湿った火薬庫

湿った火薬庫

基本的に1日1本お勧め映画の保管庫。たまに駄文交じり

梶原です。

6月もそろそろ中盤、湿気が嫌な季節になってきましたが、それ以上にやはりまだコロナの影響が心配な今日この頃、皆さんはどうお過ごしでしょうか。

僕はといえば緊急事態宣言発動してから暫くは自粛生活に励んでいました。まぁ励むといっても何かを頑張ると言う訳でもないんですが……。自粛期間に入る前に映画館で映画を見たのは3月の22日で、事もあろうにその日に見た映画はあのバック・トゥ・ザ・フューチャーpart3でした。午前十時の映画祭でやっていて、何となくどうしても見ておきたい(この時点で映画祭最後の作品ということもあり)なと思いまして。

 

 

内容は言わずもがな、最高でした……、シリーズの最終作を飾るに相応しい、豪快ながらも鮮やかな盛り上がり。数多の西部劇をリスペクトした銃撃戦やタイムスリップに蒸気機関車を利用するダイナミックなアクション。そして何より、ドクさんが最後に残すウルトラ前向きなメッセージも全てが輝いて見えて、自粛期間に入る前の僕にはとてつもない勇気を頂ける、見るリポビタンDでした。こりゃどれだけ長い期間になってもファイト一発耐えようとなる程の素晴らしい名作でした。それで……耐えました。

 

それからまさかの77日間。こんな自己最高更新記録迎えとうなかった……。仕方ないんだけど辛かった……。

2ヶ月と15日。辛いという割に日実にしたらこんな物か、って感じではありますが、ここ4、5年で映画館に通い始めて映画を見る、という習慣が根付き始めてから、こんなに映画館に行かない期間は前代未聞でした。とはいえ映画そのものに対する興味が消失したわけではなく、映画館に行かなくても映画自体は継続してみていこうと気持ちを切り替えてはいました。信頼している方から勧められた作品を見たり、溜まりに溜まっているネットフリックスを徐々に消化していったりして。これはこれで楽しかったですし、知識や興味の深みが増して有益でした。気兼ねする事もないし、自宅だから何食べててもマナー違反にはならないし。

 

しかし、しかしです。何か妙なことに、どうにも心が満たされないのです。毎日毎日映画館に通い詰めてる程に映画に染まっている人間でもないのですが、やはりどこか物足りなさを覚えてしまうんですね。社会情勢を垣間見たら今くらい、もう良い大人なんだから我慢しなさいよと言われたら無論ぐうの音も出ないし、そもそも映画館閉まってるだろアホがと自分を戒めつつも、なんと言いますか、家で面白い作品を見ると、心の片隅でこれを映画館で見たい! 見てみたい! という絶唱が日に日にどんどん大きくなっていく感じがしていました。こんなわがまま、自制しなきゃいけないなと頭で理解はしていても。

自粛期間中に色々な映画を見てきました。ネットフリックスで6アンダーグラウンドの磁石万能説とか、アンカットダイヤモンドの逆切れ賭博とか、レンタルではインサイダーズの世にもおぞましい接待ゴルフとかコンジアムのジェットコースター車椅子とか……。そういう迫力に満ちた名場面を眺めると、これに匹敵するような瞬間を映画館の大きなスクリーンで拝みたいというサガが生まれてしまう訳です。下手糞なりに心情を例えると、鼻の先にぶら下げられたにんじんを、後一歩のところで食べられないでいるお馬さんだとか、カニ料理をディスプレイ越しに食べるカニカマ(あ、あくまで例えです。カニカマは美味しいので、ごめんなさい……)みたいな心情でした。我ながらこれはいかん、現実に向き合わないとと思いつつ、素直な事をいえばとても寂しい気持ちでした。心の中にぽっかりと穴が空いたようで。そんな空洞を無理矢理(製造業なのでこの時期馬鹿に忙しかったです)仕事の忙しさと、でもパソコンやテレビで見ても面白いものは面白いしな……と失礼な態度ではありますが溜めた作品鑑賞というパテで補強しながら過ごしてきて6月。

 

まだまだコロナ渦なので油断は出来ない状況ではありますが、、宣言解除により我が地元千葉でも映画館が再開し始めました。

 

 

ほ、本当かなぁ……とドキドキしながら映画館のホームページを見るとあぁ! 真っ白だった上映スケジュールがぎっしりと埋まっている!! その時の僕はまるで無人島でのSOSサインをようやく飛行機から見つけてもらえた遭難者みたいな心境でした。例えはオーバーすぎるかもしれませんが近い感じです。解禁されて何を見ようかとラインナップを見たらまぁ凄い。少しでもお客さんの足取りを戻そうとする劇場さんの頑張りで、選り取り見取りの名画座状態。フィーバーですよ。体がいくつあっても足りないよこれ! と僕の中のインサイドヘッドが全員ヨロコビになって大パニックです。本当に死ぬほど悩むチョイスの中で、選んだのは京成ローザ10さんでのブルース・ブラザーズでした。

 

 

もうとにかくスクリーンで、映画館で見ると楽しいであろう滅茶苦茶派手で笑ってニコニコ帰れる作品はなんだろうと考えた結果、シン・ゴジラでも天気の子でもAKIRA(まぁこれは後日見ることになりますが……)でもなくブルース・ブラザーズ。何故だかは僕にもわからないのですが、でも皆さんもあると思います。自分が見たいってより、映画が自分を呼んでるなって思うこと。そういう事です。多分。

 

