、

むしろあの音から想像力が起動しないことのほうが無理です。

風に乗ってくる粉塵や臭いなど、音以外にもいろいろ感じてしまって

残虐表現は脳内でMAXに振り切れてしまいました。

 

 

ブログ書いている間も何度もそれが蘇ってしまい、

最後、関係ないこと書いて逃げてしまったんですが、

2日たってみると、今度はちょっと自己嫌悪感。

 

あそこで逃げるのはダメだけど、

「今、ガザやウクライナで行われていることに対しても

我々は無関心であってはならない」

とか、まとめるのもちょっと違う気がする。

 

本作のラストは最初から考えていたことなのか

苦し紛れにひねりだしたものなのか?

いずれにせよ、度肝を抜く終わり方でした!

「負の遺産」だって、現場は観光客誘致。

心を無にして黙々とガラスを磨き上げます。

(アウシュヴィッツは行ったことないので、

原爆ドームのガイドツアーとかミュージアムグッズとかが頭をよぎってしまった)

 

 

 

「関心領域」というタイトルは、

「無関心でいることへの罪悪感」を強調した

映画オリジナルの邦題なのかと思っていたら

この言葉は実在するようです。

 

検索すると

「X線の画像処理の範囲指定」みたいな専門用語としてでてきますが、

このほかにも、当時のナチスは

「収容所の周囲40㎢の範囲」を「関心領域」と名付けていたそうです。

 

 

同名の原作本が映画の公開にあわせて早川書房から発売されたそうですが、

もっとストーリー性あるドラマ(不倫話?)のようで、

どうも、映画とはかなり違っているようです。

(タイトルだけもらった?)

 

 

「ルドルフ・ヘス」という名前には聞き覚えあったので、

観る前に彼に関する本を借りてきていたのですが、

おそらく私が聞いたことあったのはこっちの人物で・・・

 

ちがう人の本を借りてしまった!

(買わなくてよかったけど)

 

 

 

 

本作に登場するルドルフ・ヘスは、

この人↓

 

日本語表記が同じだけで、ヘスの発音は違うそうですが・・・

 

 

いろいろ探しているうちに、ヘスの家族の画像が出てきました。

ちょうど映画に登場した時期のこどもたちですね。

この下に女の子の赤ちゃんがいました。

 

庭もかなり忠実に再現していましたね

 

 

映画のなかの赤外線カメラの少女ですが、

実際に「命の危険を冒して囚人に食べ物を届けた女性」は実在し、

転勤話で夫婦で揉めたことも取材に基づくものらしいですが、

私がそれより気になったのは、ヘートヴィヒの母のこと。

 

実の娘がエリート軍人に嫁いで、子どもたちといい暮らしをしていることに

満足しているようすでしたが、塀のむこうからのただならぬ気配におびえ

泣き止まない末の孫の泣き声に心を痛め

娘にはなにも告げずに、夜のうちに姿を消してしまいます。

 

多分私と同年代とおもわれる彼女にとっては

これが唯一の手立てだったのでしょう。

彼女の存在はめだたず、画像もこんな小さいのしか見つかりませんが。

 

左の人物が母

 

一般的なドイツ人だと(優生思想や差別意識はあるにしろ)こういう反応でしょうか。

ぎりぎり共感できる狂ってない人をみつけて、ちょっとほっとしましたが

彼女は脚本上の登場人物でしょうかね。

 

 

本作は「観るべき作品」であることはまちがいないですが、

体調と相談して(とくに妄想癖のある人)ご覧になることをお勧めします。