梶原です。
こちらでは相当お久しぶりです、確認したら7ヶ月ぶり、ほぼ半年以上ですね……。ツイッターに入り浸り過ぎたり、住居地が台風直撃で何度も停電したり色々理由はありますが、まぁ一番の理由は単純に燃え尽き症候群(物は言いよう)になり、ブログがずっと滞ってしまました。更新を待ちかねていた読者の皆さん、お待たせしました。むしろ誰も待ってないけどお待たせしました。俺の人生そんなんばっか
(上の元ネタ、全人類にお勧めしたいメッセージソング)
自分で書いてて悲しくなってきたので本題に入りますが、急にブログを再開した理由を。皆さんはツイッター上で盛り上がっているハッシュタグ、#2010年代映画ベスト10 を御存知でしょうか。発端は、幅広いテーマで映画に関するベストテンを決める人気集計企画で知られる映画ブロガー、ワッシュさん(@washburn1975)のこちらから広まったタグでして、2010年だから2019年の期間で、印象に残った映画を人によりランキング形式、または順不同で紹介されてるタグです。最初僕もツイッターでこれを発表しようかなと思っていたのですが、このテン年代、一応時代を区切ってのベストになるわけで。それならいいね欄に入れておけばいいとはいえ、時間が経つと何となく忘れてしまう(まぁ僕が忘れっぽいだけなんですが……)一過性が強いツイッターでポンッと投稿するより、一応こうしてブログがあるなら記事に残しておけば、アメーバブログが突然消失でもしない限り読み返せる(まぁココだけの話ブログは滅多に読み返さないんですけど……えっ?)し、折角だからきちんとした文章として保存しておこうと考えて、久方ぶりにこの廃墟へと足を踏み入れたわけです。と、いう感じで長々と前置きしてしまいました。
そろそろ文章水増しするための語彙も無くなってきたので、遂に本編にはいります。
……と言いつつ急ブレーキしてしまい申し訳ございません。最初にこれを考えたとき、他の方の2010年代ベストに関するブログとか読みにいったりしたんですね。皆さんこの10年色々あったな~と結構人生観と映画を照らし合わせて熱く解説されておりまして、まぁ長いですからね。期間にしてみれば小学校6年間と中学校3年間くらいある期間ですから、僕も皆さんみたいに就職とか結婚とかの人生イベントと絡めて紹介しようかなと考えたんですが、僕の2010年から今まで……。
ろくな思い出がねぇ……。
(マジこれ)
いや、最近というか、熱心に映画を追い始めたりツイッターをきっかけにオフ会とかに勇気出して参加して、映画関連で親切な方たちと友人になれた2017年から辺りはずっと最高なんですが、こう、2010年から2015年辺りがマジブラックヒストリー過ぎて……。まぁバイトしたり就活して入った所がアレだったり諸々良くない事は、学生時代にまじめに勉強なり青春なりに打ち込む事に背を向けてきたしっぺ返しを食らってきてるだけなので、恨む相手は自分しかいないんですけどね、てへ
自分で書いてて死にたくなってきたのでね、さっさとベストの発表、および自分なりのベスト解説を流していこうと思います。あ、ここ最近はずっと最高の年ですよ。ある意味後れてきた青春を謳歌してます。ありがとう皆! ありがとうツイッター!