そうしてあの二人に招かれた僕は、仕事の日々を耐えがたきを偲び偲びがたきを耐え、心に一張羅の黒スーツを身にまとい、映画館に参ったのです。

久々に足を踏み入れた映画館は今の時勢仕方がないとはいえ、何とも閑散としていました。けれど壁際に提示された様々な映画のポスター、電光掲示板に映されたタイムテーブル、普段はそんなに意識していなかったけど、不思議と懐かしさがこみ上げてくるポップコーンの匂いと、目前に広がる光景に僕は感慨に耽りこう思いました。ただいま、と。たった77日なんて大したことのないであろう日数でも、こんなに映画館が感慨深く、かつ愛しさを覚えるなんて。

多分僕の方がメランコリックすぎるというか、随分感傷的な奴だなと自虐しつつも、けれど色々な制約とコロナの影響で様変わりしてしまったとしても、普段の人生では決して味わえない非日常を気軽に体験できる、タイムマシーンにも旅客機にも宇宙船にもなれる魔法の空間に帰ってこれたんだなと深く安堵しました。

 

僕にとって冴えない灰色の日常に豊かな彩りを与えてくれる希望が、ここにあるのです。そんな馬鹿にセンチメンタルな気分に浸かりながら、僕は久しく感覚を忘れていた、暖かな暗闇の中に身を委ねて映画の世界に没入していきました。いつもはさらっと流してしまうローカル企業のCMも、相変わらずわちゃわちゃしてる映画泥棒にも異様に感動する始末。これで仮に2ヶ月に留まらず半年以上の期間があったら僕は一体どうなってしまうのか、見当も付きません。さて、ブルース・ブラザーズを完走した感想ですが……。

 

……当たり前の様に泣きました。

 

もうね、主人公の片割れであるジェイクというおじさんが、刑務所から出所してくるだけのオープニングの時点で泣いてましたね。場面として本来はただ単に刑を終えて出所するだけなのに、何故か背後から謎の威光が輝いているっていう、多分笑えるシーンな筈なのに。僕にはここのジェイクの姿が映画の擬人化で、長い間待たせたな! と言ってくれている様で、心の中でエルウッドと同じように熱い抱擁を交わしていました。僕の好きなアニメのOPの一節に、君を退屈から救いに来たんだ、ってのがあるんですが、正にそれでした。映ってるのはヒーローではなく前科持ちの無職のオジサンなのに。

それからはもう一々感動しっぱなし興奮しっぱなし。JB神父のソウルフルな、百合子大激怒の三密完全違反教会ミュージカルも、こち亀みたいに容易に建物も電話ボックスも吹っ飛び爆発しまくるギャグも、どれだけお金と技術が注ぎ込まれているかわからない、馬鹿みたいに凄いドタバタカーチェイスも、多幸感の化け物みたいな刑務所での監獄ロックエンドも、全ての瞬間瞬間が劇場の暗闇の中で眩く僕を照らしてくれました。そして僕は思ったのです。やっぱり映画館で見る映画の魅力からは、逃れられないなって。

 

僕にとって、作品の面白さや肌に合うかは勿論重要ではありますが、身動きが取れなかったりある程度行動を制限された特殊な空間の中で、自分とは全く違う人生を生きている人達の人生を垣間見れる映画館の存在が、日常に必要なんだと強く実感した次第です。まぁ前述の経験……他の人の人生を追体験する、って点だけなら本やアニメとかでも出来るとは思うんです。けれど何というのでしょう……。

こう、今の所俺は今、全く知らない世界を垣間見ている! と最も体験できるメディアが映画で、それを更にグッと、感情を増幅させて肌に伝わらせてくれるのが映画館なのです。賑やかなエンドロールが終わって、少しずつ照明が点いてきて、非日常から日常に戻っていくあの感覚。楽しかったり怖かったり、あるいは趣味に合わないマイナスに駄目な作品でさえも、知らない世界を覗いてきて、あぁ、良い夢だったなと自覚する瞬間の中毒性が好きで、僕は映画館に通っています。

 

ブルース・ブラザーズの後はうきうきした足取りで、映画館を移動して、ジム・ジャームッシュなる監督の最新作な、デッド・ドント・ダイというゾンビ映画を電車を乗り継いで、幕張シネプレックスさんに見に行きました。

 

これも人により結構評判が分かれてはいますが、僕としてはとてもとっても良かったです……。

ロメロ系統のゾンビ映画をあらゆる意味でストレートに緩くリスペクトしつつ、ジャームッシュイズム溢れる間とギャグを散りばめた、時間の流れのゆったりさが何とも贅沢な、素敵な作品でした。ダウナー系な漫才コンビみたいなビル・マーレイとアダム・ドライバーの警察官コンビを筆頭に、いい感じに体温が低い登場人物達の中で、異様に存在感ありすぎて宇宙人みたいなティルダ様の弾けるティルダ様っぷりが、ジャームッシュワールドを変な形で引き締めていて。そういうちぐはぐさも含めて、個人的にとても可愛らしい映画でした。純度100パーセント愛嬌の映画でしたね。僕は好き。

と、こうして自粛期間明けの久々二本立てを堪能してきました。ブルース・ブラザーズの、完成度が非常に高い、頭からつま先まで抜け目なく笑えて燃えてほっこり出来る不朽の名作の後で、作家性全開の温いポンコツさや緩さに笑みがこぼれてしまうミニマルな作品を二本立てで見る、この喜び……。同じ「映画」という枠組みに存在する世界でも、ここまで世界観も温度差も異なる逸品をスクリーンで堪能できて、本当に良かったです。帰り道、めっちゃ久しぶりに、車内の中で自然に鼻歌を歌いながら帰っていました。ブルース・ブラザーズの Think!を。もうこういう事も(仕事終わったら即帰宅してたので……)暫くやってなかったなと。

 

(超名曲です)

 

あぁ、本当に何度同じ事言ってんだしつけえと自分でも思いますが言わせてください、映画館っていいものですね。何か締めの巧い文章でも書こうかなと思ってたんですが、タイトルにある様にただ単に自粛期間が解けて映画館に駆け込んだだけだけど凄い感動しちゃっただけのお気持ちをダーっと文章化しただけなので落ちとかは特にありません!えっと……。

 

映画館最高! これからも出来る限り予防しながら通い詰めます! 映画最高!

