映画「クーデター」 平成27年9月5日公開 ★★★☆☆



仕事の関係で東南アジアの某国に家族と一緒に移り住むためにやって来たジャック
(オーウェン・ウィルソン)だったが、到着した翌朝にクーデターが発生。
暴徒により外国人が次々と殺害されていく中、
滞在先を襲撃されたジャックは妻子を守るため、安全な場所を求めて逃げ回る。
現地で知り合った旅行者ハモンド(ピアース・ブロスナン)の助けで何とか命拾いしたものの、
思いも寄らない現実が彼らを待ち受けていた。(シネマ・トゥデイ)


家族でやってきた「東南アジアの某国」で、政変にまきこまれて逃げ惑う、とっても怖いお話です。
主演がオーウェン・ウィルソンだと思って油断していました。
想像していたのより何倍も怖いです。心臓バクバクです。

ジャックは妻の アニーと幼いふたりの娘をつれてアジアの空港に降り立つのですが
そもそも勝手に決めた海外赴任のため妻はまったく乗り気ではありませんでした。
迎えの車は来ないし、ホテルの部屋はイマイチだしで、眠れずに夜中にトイレで泣いてるアニー。
だいたいホテルでさえフロントに電話もできないし、お湯もでないし電気もつかないようなひどい国。
なんでこんな国に来なきゃいけなかったわけ?
翌朝になっても、テレビは映らないし、新聞もこない。
しかたなくジャックは新聞を買いに町へでるのですが、そこでデモ隊と軍隊が衝突する場面に遭遇し、
あわててホテルへ戻ると、なんと自分ら外国人は「まきぞえ」ではなく、
むしろ外国人がターゲットで、ホテルの各部屋をまわって皆殺しにしようとしているのに気づきます。
もはや警察も軍も退散してしまい、狂ったように繰り広げられる殺戮。

ジャックの家族をふくめ、生き延びた人たちはホテルの屋上で助けを待ちますが、
救助と思われたヘリからの銃撃。ついに屋上も陥落してしまいます。

ジャックはなんと隣のビルにアニーを飛び移らさせ、娘たちもそこをめがけて放り投げる無謀な作戦。
怖くて泣きわめく彼女たちを説得して何とか成功します。
アクション映画だったら「ビルからのダイブ」なんて普通ですが、自分の家族にそんなこととてもできませんよね。
「素手で敵をなぐり殺す」なんてこと、一番やりそうもないオーウェン・ウィルソンだから、
家族を守るために切羽詰まった感が半端ないです。

行きの飛行機で知り合ったハモンド(ピアース・ブロスナン)がたびたび現れてはいいところで助けてくれるのは
「お約束」ですけれど、彼も死んでしまい、ホントに頼れるのは家族だけ、というなかで
いかにこの局面を脱出して生き延びるか??って話です。
想像以上にエンターテイメント性はなし。
ひたすら怖いです。

彼らはとりあえず「アメリカ大使館を目指す」という目的をもって一致団結するのですが、
どう考えても大使館がゴールとも思えず、
さらに「(敵の目をかいくぐって)川を3km下ってベトナム国境を超える」という、さらに難しい課題クリアを目指します。

それにしても、このモデルになったのはどこの国なんでしょうね?
「川」が、メコン川だとするとカンボジアみたいですが、メコン川にしては川幅が狭かったような気がします。
「外国人を狙ったテロ」が国際的にまったく放置されるとはかなり考えにくいですが、
殺されるようなことをしてないのに問答無用の大量虐殺、というのは、
カンボジアだったらポルポト派による虐殺とか・・・
最近観た映画では「ルック・オブ・サイレンス」での60年代インドネシアの軍事クーデターとかが記憶に新しいです。
「何が善悪か考える前に家族を救うことだけ考えろ」というせりふがありますが、
「助かるために手段を択ばない」というシビアな状況を目の前に突き付けられた気がします。
この危機を生き延びた4人家族の結束はゆるぎないものになりましたが、
こんな経験をしなくても一致団結できる家族になりたいな。