まず形式として、こんな感じにしていきます。
・それぞれ洋画と邦画で印象深い作品を10作品選出
・その中でも特に今の映画観を成形してくれた作品をランキングで発表
洋画
2010 アジョシ 監:イ・ジョンボム
2010 SUPER! 監:ジェームズ・ガン
2012 ドラゴン・タトゥーの女 監:デヴィッド・フィンチャー
2013 グランド・マスター 監:ウォン・カーウァイ
2014 オンリー・ゴッド 監:ニコラス・ウェイディング・レフィン
2014 キャプテンアメリカ ウインターソルジャー 監:アンソニー・ルッソ/ジョー・ルッソ
2015 イップマン 継承 監:ウィルソン・イップ
2015 ミッション・インポッシブル ローグネイション 監:クリストファー・マッカリー
2016 ザ・レイド2 ベランダル 監:ギャレス・エヴァンス
2018 スリー・ビルボード 監:マーティン・マクドナー
邦画
2012 桐島、部活やめるってよ 監:吉田大八
2012 SR サイタマノラッパー3 ロードサイドの逃亡者 監:入江悠
2014 クリーピー 偽りの隣人 監:黒沢清
2015 ソレダケ/that's it 監:石井岳龍
2015 GONINサーガ 監:石井隆
2015 恋人たち 橋口亮輔
2016 シン・ゴジラ 監:庵野秀明
2016 ヒメアノ~ル 監:吉田恵介
2017 さらば、アブない刑事 監:村川透
2019 メランコリック 監:田中征爾
と、いう訳で洋画邦画からパッと浮かんだりじっくり悩んだりしながら、印象的な作品を選出しました。洋画だとそれこそパシフィック・リムとかドライヴとか新しき世界とか、邦画ならアウトレイジ最終章とか寝ても覚めてもとか地獄で何故悪いとか、その年その年に見たときはこれはオールタイムベスト! ってなる作品は多々あるんですが、やっぱりここらへんに挙がるのは最終的に自分の趣味嗜好や、人生観に強い影響を与えてくれた作品が一歩ぬきんでた感じですね……。何様だよって言い分ですが……。
ではここから本当に本番として、ここから選出した自分なりの2010年代ベストテンを発表していきます。相当長くなりますが、お付き合いしていただけると幸いです。
まず10位は、2019年度の作品から唯一入るメランコリックです。東大卒だけど将来が定まらないニートの和彦と、学も職もないけれど殺人の才能をヤクザに買われている不憫な青年、松本君が銭湯を舞台に繋がりあい、やがて凸凹ながらも心通じ合うコンビとなる、変わったバディ物です。バディムービーとして非常に面白い、だけに留まらず、実は現代社会に蔓延る歪み(格差社会や下儲け構造等……)を皮肉りつつ、根っこに擬似家族物としての暖かなヒューマンドラマを偲ばせ、映画としての質の高さ、巧さだけでなく現代だからこそ出来た作品として印象深く、令和初のオールタイムベストになりました。
次なる9位は、2010年からアジョシです。未だに色々な方から高く評価される本作ですが、僕も例外ではなく、もしもこの作品を知らなかったらここまで韓国映画にのめり込んでいる今が存在しなかったのでランキングに入れない選択肢はありません。身を粉にして少女を救うために髪を切り、悪を斬り、背後で爆発が起きても振り返らないアジョシの格好良さは今見ても痺れますし、主観視点を入り混ぜた2分もないけど超手に汗握る伝説的なナイフファイトは何回見ても飽きません。マジで。
(アジョシとか殺人の追憶とか韓国映画の古びなさ、強度はずば抜けてると思う)
8位は2015年から恋人たち。この並びだと違和感が何となく生じる感じですが、僕にとって主要人物の悩んで苦しんで人生に躓く3人はどこか他人のように思えず、勿論彼らの様な波瀾に富んだ人生に比べたらヌルい生き方してますが、それでも彼らの抱えている辛さや痛みは自分の中にある一部として共鳴したので……。そしてもう一つ、人生が辛すぎる苦境に立たされて、そこで諦めて自殺や犯罪に走って周りや自分を傷つけるよりも、自分の近くにいてくれている人に助けを求めたり、会話を交わしたい人生を送りたいなと思わせてくれたのが、強い理由だったりします。あの流行の猫じゃないけど、生きてるだけで、ヨシ!