 

では梶原でした!今後の更新は未定です!映画最高!

 

……で、終わってもいいのですが、映画館が好きな人間として、やはりあの話題に少し触れてからこの駄文を終えようと思います。

そうです、映画に関して多角的な経営で知られるアップリンクの代表である浅井隆氏が、社員の方にパワハラ・モラハラを執拗に繰り返し、心身ともに著しい被害を与えたとして訴訟された事件です。僕自身アップリンクは配給している映画のセンスの良さやユニークな取り組みに感銘を受けたり、またはるばる東京へと出かける時に、アップリンクが経営している渋谷の映画館で、大好きな映画……例えばアカデミー賞受賞作品特集で、2018年のマイベスト映画なスリー・ビルボードを見に行ったり、新設された椅子(ハンモックみたいなとても坐り心地の良い最高の奴)でゆったりアイリッシュマンを見たり、また私的にオールタイムベストなメランコリックの舞台挨拶で、直に監督や俳優さんのお話やサインを頂いたり、色んな思い出が詰まった印象深く馴染み深い会社なんですね。

 

だからこそ、この事件はとてもショックで、やりきれない思いでどうしようもないです。

この浅井氏のパワハラは、かつて前々職でこの手に近いパワハラを受けて退職を経験した人間からすると、キツい過去がフラッシュバックしてきて胃からムカムカが込み上げてくる位本当に非道で下劣な行為だと思います。直接的に殴られなくても言葉の暴力ってどんどん心に蓄積されてきて、自分自身がこの世界から要らないのでは? って錯覚して自傷に走りかねない位最低な行為ですよ。だから浅井氏の事は本当に許せない。……けれど、アップリンクが配給している作品や、映画館での体験が人生を豊かにしてくれた心情もあって、物凄く頭も心もグラついています。いや、お前アップリンクで働いてもいないし当事者でも関係者でもないのに何言ってんだといわれても反論できないのですが……でも、でもですよ。

 

(こういう問題はアップリンクだけでなく、きっと今もどこかで起きているんだろうなと思いつつ)やっぱりどうしても、この会社で僕が楽しんできた裏で誰かが、いえ、誰かではなく社員の方たちの苦しみに加担していたのではないかって、ちくりと罪悪感を覚えてしまうんですよ……。勿論糾弾されるべきは浅井氏や彼に携わる上層部の人達であり、自分自身凄いズルい言い方となってしまいますが、僕含め見に来ている観客が、当事者でもないのに義憤に駆られるのも妙な話ではあるんですが……。

はっきりと浅井氏回りが悪い、アップリンクって会社は悪くない! と言い切れれば気は楽なのですが、そう単純な話でもないですよね……といまだにグルグルとしています。映画館が好き、映画が好きなだけのただの凡夫ですが、どうしても今の思いの丈を吐き出さずにいられなくて。上の映画館って楽しい! 最高! ってだけで明るく終われば良いところに妙な後味の悪さを残してすみません。

現状は、浅井氏自身はパワハラの事実はあったと認め、ひとまずの謝罪声明を出したという事で小さくても一歩前進……したのかはわからないのですが、こちらとしては今後の動向を静観する他ないですね……。もし被害者の会で署名や寄付とか始めるのであれば勿論参加します、し、今は複雑な心境なのですがこの件が公正な形できちんと決着が付いたら晴れてアップリンクを応援したいなと思います。会社自体が残るかはわかりませんが……ってまたネガティブしてしまった、いけない。

 

ではこんな長ったらしい自分語りに最後まで付き合っていただき大変ありがとうございました。梶原でした。次の更新は未定ですが多分、多分明るい話題になる筈です、なるといいなぁ……。

 

<追記>

僕がこのブログ記事を書くに当たって、影響を受けた相互フォローである、はまりーさんの小説が強い動機になりました。

映画館が解放されている今、読んでみると深く感慨を受ける素敵な小説です。宜しければ是非読みにいってみてください。他の小説も面白いです。

映画館で観た映画についてぼくたちが語ること

 

こちらが短編集です

はまりーさんのコロナ渦を題材にした短編小説集

 

梶原です。

難問クイズ、皆さん大変お疲れ様でした。いやー、皆さんの阿鼻叫喚……ではなくあれじゃないこれじゃないの楽しい悲鳴が聞こえてくる気がします。まぁ長々と前置きしても皆さんのフラストレーションが溜まるだけなので、早速クイズの回答を発表していきましょう。回答はクイズと同じく画像形式になります。ですが画像だけだと細かい文字がちょっと見えにくい……という感じなので(こちらの不手際で申し訳ないんですが)僕の方で大まかな答え(太い字を参照)と、実際に会場でこの難問を浴びた人間としての一言雑感を書いていきます。それでは前編から引き続いて長丁場になりますが、是非とも最後まで宜しくお願い致します!

 

 

第一問答え:C

一問目からとってもパンチ効いてますよね。自分は何となくアメリカは広大なイメージがあるからAの山はアメリカだろうな、じゃあBかDかなと思いましたがまさかCとは。例によってどれも見た事のない作品なのですが、Dの幻の作品、とっても興味をそそりますね……。いつか拝める日は来るんでしょうか。

 

第二問答え:B

見たまんまの物が見たまんま正解という、中々に良い根性している問題でした。僕のあのしょうもないヒントでこれはB……じゃないな! と裏を読んでしまった方、お疲れ様です。悪気はないので許してください。世の中にはこのBに並ぶくらい長いタイトルの邦題もあったりします。是非調べてみてください。マイドクとか。

 

