私の友人で「志水勝美」さんという高校時代の友人がおります
12年前、私が愛知県がんセンターで治療を終えた4月の頃、彼から高校時代の友人数名と飲み会をするので参加しないか?との電話をもらいました。
その頃は、抗がん剤の副作用があり、体もだるく気分もすぐれなかった事もあり、お断りしました。
「半年前に肺がんと分かり、現在治療中で行く気にならない」と彼に肺がんの事実を初めて告げました。
それから6か月後に又、彼から電話がありました。
9月の中頃です。
「少し涼しくなったので、仲間と話し合った結果、斉藤(私の事)を励ます会をやりたいが、どうする?」と電話がありました。
その頃は会社に復帰し、イメージトレーニングも一生懸命していたので何となく前向きで治せる気分になっていました。
それで「久しぶりに会いたいね」とお願いしました。
6人ほどの友人が集まりました。
「斉藤、大丈夫か?」
「うん、何とか生きている」
友人たちと、飲みながら(私はウーロン茶)ワイワイと話している中で今回取り持ってくれた志水さんより、
何か食べたいものがあるか?と聞かれ
「糠漬けたくあん」が食べたいと答えました。
がんになる前、香り高い美味しい糠漬けたくあんが食べたいと常々思っていたので、ついそう言ったのです。
「分かった!お前のために糠漬たくあんを作ってやる」
そして年が明けた1月末に
「作ったから届けに行く」と電話があり、届けてくれたのです。
私が「食べたい!」と言った時から自分の畑に種をまき
大根をつくり、それを軒先に干して萎びさせ、柿の葉、茄子の葉、唐辛子などを糠に混ぜ込み作ってくれたのです。
少し塩からかったのですが、歯ごたえもよく、糠の香りが聞いた「たくあん」でした。
それからずーと今日まで毎年必ず作ってくれます。
11年続いています。
先日も「出来た!」と電話があり、取りに行きました。
ついでに生の「ダイコン」も頂きました。
大きなダイコンでしょう
マイ妻とダイコン
彼の自宅へ行くと、抹茶を立てて、お饅頭も出して頂けます。
奥様と三人で、いつも1時間ほどおしゃべりしています。
11年前に私のために開いてくれた「飲み会」は定例化して年2回行われる事となりました。
今年は皆、古希となります。
5月末には「東海学園42年卒」の古希を祝っての同窓会も開かれます。
いつもこの時期、たくあんを頂く時には、感慨深いものがあります。
見守ってくれた友人達は私にとって、とてもかけがいのない宝です。
私を支え、励ましてくれた友人達に感謝しています。
がんを患ってから12年と2ヶ月経ちました。
手術不可と言われてから、いろいろな事を試みましたが
振り返ってみると、私には友人や会社の同僚が支えてくれたのが良い結果になったと考えます。
私のために
「酒絶ちをしてくれた方」
「がんを宣告され、妻と最後の思い出を作りたいから
休暇が欲しいと言ったら快く送り出してくれた会社の
同僚」
「会社に復帰した時、仕事は私達がやりますから、ゆっくりしてくださいと言ってくれた同僚たち」など
支えてくれた多くの友人に恵まれました。
ですから、今、いずみの会でボランティアをしている
理由を一つ上げるとしたら、私の友人達と同様に、
会員さん達を支えていきたいと思っているからです。
がんを克服していく上で最も大切なのは支えてくれる
仲間が絶対必要であると思います。
それは治療にも良い結果が生まれるはずです。
その仲間の一員として、お手伝いをして一緒に、
共にがんを生き抜きたいと願っています。
お互いに支え合い、励まし合って行く中で希望が生まれてくると思います。
生まれてきた希望こそが自身を引っ張り上げてくれると信じています。