7位は2015年のイップマン継承、6位は2013年でグランド・マスターです。
この両作に関しては、完全に趣味枠であります。と言いつつ僕自身カンフー映画にそこまで精通してたりしてる訳でもないんですが、功夫という題材で、同じ偉人(イップマン師匠)を主軸におき、尚且つラスボスが今をときめくマックス・チャンという共通項がありながらも、映画としてのルックスや描かれるテーマ、戦闘シーンに至るまで全く違う世界を確立していて、あぁ映画って奥深いなと改めて感じさせてくれた作品なので愛着もあり入れました。前にかの新文芸坐さんで、マックス・チャンさんの特集オールナイトにてこの並びで上映されたらしく、是非とも拝見したかったですね……。
5位は2015年のGONINサーガです。私的に90年代邦画の中でもベストテンに入るほど僕は前作のGONINが好きなのですが、そんなGONINを石井隆監督本人が物語の因縁にケリをつける、だけに留まらず石井監督流に、90年代という時代そのものに引導をくれてやるような、終盤の血と雨と名美と村木と根津さんに満ちた銃撃戦に痛く感激して胸を貫かれたのでここに入れました。暫く新作の続報を聞かない石井監督ですが、風の噂でやっているらしい7(セブン)はGONINのその先を見せてくれると信じている自分とはしては、これが見れる日が来るまでは死ねません。まぁ時間が掛かってでもじっくり納得いくまで作品に向き合って貰いたいです。マッドマックス・フューリーロードみたいに超絶成功例もあるし……。
そうしてまた物騒な4位の2014年からオンリー・ゴッドですが、僕はレフィン監督の前作や前々作のドライヴやブロンソンの時点で滲んでいる、強烈な唯一無二の個性が大好きなんですよね。そんな彼が伸び伸び自由にやりたい放題やった結果、誰に評価されなくても俺が好きなのはこれ!と裸どころか内臓まで見せ付けてくる様なこの作品に僕は映画の神様を垣間見てしまったので……。そりゃあ好き嫌い以前によくわからなかった……となる人が大多数なのも仕方がない変な作品ですが、それでも僕は神を見てしまったのでこの順位です。神なのに4位なのかよとか言わない
(僕が広報なら正直頭抱えると思う)
ここまで全然中身のない長文を読ませて続けてしまい申し訳ないのですが、数行だけ自分語りをさせてください。かの2015年、僕は諸々揉めた挙句、当時勤めていた職場を自主退職しました。自主退職というと聞こえはいいのですが、殆ど逃げ出す形で辞めたんですね。経緯とかは本当くだらないし文字稼ぎになるので伏せますが、もうその頃の僕は普段から低い自己肯定力が地の底まで付いていて、心身ともにズタボロのボロ雑巾状態でした。早くハロワ行かなきゃ、転職活動しなきゃと頭によぎりつつも、もう何でもいいや面白ければと一瞬でも気を紛らわせてくれる何かを求めて映画観に出向きました。
そこで出会ったのが、3位の2015年のソレダケ/that's it です。伝説的バンド、bloodthirsty butchersの激しくも情緒的なサウンドに乗って描かれる主人公、大黒砂真男のみっともない足掻き、身の丈に合わない必死な反抗、それでも掴めない明日へと手を伸ばそうとするその姿に、僕は何故だか自分でも訳がわからない位号泣してしました。ダムが決壊したみたいに。単純に当時を振り返ると、あまりに至らない自分自身の心境を砂真男と重ねたからかも知れませんが、もうとにかく心の痛い部分を滅茶苦茶刺激された覚えがあります。そしてその日一度見てすぐ、次の回も立て続けに見ました。記憶力が貧困なのでもしかしたらそういう作品もあったかもしれないけど、でも僕の中で同じ日に同じ映画を二回見たのはソレダケ/that's it が唯一の作品です。今の所。ある意味思い入れとしては1位な作品ではありますが、いろんな理由で強烈な作品があと2本あるのでこの位置ですみません(謎謝罪 とはいえ今の僕がいるので間違いなくこの作品のおかげです。こんな場で言っても完全に独り言ですがありがとうございます、石井岳龍監督。
(救われました)