第三問答え:下記に掲載

答えはそれぞれ

Aはジャッキー・チュン

Bはアーロン・クォック

Cはアンディ・ラウ

Dはレオン・ライ

でした。これは本当全員当てなきゃ点が貰えないってのが難易度をより上げていて憎いですね。それなりに香港映画見ている自分でも即座に浮かんだのはCのアンディ・ラウととDのレオン・ライだけでした。ちなみにこの四人、演技が達者なのも凄いのですが歌も踊りも達者です。香港芸能界恐るべし。しかもアラフォー越えしてるし……。

 

第四問答え:5本

5本の内訳はそれぞれヨシワラ・東京暗黒街・デーモンラヴァー・ブラックレイン・頭文字Dでした。

ブラックレインや頭文字D辺りはパッと浮かんでも、他三作は中々マニアックなので悩んだ方も多いのでは。CUTは紛らわしいのですが区分的には日本映画です。ここ引っかかっちゃうよね。ちなみにデーモンラヴァーの舞台のアニメ会社はHENTAIアニメです。色んな意味で業の深さを感じます。面白い映画ですけどね。

 

第五問答え:D

ムーンライトか羊たちの沈黙で結構悩みますが、そこが全く答えじゃないという、成宮さんらしい虚を突いて来る良い問題です。役柄が印象深いと何だか出演時間も結構長く感じるけど、時間にしてみるとそうではない、ってのは面白い観点ですよね。ちなみに全くアカデミー賞関係ないけど僕が好きな出番が短い役柄は、トゥルー・ロマンスのヴァル・キルマーのプレスリーです。

 

第六問答え:アレキサンドル・タロウ

答えはアレキサンドル・タロウさんでした。……素直に言いましょう。わかるかこんなの!!(成宮さん暴言ごめんなさい) でも仕方ないんです。むしろ僕もどうヒントを出せばいいか、あんなヒントになっていない文章になってしまいました。というか僕自身このクイズで始めてこの人の名前を知ったくらいですからね。これを即座に解ける人はほぼ100点といっても個人的に良いかと思います。むしろ解ける人いるんでしょうかこれ……。

 

第七問答え:D(全員)

答えは全員でした。これまた良い根性しているクイズです。まぁ何となくキムタクさんや三船さんや丹波さんが外国映画に出ているイメージはあっても、阿部さんやたけしさんが出ているとまでは知らなかった方も多いのでは。ちなみにキムタクさんはアイカム・ウィズ・ザ・レインという外国映画にも出てたりします。色んな意味でこれはキムタクさんしか出来ないという強烈な役なので未見の方は是非。

 

第八問答え:全員映画監督経験者

まさかさださんが映画を撮られてるとは、ってのが一番個人的にビックリしました。しかもドキュメンタリーとは……。一番メジャーっぽいのは桑田さんの稲村ジェーンですかね。ある映画評論本で北野武監督にボロクソ言われてましたが……。

 

第九問答え:”夏休み”を描いた映画を撮っている

ジャンルも作品数も多い監督だから、これほど知識量や応用力を試される質問も中々ないですね。僕は当然外しました。菊次郎の夏や毎日が夏休みにピンと来ても他の作品まで浮かべるのが至難すぎる……。ちなみに夏休みだけあり、主要人物には学生や子供がいたりします。

 

 

第十問答え:全員(ABCD)

 

答えはABCD、全員でした。……わかるかこんなの!(二回目ですがごめんなさい) これ即答できた方は実質もう200点です。もう僕も勘で答えるしかないくらいの超難問です。まぁショーンさん辺りは何となくわかったんですが。これを提示された時の会場のどよめきもまぁ凄かったです。本当は各答えの紹介文も書き出したいくらい良い文章なのですが、それだけで記事を圧迫しちゃうので、すみません……。

 

秘問題答え:B

答えはBでした。

一番得点数高いのに、10問目が鬼畜すぎてこっちは何故かすんなり解けた、みたいな方もいるのでは。まぁ僕は外れましたが……。キリングフィールドは辛い映画ではありますが胸を抉ってくるまごう事なき名作なので、これをきっかけに未見の方がいましたら是非。

 

と、いう訳でお疲れ様でした!これにてクイズの回答篇は終わりです。さて、皆さん一体何問正解し、点数はどれくらい獲得できましたでしょうか。それぞれの点数を数えてみてください。最後のマル秘問題だけは配分が20点になっております。

 

惜しくも0点~30点くらいな貴方、落ち込むことはありません!むしろこんな難攻不落な難易度のクイズに挑む、その姿勢こそが最も尊いのです! グッドチャレンジャー! ここで得た知識は人生のどこかでもしかしたら役立つ……かも。いや絶対役立ちます! これからも素敵な映画好きでいてください!

(そのチャレンジっぷり、グッドだね!)

 

40点~80点な貴方!   凄い! 映画に冠する知識量が自慢できるくらいとても深いと、胸を誇って良いと思います! 今後もその探究心で映画への興味や知識を果敢にどんどん深めていってください! この、映画ファンの鑑!

(俺も負けてられないな……と微笑むマブリーさん)

 

90点~120点……もはや師匠と呼ばせてください。僕の成績はかなり頑張っても80点でした。これだけの選り取り見取りな難問、知識と応用が試される数多の問題にしっかりと答えられる辺り、本当に猛者……! としか言いようがありません。最早貴方はジェダイ、いや、クイズマスターの称号を授けたいです。もしいらなくてもその、胸の奥辺りにそっとしまって置いていただけるとありがたいです……。

(今日から君もレン騎士団の一員だ!)

