映画「劇場版鬼滅の刃 無限列車編」 令和2年10月16日公開 ★★★★★

原作コミック 「鬼滅の刃」 吾峠呼世晴 集英社

 

 

蝶屋敷での修業を終えた“鬼殺隊”の竈門炭治郎は、

短期間で40人以上が行方不明になった“無限列車”を捜索する任務に就く。

妹の竈門禰豆子を連れた炭治郎と我妻善逸、嘴平伊之助は、

鬼殺隊最強の剣士“柱”のひとりである炎柱の煉獄杏寿郎と合流し、

闇を進む無限列車の中で鬼を相手に戦い始める。            (シネマ・トゥデイ)

 

公開3日で興行収入46億円、動員数342万人をはじめ、

映画史に残る快進撃を続けている「鬼滅の刃」の劇場版。

 

さすがにこれは映画ファンとしてスルーできないので、

1週遅れで観てきました。

平日の早朝だったこともあり、劇場はほどほどの入り。

入場者特典はもう終了と思っていたら、(ぬり絵は終わっていましたが)

『煉獄零巻』(小冊子) はちゃんともらえましたよ。

(終了しているところも多いので、SNSでチェックがおすすめです)

 

 

実はこの冊子にはそれほど期待していなくて、コミックの映画化なんかのときに

公開前にもらえる「原作コミック試し読み」のフリー冊子みたいなのを想定していました。

                     ↓ こんなの

 

今回の冊子は煉獄杏寿郎のエピソード0の読み切り漫画だけじゃなくて、全部で84ページ。

主要キャラの紹介もあるから、なんにもしらないオジサンオバサンにはとっても参考になります。

何冊も持ってる人は、ぜひお近くの鬼滅とは縁遠そうな中高年に

恵んでやってくださいませ。

自分には関係ないといいながら、一応社会現象になっているので

絶対に気になっているハズですからね。

 

そうそう、

いつもは、ネタバレあらすじから入るのですが、今回は、それは省略して、

「アニメをちょっと見ただけで映画にチャレンジした中高年代表」としての

感想をちょこっと書きたいと思います。

 

①ストーリーは大人が充分共感できる

子どもより大人向け、若い大人よりむしろ若くない大人向けかも。

誠実であれ!弱いものを労われ!

年長者を敬い、幼いものを守れ!そのために身を挺して戦え!

といった、「道徳」よりもむしろ「修身」の教科書にあるようなことを言ってるんですよね。

こういうことが、一周まわって、イマドキの子どもの心に届くことに驚きました。

もし他の媒体でこういう話があったら、きっと「そっちのスジの人たち」からの

圧力とかありそうな気がするんですけど、うまくかわしてる感じ。

大正時代という時代設定にも救われているのかもしれません。

 

②初見でもいけそう

「それまでのあらすじ」的なものはなくていきなり始まるのですが

鬼殺隊や鬼の相関図がわからなくても、

登場人物はかなり少ないので、なんとかついていけそうです。

舞台も、(夢のなかでいろんな場所に行ったりはしますが)

最後のラスボスとの一騎打ち以外は、ずっと列車のなかでしたし・・・・

我妻善逸のことを「黄色い少年」とか「金髪のガキ」

嘴平伊之助のことを「猪のカシラの少年」とか「ハダカいのしし」とか

呼び方がわかりやすいのも、もしかしたら初見者むけの配慮かな?

 

それにしても、登場人物名の漢字が難読すぎ!

子どもたちはすぐに読めて書けるようになるんでしょうから

漢字の学習にもなるかも?

人気ベスト20のキャラクターですが、何人読めますか?(↓)

 

冨岡義勇(とみおかぎゆう)
我妻善逸(あがつまぜんいつ)
竈門禰豆子(かまどねずこ)
胡蝶しのぶ(こちょうしのぶ)
時透無一郎(ときとうむいちろう)
竈門炭治郎(かまどたんじろう)
嘴平伊之助(はしびらいのすけ)
栗花落カナヲ(つゆりかなを)
甘露寺蜜璃(かんろじみつり)
煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)
錆兎(さびと)
伊黒小芭内(いぐろおばない)
胡蝶カナエ(こちょうかなえ)
不死川実弥(しなずがわさねみ)
珠世(たまよ)
宇髄天元(うずいてんげん)
鱗滝左近次(うろこだきさこんじ)
猗窩座(あかざ)
真菰(まこも)
不死川玄弥(しなずがわげんや)

 

そもそも私は

吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)という原作者名も

なかなか覚えられません(涙)

 

③おふざけのシーンがけっこうツボでした

背景も人物描写もすごくきれいな絵なんですが、

ギャグシーンではいきなりいい加減な作画になります。

「ここでわらってくださ~い」みたいなのは私は嫌いなはずなのに

なんか笑いのツボがあってしまいました。

尊敬する煉獄さんに

「そして、どこを見てるんですか!」

という炭治郎のつっこみに、必死で笑いをこらえました。

善逸のヘタレキャラもなかなかですよね。

 

④鬼が不死身でなかなか死なない

魘夢(えんむ  下弦の壱)は人間に強制的に夢を見させて精神崩壊に導く」という血気術をもち

人間が苦しみもだえるのを見るのがなにより楽しいというサイコキラーです。

見た目は性別不明で、優しい語り口なんですけど残虐この上なく、

切られても切られても即再生してしまう、手ごわい相手です。

こういうタイプはラスボスででてきそうなもんですが、彼はまだまだ下っ端。

今回のラスボスは 猗窩座(あかざ 上弦の参)なんですが、

予告編にもちらしにも出てこないから、彼の登場はネタバレ扱いなのかも?

 

⑤煉獄さんの男気と人を思う気持ちに涙

煉獄杏寿郎は鬼殺隊の最強戦士の「ひとりである「炎柱」

剣を教えてくれた父は突然情熱を失い、彼が柱になったときも「くだらん」というだけ。

父に代わって弟の千寿郎に剣の手ほどきをします。

彼が幼いころに死んだ母は、死の直前、杏寿郎を呼んで

「強く生まれたものは人を助ける責任がある。決して忘れぬように」

「私はもう長く生きられません。強く優しい子の母になれて幸せでした」

 

いよいよ彼の命が尽きる時、母の姿があらわれ

「俺はやるべきことを全うできましたか?」

「できましたよ」

やさしくうなずく母・・・・

肉体も魂も誰よりも強靭な煉獄さんが、

「最期に母に褒めてもらって嬉しい」というのがねえ

もう私の年代にはたまりませんでした。

常にぶれずに美しい精神の炭治郎にもただただ涙・・・・

 

ちょっと書くつもりが長くなったので、最後に

テレビを見ていてちょっと納得いかないことを「中高年代表」として・・・

 

ボイスキャストは全員完璧で、(へたくそなタレントの起用ももちろんなし)

それが本作の魅力でもあるんでしょうけど、

テレビをみていると、カリスマ声優を持ち上げすぎてて、若干違和感。

声はアニメに命を与えるけれど、原作や作画の話もしてほしいものです。

 

あと、音楽もよかったけれど、これもテレビではひたすら

「キンキン声のおねえちゃん」が体をくねらせて歌ってますけど、

中高年にはむしろ逆効果で、映画を観る気がちょっと失せてしまいます。

別に本編のなかでは歌ってる映像があるわけではないので

安心して映画館にGO!です。