さて、後残すは2位、1位のツートップ2作品です。この流れでまた異色な感じですが、2位は去年2018年のスリー・ビルボードです。初見のときはそれほどズシンとは来てなかったんですが、どうにも足元が覚束無いもやもやした感覚が心に残りました。それから自分なりに作品内の描写を解釈したり、他の方の考察や感想を読んでいくうちにあ、これめっちゃ深い……表層的な物を剥がしていくと、とんでもない中身が溢れ出てくる凄まじい強度の作品なんだと気付き、一気に大事な映画となりました。そして同時に、何かと(それ自体は悪いことではないけど)勧善懲悪とか極端な主張のキャラクターが出てきてそれに感化されがちな僕なのですが、いや、人間って善悪簡単に割り切れない生き物だし、現実って君が考えてるよりずっと複雑なんだよと、でも悪いことは悪いって言える世の中の方がいいね! と凄い説法を聴かせてくれた様な映画でもありますね。なんか結局感化されてる感あるけどまぁいいや。
さてさて、遂に僕のテン年代でも最も大好きな1位の作品です。もったいぶらずにいきなり書きますが、1位は2010年のジェームズ・ガン監督のSUPER!となりました。おめでとうございます。
こちらはスリー・ビルボードが最後に観客に投げかけて終わる、いわば人にとって正義とは?って部分を全力で、例え不恰好で不憫で情けなくても、悪いことは悪いんだ! 麻薬も児童虐待も人身売買も全部悪なんだ!! と見てるこちらの胸倉を画面外から引きずり掴んでくるような勢いで、僕の中で映画を見る価値観を揺さぶってくれた作品でした。そして本当に心を揺さぶってくれるような映画はとっくに型落ちしたしょぼいノートパソコンの小さい画面でも、関係なく感動して慟哭出来るんだと実感した作品としても印象深いのです……。そんなSUPER!、数年前、東京の名画座の一つとして有名な新文芸坐さんにて、オールナイト特集上映で僕は初めて(そして上映権が切れたらしいのでたぶん最後?)大きなスクリーンで主人公フランクの勇姿を拝めました。そこで思ったのはめっちゃ面白い作品はどんな媒体で見ても面白い、けどデカくて広い画面で見るとよりめっちゃ超面白いって事に気付きました(何だこれ
だから僕はこれからも映画観に余裕がある限り足を運び、映画を見に行きたいなと思う次第です。ちなみにこのオールナイト、上映作品が他はターボキッド、キック・アス、アタック・ザ・ブロックとぼんくら濃度200パーセントの僕の様な人種には盆と正月とクリスマスとGWが同時に来たような並びでした。楽しく美しい思い出を本当にありがとうございました、これからもオールナイト含め期待しています、新文芸坐さん。でも今この並びだと、入るとしたらベイビードライバーかな……。
と著しく脱線してしまいましたが、ここまでアホみたいな長文を読んでいただきありがとうございました&お疲れ様でした。改めてのランキング一覧です。
2010年代ベストランキング
1位 SUPER!
2位 スリー・ビルボード
3位 ソレダケ/that's it
4位 オンリー・ゴッド
5位 GONINサーガ
6位 グランド・マスター
7位 イップマン 継承
8位 恋人たち
9位 アジョシ
10位 メランコリック
改めて並べてみるとやはりこう、凄いボンクラ臭が立ち込めて拭えないのは否定出来ないのですが、僕は何となく、”ブレない”のが好きみたいです。アジョシやイップマン継承・グランドマスターのイップ師匠を始めブレなく気高く戦い続ける人や、恋人たちやスリー・ビルボードのブレなく届く、骨太なメッセージ性、またオンリー・ゴッドやGONINサーガのブレなく貫かれる作家性とか……。僕自身人生も性格もブレブレグズグズ駄目人間なせいでしょうか、映画の中にそういう強く曲がらない何かをずっと、求めている気がします。いやまぁ、僕自身強くなれよって話なんですが……。
と、変に自虐に走らないうちに、次の2020年代からどんなブレない力強い、そして心を打つ作品が見れるかがとても楽しみです。前半俺の人生何もねえ……と愚痴ってはしまいましたが、この10年、僕は映画に支えられ、映画に助けられ、何より映画のおかげで沢山の出会いに巡り合えました。何はともあれ、この10年はとても良い10年でした。これからも健康を維持して、面白い映画を大きなスクリーンで見続けたいです!
ありがとう映画!ありがとうツイッター!そしてこれからも宜しくお願いします!
ここまで読んでいただきありがとうございました、梶原でした。近々更新しますので、またお会いしましょう。