 

という訳で本当に長丁場でしたが自粛期間中である中でも皆さんにとってお暇を潰せる、よりよい時間に慣れたのなら幸いです。最後までお付き合いしていただき大変ありがとうございました! そして素晴らしいクイズを作成された(実質1年以上も有言不実行をしてしまいこの場を借りてお詫びします……)成宮さんに多大なる感謝と尊敬を、ありがとうございます。それでは梶原でした。また次の記事でお会いしましょう。予定は未定ですが……。

 

<付録>

今回のクイズを考案された成宮さんの2010年代映画ベストテンを別項にて連載しております。

簡素な記事ではありますが、興味を持たれた方はこちらのリンクを押してください。該当ページに飛びます。

成宮さんのベストテンを見る

 

 

 

 

 

梶原です。

皆さん、自粛活動の継続、本当にお疲れ様でございます……。まだまだ先行き見えない不安な中ですが、最近ようやく映画館が再開し始める喜ばしいニュースが入ってきました。僕のツイッターだと映画館に行ったよ、映画を見たよ報告がちょくちょく目立ち始めて、あ、やっと知った日常が戻ってきたなって感じがあります。かくいう自分も実は6月7日にようやく77日ぶりに映画館解禁して、ブルース・ブラザーズとデッド・ドント・ダイというジャームッシュの新作を見に行きました。

やはり映画館で映画を見るってのはいいものですね……。こう、すーっと滋養が体に効いて来る感覚がありました。二ヶ月という長くも長い自粛の反動もありますが、やはり僕の人生に映画館は必要なようです。まぁ、これ以上の自分語りで文字数稼ぐのもあれなので(この経験はもしかしたら別件でブログに書くかもしれません)スパッと話題転換、去年の5月16日に、僕と長年友好関係を紡いでくれている友人、成宮秋祥さんが都内で映画に纏わるイベントを開催いたしました。イベントの内容は、成宮さんが自身の半生を振り返りつつ、それに纏わる様々な映画を精神的に分析する非常に興味深いイベントで、語りの巧さや作品のチョイスが素晴らしくとても興味深い会になりました。その中で今回、会の最後に成宮さんが参加者の方へのお楽しみ企画として披露する、激難しい映画クイズを成宮さん公認の元公開します。自粛期間で家にまだ篭る時間が多い中、皆さんのお暇を必ず楽しく解消できる歯応えと難度に満ちたクイズです。是非是非パソコンでもスマホでも気軽にチャレンジしてみてください。

賞品……などはごめんなさい、僕もまぁ金欠状態なので何も提供できないのが本当に申し訳ないのですが、読んでいて照れるくらい滅茶苦茶褒めますのでぜひ頑張ってください!! 尚、画像を大量に貼り付ける形式で回答の方も貼り付けると滅茶苦茶長くなってしまうので、質問篇と回答篇で分割しております。お手数で大変申し訳ないんですが、答えを見るときは別窓やニ窓で確認しながら照らし合わせてみてください。文章の巻末にリンクを張ります。それでは宜しければ回答篇まで是非、お付き合いください……!

 

~成宮さん特製激ムズ映画クイズ~

・点数形式で全て正解して120点です。回答篇で点数に応じて僕が褒めます。

・各問題で僕の一言ヒントともう少し詳しいヒントを載せてます。どうしてもわからない時に参考にしてください。

・本当に難しいので、仕事の間とかだと知恵熱で支障が出たりします。落ち着いた時間が取れるときに挑むのをお勧めします。

 

ヒント:自然でもっとも肌で感じやすい物質だったりするかもしれません。

もう少しヒント:この内の一つだけはアメリカ生まれの映画監督の方が撮っています。壮大な趣の作品です。

 

 

ヒント:もしかして、ってのが意外に裏切ってきたりこなかったり……。

もう少しヒント:キューブリックの博士の異常な愛情は原題も長かったりしましたね。

 

 

ヒント:AやBは香港映画好きならお馴染みさんかも。Cの主演映画はスコセッシにリメイクされました。DはCと実はその映画で競演してます。

もう少しヒント:四人とも四天王だけありメジャーな香港映画では大体どれかで名前を見ます。特にCの人。

 

 

ヒント:作品傾向的に犯罪映画が多かったり……いろんな意味合いで。

もう少しヒント:作品の舞台は東京が多いです。やっぱ皆一度は東京とかで撮ってみたいのかも。

 

ヒント:まずあの人準主役じゃない? って方は結構長かったりします。

もう少しヒント:だけど出番の印象深さと出演時間は比例したりしなかったり……?

 

ヒント:僕もこんな凄いタロウさんがいるとは知らなかったです。ちなみに岡本太郎さんではありません

もう少しヒントAやD辺りから辿ってみるともしかしたら答えを導けるかも……?

 

 

ヒント:意外に裏を裏をかいてくるかもしれません。

もう少しヒント:皆さん演技派だけあり色んな国の監督から愛されてます。ということは……?

 

 

ヒント:音楽活動も凄いんですが、他分野へのチャレンジも旺盛な四人です。

もう少しヒント:曲調に映画的な雰囲気を感じる四人ともいえます。関白宣言とか波乗りジョニーとか。

 

 

ヒント:映画監督となると、もしかしたら描いてみたくなるテーマなのかもしれません。

もう少しヒント:『あつい』テーマです。あついです。

 

ヒント:名優達でもこれは演じにくいのかも……って職業も合ったりなかったり?

もう少しヒント:でも逆に賞レースに輝ける人達に演じられない役もないかもしれません。

ヒント:作品自体も非常に高い評価を得ました。

もう少しヒント:役柄とご本人の一致がドキュメンタリーみたいな感動があります。

 

 

ここまで大変お疲れ様でした……!本当に難問ばかりで大変だったと思います。僕もリアルタイムで挑んだときにはヒーヒー言いましたので大丈夫ですよ、皆そうなります……。では回答篇でお待ちしております。梶原でした!

