■外免切替に潜んでいた「異常な実態」と制度の転換
これまで、外国で取得した運転免許を日本の免許へ切り替える「外免切替」の手続きには、驚くほど多くの「穴」が存在していました。
短期滞在の旅行者が宿泊先のホテルを住所地として申請できたり、知識試験がわずか10問のイラスト問題だったりと、実質的にはほぼ無審査に近い状態が続いていたのです。
日本の複雑な交通ルールを十分に理解せず、十分な運転技能も伴わないドライバーが公道に溢れることは、歩行者や他のドライバーにとって大きな脅威でした。
こうした状況を重く見た警察庁は、2025年10月から制度の抜本的な厳格化を断行しました。
その結果が数字となって現れ、いかにこれまでの基準が甘すぎたのかが浮き彫りになっています。
■「知識確認」の大幅な合格率低下が示すもの
まず、交通ルールの理解を問う「知識確認」の変化が顕著です。
以前はイラスト付きのわずか10問という簡易的な内容でしたが、現在はイラストなしの文章問題50問へと大幅に増強されました。
さらに、合格ラインも「7割以上」から「9割以上」へと引き上げられたことで、全国の合格率は92.5%から42.8%へと激減しています。
大分県に至っては、93%だった合格率が34.6%まで急落しており、実に60ポイント近い低下を記録しました。
これは、これまでの試験がいかに「形だけ」のものであり、真のルール理解を測れていなかったかの証左と言えるでしょう。
■「技能確認」合格率3%という衝撃的な現実
さらに深刻な結果が出たのが、実際に車を運転する「技能確認」です。
横断歩道や踏切の通過といった必須課題が追加され、採点基準も「右左折方法」や「合図の不履行」に対して非常に厳しくなりました。
全国平均でも合格率は13.1%まで下がりましたが、特筆すべきは大分県でわずか3%という数字を叩き出したことです。
以前は23.7%あった合格率がここまで低下した事実は、これまで日本の道路を走る資格に満たない技術のまま、免許を手にしていた人がいかに多かったかを物語っています。
合図を出さずに曲がる、あるいは歩行者のいる横断歩道で適切に停止できないといった、日本の道路における「当たり前」の技能がないまま運転を許可することは、もはや不可能な時代になったのです。
■「短期滞在者」の切り替え禁止という大きな一歩
今回の改正で、おいらが最も評価すべき点だと感じるのは、短期滞在者による切り替えを不可能にしたことです。
観光ビザなどで来日した外国人が、ホテルを拠点に日本の免許を取得し、それを国際免許に書き換えて他国で利用するといった免許洗浄のような行為が問題視されてきました。
住所としての実態がない場所で日本の公文書を発行すること自体、本来の趣旨から大きく逸脱した異常な運用でした。
今回の厳格化により、日本に一定期間居住し、生活の実態がある人でなければ切り替えができなくなったことは、防犯上の観点からも極めて重要です。
公文書としての免許証の信頼性を守るためにも、この変更は不可欠な措置だったと言えるでしょう。
■日本の道路を走るための「適切なハードル」
「試験が難しくなりすぎて困る人が出る」といった声もあるかもしれませんが、運転は一歩間違えれば人の命を奪う行為です。
その国の交通ルールを学び、現地の走行マナーを身につけることは、外国で運転を許可されるための最低限の義務であるはずです。
日本は世界的に見ても歩行者が多く、道路も狭いため、合図の一つ、一時停止の一回が事故防止に直結します。
警察庁が今回のデータを受けて「今後も適正に取り組んでいきたい」としている姿勢は、主権者の安全を守る公的機関として正しい判断です。
合格率が下がったということは、それだけ不適格なドライバーが路上に出るのを未然に防げたという、成功の証に他なりません。
■真の国際化に向けた「ルールの徹底」
日本を訪れる外国人や、日本で暮らす外国人が増える中で、真の国際化とは「誰にでも甘くすること」ではありません。
日本に住む以上、日本のルールを等しく守ってもらうことこそが、本当の共生社会への道だとおいらは確信しています。
外免切替の厳格化は、決して差別的なものではなく、道路を利用する全ての人の命を平等に守るための適切なフィルターです。
これからも、事故の増加を防ぐために、知識・技能の両面で厳格な審査を継続してほしいものです。