映画 「プアン / 友だちと呼ばせて」 2022(令和4)年8月5日公開 ★★★☆☆

(タイ語; 字幕翻訳 アンゼたかし; 字幕監修 高杉美和)

 

 

ニューヨーク、マンハッタンでバーを経営し、

バーテンダーとして女性関係も派手なタイ出身のボス。

彼のもとに突然、タイの友人、ウードから電話がかかってきます。

「父とおなじ白血病で、もう命は長くない」

「最後の望みを聞いてほしい」

 

あわててバンコックに駆けつけると、

そこには痩せて髪の抜けたウードがいました。

 

彼が最後にやりたいことはなんなのか・・・

「バンジージャンプ?」

「3P?」

と尋ねるボスに、ウードは

「元カノに返すものがあるから、車の運転を頼む」と。

 

ラジオDJだったウードの亡き父が遺したBMW。

ふたりはカーステレオから流れる思い出の曲とともに

ウードの思い出をたどる旅へでかけけます。

 

①アリス (inコラート)

 

 

アリスはダンサー修業でアメリカにいたときにウードと知り合い

その後いっしょにタイに帰ったものの

思ったようにはいかず、二人は別れ、

アリスも膝を痛めてダンサーの夢は捨て、今は地域の人たちにダンスを教える生活。

ウードはアリスと踊り、彼女の忘れていったピンクのバッグを返します。

 

 

②ヌーナー (in サムットソンクラーム

 

 

ヌーナーは女優を目指しており、ふたりが行ったときは

ちょうど結婚式のシーンを撮影中。

ところが、監督から何回もダメ出しをされ、落ち込んでいました。

ボスがバイクに乗っていたチンピラたちにお金を渡して撮影を妨害させ、

ウードと話をする時間をつくってくれます。

「苦しんでいたときに支えられなくてごめん」とオスカー像?を渡すウード。

休憩後、ヌーナーは見違えるような演技で、一発OKが出ます。

 

ウードとボスは蛇の入った強い酒をがぶ飲みして酔っぱらいますが

ウードが吐いたのは大量の血で、そのまま搬送、数日の入院が必要といわれますが

そこを逃げ出して次の目的地へ・・・

 

③ ルン (inチェンマイ)

 

 

元カノのルンは、カメラマン志望でしたが、今は結婚し、

ローラという娘と暮らしていました。

ルンの置いていった35ミリフィルムを返そうとするのですが・・・・

 

タイに住む3人の元カノに会う旅を終えたウードに

彼女たちをイメージした3種類のカクテル(上の画像)をふるまうボス。

これで気がすんだろうから、あとはしっかり病気を向き合え!

ということかと思ったら、

カセットテープのA面(ウードAood)からB面(ボスBoss)へと返され、

「実は、ボス、君にも返したいものがあるんだ」

                                (あらすじ ここまで)

 

 

最近見たタイの映画といえば・・・

 

 

2作とも、チュティモン・ジョンジャルーンスックジンという、絶対に覚えられない長い名前の

かっこいい女優さんが主演です。

自我の強いガンガン行くタイプのヒロインなんですが、この見た目なので

何をしてもスタイリッシュ。

 

本作は「バッド・ジーニアス」の監督作品で、

チュティモンさんも(主役じゃないけど)出演すると聞いて

楽しみにしていました。

 

設定としては、余命わずかの主人公が元カノたちを訪ね歩くロードムービーです。

バンコック、チェンマイ、パタヤ、サムットソンクラーム、コラット、ナコーンサワン・・・・

と、タイのいろんな都市を移動するので、観光誘致にも一役かってるかも?

 

いきなり全くタイプの違う元カノが3人も出てきたので、

これがまだまだ続くのかと、ちょっとうんざりしながら見てたので

実はあんまりよく覚えていません。

・・・・ていうか、元カノを巡る旅とか、ほんとにどーでもいいから(笑)

そこまでして返したいものとも思えなかったし・・・

 

カーステレオから流れる音楽や、ウードの父のラジオでのトーク、

カクテルのビジュアルやネーミングと関連させつつ進む

シャレオツなつくりになってるのはわかるんですけどね。

 

ウードを演じた俳優さん、モデル体型のすらっとした人でしたが

末期がんの役作りで17kg痩せたそうです。

 

 

「ガンだということは元カノたちには隠している」設定なので

ここまで痩せなくてもいいのにね。

それから、髪が抜けているのは抗がん剤の影響かと思っていたら

そうではないみたいで、「早く抗がん剤の治療をやれ」とか言われてたので

なんでスキンヘッドなのかもわかりません。

 

で、病気を隠すために、元カノと会うときはウイッグと帽子をかぶっています。

 

元カノとの回想シーンのときは病気じゃないから痩せてないのですが

それでも細身だし、なんか髪の毛がどれもズラっぽく見えてしまって・・・

 

 

ちなみに素顔はこちらです↑

 

17kgも痩せた役作りの成果、でてますか?