早速回答篇を読む

 

 

(クリックしてください)

※頂いたコメントは敢えて手を加えずそのまま掲載しています。

 

第1位 神々のたそがれ
監督:アレクセイ・ゲルマン
第2位 ホース・マネー
監督:ペドロ・コスタ
第3位 クリーピー 偽りの隣人
監督:黒沢清
第4位 ビューティフル・デイ
監督:リン・ラムジー
第5位 ドラッグ・ウォー 毒戦
監督:ジョニー・トー
第6位 セインツ 約束の果て
監督:デヴィッド・ロウリー
第7位 心と体と
監督:エニェディ・イルディコー
第8位 やさしい人
監督:ギヨーム・ブラック
第9位 君はひとりじゃない
監督:マウゴシュカ・シュモフスカ
第10位 哀しき獣
監督:ナ・ホンジン

成宮さんより選出のコメント
幼少時から映画を見ていたけど、真面目に年代を問わず多くの映画を見るようになったのは、僕が18歳の頃でした。

2010年代に僕は20代を過ごしました。多くの困難や苦労も味わい、辛すぎて本気で死のうと思ったこともありました。

それでも生きようと思ったのは、映画が好きだったからです。映画が見たいから、まだ生きていたいと感じたことは多かったです。反対に映画に傷つけられることもありました。気づけばそれなりに友人を得ましたが、ふり向けば僕から離れていく人たちもいました。
僕は好きなものに対して徹底的に思いや考えをめぐらす男です。それはすごく不器用な生き方だったと思います。三十路になっても女性とちゃんと付き合ったこともないし、まだ童貞のままだし。でも、色々とあったけどこの生き方を変える気はありません。僕は不器用かもしれないけれど、誰かを傷つけるような悪意を持って生きてはいません。勝手に誤解する人も多いけれど、それなりに僕の生き方を受け容れ理解してくれる人たちとも出会ってきました。これからも誤解はあるかもしれないけれど、変に尖りもせず、ストレートにもしすぎず、自分が見たいと思った映画を見て、自分に合った友だちと出会い、人生を楽しみたいと思います。あと童貞も卒業して。人生の選択肢も増やして。

僕が映画を見る上で大事にしているのは、映画のどこかしこにあるかもしれない「美しさ」を発見することです。例えば、完璧に完成された映画であっても、それ自体が美しいとは限らないと僕は思っています。完成された映画であれば、完成された映画としての美しさが感じられなければ、僕にとっては全く価値のない映画になります。

反対に、失敗した映画であっても、失敗した映画の中に、不意に美しいと感じてしまうことはあり得ます。僕はどんな映画を見ても、この不意の一撃をいつも楽しみにしています。

最後に、2010年代についてですが。良い映画は山のようにありましたが、それをちゃんとした形で語り合える場は本当に少なかったように感じています。

また、映画について語り合ってもただの感情の吐き出しにしかなっておらず、SNSでの投稿の延長にしかなっていないように感じてもいて、けっこう残念な場面も体験してきました。映画への思いについて自分の価値観の中で自己完結していて、他者の価値観を汲み取ろうとしない、そういうフェアじゃないコミュニケーションに本当に傷ついたこともありました。もちろん、好きな映画を見て、好きなように感想を言うことを否定はしません。

しかし、一方通行的なコミュニケーションで終わらせてしまってはすごく勿体ないと思っています。僕は誰かを傷つける意図はないという前提で言わせてもらうと、人は一人では生きていけないのですから、もっと広い視野を持って、もっと人を信じて、もっと素直になって、お互いがお互いを尊重し合えるコミュニケーションをしたかったです。次の10年はそれができると信じています。

 

<勝手な私見>

作品の選出もそれに対する真摯な思いも、どれも個人的に成宮さんの真面目で真剣な人柄が浮き彫りになる様でグッと来ました。故にどこか削ったり足したりもせず、是非皆さんにそのままを読んでもらいたいなと思い、頭からつま先までまるっと掲載する形になりました。ちなみに僕の方で以前出した2010年代のベストテンはこんな感じです。

1位 SUPER!
2位 スリー・ビルボード
3位 ソレダケ/that's it
4位 オンリー・ゴッド
5位 GONINサーガ
6位 グランド・マスター
7位 イップマン 継承
8位 恋人たち
9位 アジョシ
10位 メランコリック


ふふふ……文化や教養がまるで違う、むさくるしいラインナップですね。しかし私以外私ではないのでこれは譲れないのです。皆さんも改めて自身の2010年代ベストを振り返ると又新たな発見があるかもしれません。ではまた。

少々お久しぶりです、梶原です。

GW中でも仕事に職務にと出かけられた方、本当にお疲れ様です。僕の場合はまぁ、なんにせよ遠出とか出来る状況ではないので、最低限の買い物以外はずっと自宅篭りでした。休めるだけ有難いのですが、どこにも羽を伸ばせないGWは初めてなので何とも言いがたい空疎さはありましたね。いつ寝てもどれだけ寝てもいいのは罪悪感沸かないのは良かったんですが……と、いきなり自分語り&鬱々とした話題で大半の方にブラウザバックされてしまっている気がするので閑話休題……と言いつつやはり暗い話題ですみません。

 

今年、ある種最も期待していた新作映画、イップ・マン完結が仕方がないとはいえ、公開延期になってしまいました。

まぁ、映画館は非常事態宣言で軒並み休館&新作映画はほぼ全て延期のダブルパンチで、映画業界全体がとんでもない事になっている最中なので仕方がないというしかないのですが。でも逆に言えば、映画館がどんな形になるかは分かりませんが、きちんと再開して皆が劇場に行ける状態でお披露目、って形の方が全然いいので、GAGAさんの判断は英断ではあります。

コロナ自体の先行きも全く見えないのが辛いところですが、いつか見れる筈の日まで皆さんの無事を祈って……って前置きなのに後書きみたいな文章を書いてしまいましたがここからが本題です。実は僕、GWが始まる日にイップ・マン完結の公式さんで募集していたオンライン試写会という企画で幸運にも当選しまして、皆さんより一足先に拝見しました、二重に申し訳ないです……。そしていざ、寄り道もせず退勤後即帰宅してオンライン試写会に望みました。