 

回想シーンが頻繁に入り、時系列が動くから、減量は必須で、ここまで頑張ったのに

撮影順とかメイクとか、もっと計画たててあげたらよかったのに、と思ってしまった・・・

 

前半で3人の元カノに会えて

バゲットリストにチェックが入れられたわけですが、

後半はカセットをひっくりかえしてB面(ボスのパート)となるわけです。(この先、ネタバレ)

 

ボスは10代のころに姉が裕福な年上男性と結婚して、

いきなりリッチになります。

姉の援助でボスはアメリカの大学に行き、お店も持てたのです。

 

継父にはボスと同じ年頃の子どもが3人いて

長子のプーム?はこの若い叔父のボスに手厳しいです。

「義母はなんで赤字のバーに大金をつぎ込むのか?」

「バーの経営が大変なときに、よく長い休みがとれるな」

「3か月で黒字にしないと、以降、あの店の経営は私がやるから」

 

(ボスの回想シーン)

少年時代のボスは、義父の経営するホテルのラウンジで

年上のバーテンダーのブリムと出会い、恋に落ちます。

 

アメリカの大学に行きたいボスは

姉の資金援助を得て、

バーテンダーとして独り立ちしたいブリムと共に

ニューヨークに旅立ちます。

ボスの住まいは高級マンションのペントハウス。

 

ブリムのバイト先のタイ料理店ではウードも働いていました。

ウードはバーテンダーの勉強をしたいブリムにお店を紹介したりするうちに

彼女が気になるようになりますが、

ブリムが好きなのはあくまでもボスのほうでした。

 

実はブリムは、ボスを監視するのを条件に

彼の姉(母?)から大金を受け取っていたのですが

それに気づいたボスは怒り狂ってブリムを追い出します。

 

ウードは、ブリムを自分の部屋に泊め、

(彼女の気持ちを知りながらも)

「ブリムは別の男と駆け落ちした」みたいな嘘をつくんですね。

そして、ブリムのかわりにボスのペントハウスで暮らすようになります。

 

(ウードの告白、現代のシーン)

ブリムがバーテンダーのコンテストで旅立つ日、

思い切ってウードは告白してキスを迫るのですが

あえなく拒否され、その腹いせに(?)

「ブリムには別の男ができた」とボスに嘘をついたことを

ずっと気にしていました。

「ウードがボスに返したいもの」は「ブリム」だったわけです。

 

コースター書かれたブリムの連絡先を訪ねると

彼女は海辺にキッチンカーを停めて

カクテルのお店を開いていました。        (おしまい)

 

 

途中から、ちょっとうんざりしながら見ていたので

あらすじも正確ではないと思います。

 

玉の輿に乗ったのがボスの「姉」だったのが、

途中から「実は、母」になってるのもよくわかりません。

遺産分与にもかかわってくるから、

お金持ちの皆さん、こういうところは嘘つかないと思うんですけどね。

 

それで、「ウードが打ち明ける、ボスの過去も未来も書き換える、ある秘密」

というのが、「(別の男ができたという)嘘をついたこと」というのも絶望的で、

ホントに思う気持ちがあれば、あんな嘘、どうにでもなると思いますよ。

 

最後、あんな砂浜のキッチンカーでカクテル飲んで楽しいのか?

というより、ここで商売成り立つのか?

っていうのが一番の懸念ですね。

 

音楽とかカクテルとかに詳しければ、もう少し楽しめたのかも。

 

 

チュティモンさんは相変わらずかっこよかったけれど、出番はほんの少し。

DJだったウードの父のエピソードももっと膨らませればいいのにね。

自分と同じ病気で父が亡くなった時に帰郷しなかったことのほうが

「死んでも心残り」だと思うけど・・・・

父の遺したたくさんのレコードやカセット(父のラジオ番組をエアチェックしたもの)を

聞いて人生振り返るほうが、元カノを訪ね歩くのより、

私には共感度高いんですけどね。