 

 

素晴らしい……。ただただ感謝、ただただその面白さ、満足度に感服しました。

夜勤の疲れが即消滅して、俺のGWは初日にて終了、完……! となってしまうレベルでしたね、はい。

 

そこで先に拝見した人間としての責任と、こんな僕にチケットをくれたGAGAさん&青山シアターさんへの謝謝。そして何より、イップ・マンシリーズを作り上げたスタッフさん&キャストさんと、最後の最後までイップ師匠であり続けたドニー・イェンさんへの敬愛を込めて、この記事を書くことを決めました。第二目標として、イップ・マン完結の感慨深さを皆さんに1mmでも伝われば、寧ろ伝わってくれ……、頼む……! というすがる様な心境で頑張って書きます。そして近日公開が切り替わって、正確に上映日が決まる日までに皆さんのワクワクを持続させていくための火になれればいいな……と思いつつ、そろそろ前置きにしましょう、ここまで長々と読ませてしまいすみません。

では早速、勿論重要なネタバレは含まないで、僕なりのイップ・マン完結の感想をお送りします。ネタバレは含まないんですが、個人的にここを見て! ここに注目! って点を太字でかつ大きな字で三つほど、項目として並べてます。なるべく読みやすい形でお伝えしていくつもりなので、時間が許すのであれば最後までお付き合い、宜しくお願いします……!

 

 

 

・ドニー“イップマン”イェン氏の成熟した横顔

まず、僕がイップ・マン完結をノンストップで鑑賞し終えてからの第一印象なのですが、「ドニーさんの横顔はこんなに渋く憂いを帯びていて、美しかったのか……」という印象を抱きました。

それ位、本作でイップマン(以後イップ師匠)を終えるドニーさんの横顔、表情の陰影の深さ、渋さには恍惚とさせられました。というのも、作品としての長さとしては序章から完結までのなんと10年、劇中の時間経過としては序章が1935年、本作のイップ師匠が米国に渡り愛弟子小龍(シウロン)もとい、ブルース・リーの勇姿を見届けに来るのが1964年と劇中時間では29年(!)もの月日が経っています。

それだけの期間をイップ師匠と寄り添ってきたドニーさんの演技は、自身のキャリアと二人三脚で歩んできたが故の重みと渋みがひしひしと伝わってきて、目が釘付けになりました。改めてシリーズを振り返ると、イップ師匠はこれまでのシリーズで様々な敵や困難と闘ってきたんですね。

 

数多の強敵達……イップ師匠と渡り合えるほどの腕を持つ空手使いの軍人、三浦や、徹底的に力でねじ伏せてくる最強のボクサー、ツイスターや同詠春拳の使い手ながらも、主義主張の違いにより相反した張天志等といった者たちとの戦い、だけでなくイップ師匠は圧政を強いる日本軍やツイスターを祭り上げようとするイギリス政府、あるいは戦争により訪れる貧困や流派を広めようとしてもすんなりとはいかないが故の周囲との軋轢。継承では共に人生を歩み続けてくれた奥様の病……と、明確な強敵達との戦いだけでなく、目には見えない、自分自身の力ではどうしようも出来ない不幸にも度々苛まれてきました。

しかしその度、イップ師匠は挫ける事も折れる事もなく気丈に、詠春拳の教えを誠実に信じて、家族や自分に携わってきた人々の為に健気に立ち上がり、激しい戦いによる疲労によって傷ついたりしても常に前を向く選択をしてきました。その姿には劇中の登場人物たちは勿論、スクリーンで眺めている僕達さえも勇気付けられてきました。本当に。

 

そうして完結。イップ師匠の前には、今までのシリーズを髣髴とさせる新たな強敵が登場します。巨大な中華街を取り仕切る中華総会の元締めにして、太極拳の師匠であるワン・ゾンホアと、軍隊式空手の最強の使い手であり、白人至上主義な凶暴な軍人であるバートン・ゲッデズという、シリーズの最後に相応しい強敵が。この二人との強烈にして熾烈な死闘も印象深いのですが、何よりもイップ師匠を苦悩させるのが、自らに降りかかる病です。

日々悪化し続ける病、どれだけ自分の体が持つかもわからない、目に見えないタイムリミットの中で愛する息子や弟子に何が出来るのか、何を遺せるのかを模索しながらも戦いに転じるイップ師匠は長らく寄り添い続けてきたドニーさんの名演もあり、暗澹としつつタバコを吸う小さな仕草も、予期せぬ戦いを強いられた時の鋭い眼光もとても渋く格好いいのです。反面父親として息子にどう接するべきかを悩む姿も非常に人間臭く、詠春拳の偉大なる師でもあり一人の息子に対し父親であろうとする男でもあり……というイップ・マンという人が持つ魅力が最終作にして存分に発揮されています。それに長いシリーズの中で培われた、枯れた哀愁による色気という付加価値もつけて。

 

(役に入って10年、劇中29年の重み。色々ありました)

 

この深みの理由として私的に思うのは、ドニーさんがイップマンシリーズに加え、捜査官Xやカンフー・ジャングル等で複雑な内面を抱えた主人公をしっかりと演じてこられた事や、今までにない教師役で演技の幅を広げたスーパー・ティーチャー、そして最も大きな理由として、かのスターウォーズローグ・ワンに於ける、チアルート・イムウェなる思慮と含蓄に富んだキャラクターを演じてこられたが故の熟練さが備わったのではないかと勝手に思っています。

僕の中でイップ・マン完結でのイップ師匠を演じるドニーさんは、シルベスター・スタローン氏のロッキーザファイナルやランボー最後の戦場、近年ならばヒュー・ジャックマン氏のローガンに並ぶ、我、老兵であり体は老いて衰えど、魂は燃やし続ける……といった感じの名演でした。とにかく皆さん、注目していただきたいのはイップ師匠の横顔、そして目尻に刻まれた皺の深さに注目してください……。グッと来ます、来すぎます。

 

・最終作に相応しい、激闘死闘の釣瓶打ち

上の章ではドニーさんの役者としての魅力をお伝えしましたが、本作は勿論アクションも一切の手抜きもなく直球勝負の素晴らしい出来栄えで、血が滾る様な熱いバトルシーンに溢れています。アクション設計は香港はもとよりハリウッドでも強い信頼を得ており、抜群のキャリアを誇るお馴染みユエン・ウーピン氏。イップ・マン継承、スピンオフのマスターZと連なって手綱を握っておられ、今回は太極拳のワンと空手のバートンを主軸にしつつ、個性豊かで質量共に最高にアガるアクションを惜しげもなく見せてくれます。

まずワンとのバトルは、道を究めた達人同士の衝突ってすげえ……! 
(かつマスターZを視聴しているとニヤつく事必死な)と驚きのファーストコンタクトから、優雅な動きでありながら一瞬の隙も見せず、攻防一体で迫る太極拳 対 イップ師匠の研ぎ澄まされた、正確無比で流れるようなカウンター戦法が凄まじい詠春拳の見てるこちらが息を止めてしまいそうな一秒も瞬きできない格好良い手合わせ。それは正に映画秘宝最新号で谷垣健治さんが語った、「思わず真似したくなるカッコよさはそこにある」のです。
ワン対イップ師匠の正統派なカンフー対決も見応えしかないですし、バートンの部下であり、これまたとんでもない強敵であるコリン対ワンが中心な中華総会の面々が織り成す代わる代わるの異種格闘技戦や、これは実際見ていただきたいので見てのお楽しみなのですが、滅茶苦茶ブルース・リー愛に満ちた、ブルース・リーのバトルシーンもきちんとあります……! 
その愛の深さには思わずサムズアップしてしまう事間違いなしです。ほぼ一瞬だけですがイップ師匠めっちゃ匠……となる小技なシーンも見てる僕らの心をくすぐって離しません。

でも僕が特に推したいのは、シリーズ最終作を飾るに相応しい凶暴さと強さを兼ね備えた軍人、バートン演じるスコット・アドキンス氏とのバトルですね。


このスコットさん、尋常じゃない身体能力を誇る、ハリウッドでも有数の自らスタントも演技も悠々とこなせる超芸達者な方なのです。(その身体能力の高さが知りたい方はネットフリックスで絶対王者ボイカアマゾンプライムでユニバーサルソルジャー:殺戮の黙示録をチェックです)
しかし……どうも大作に出ても(エクスペンダブルズ2でジェイソン・ステイサム氏やウルヴァリンXMEN-ZEROでヒュー・ジャックマン氏と戦ってるのに!)その真価を完全に発揮出来る場に巡り合えない感じがあり、あまり宜しくない表現ではありますが実力に反しパッとしなかった感じが……ところがですよ! 
今回はようやっとドニーさんという最高の相手と出会えたことにより、その真価を100、いえ、120%発揮しております。めっちゃ良いガタイで宙返りもバック転も自由自在なアクロバティックマスターであるスコット氏のバートンの凶暴な空手に、病というハンデを背負い一身で立ち向かうイップ師匠は果たして勝てるのかどうか……と不安に思わずなってしまうくらい、バートンは悪く強く怖いです。

そうそう、イップ・マン完結、イップマンシリーズの中では初めてのR15指定(現時点で)なのですが、実際それが納得の死闘でした……。あらゆる意味で最強最悪な悪役であるバートンに
最早全てを投げ打って、正に肉を斬って斬っても骨を絶てるかどうか……となる程のバートン対イップ師匠の死闘に、僕は小さいパソコンのモニター上でさえ、思わず目を見開いてしまいました。あぁ、早くこのバトルをモニターよりずっと大きなスクリーンで拝みたい、コロナが本当に憎い……。という所で最後の章です。

 

・正真正銘完結と呼ぶに相応しい物語

これまでドニーさんの熱演・充実したアクションと触れてきましたが、僕が特に、最もイップ・マン完結で心を動かされたのは、やはりこの外してはならない大事な大事な根幹の部分であります。思い起こせば激動すぎる29年……。日中戦争で家を失い、愛する妻との間に息子を授かり、手合わせした後に深く心通った友を失い、世界に誇る弟子が出来、長年連れ添ってくれた妻が天に旅立ち……と波乱万丈、良い事も悪い事も、争いも喜びも出会いも別れも全てを経験してきたイップ師匠が見せる最後の着地。

その美しい着地のシーンは、史実と照らし合わせると至極納得としつつ、正にイップ師匠その人だからこそ、むしろイップ・マンにしか出来ない着地で、僕は震えました。そしてもうホントに……あぁ本当に詳細をお伝え出来ないのが死ぬほど歯がゆいのですが、その着地を彩るグランドフィナーレ。気障な言葉ですが、これが、イップ師匠の人生……!となりましたね。僕はこのスタッフ・キャストの並々ならぬ演出に、あぁ、イップ・マンシリーズを、ドニーさんが演じてきたイップマンを好きで居続けて良かったと不思議な多幸感に包まれました。

この終盤、恐らく僕のようにシリーズを追ってきた人ならこんな感情に近い物を覚える……気がします。し、これが初イップ・マンな方はきっと今までのシリーズを1作目の序章から見たくなるのではないかと思います。本当に全てに感謝したくなります。ありがとう……。

 

という感じで三つのポイントに分けて作品の魅力を書いてみました。ここまで読んでいただき大変ありがとうございます……。

自分の拙い文章力でどれだけお伝え出来たのか聊か不安ですが、ここに書いてあるもの全て本音で、僕にとっては本当にシリーズ物の最後を飾るに相応しい、し誇らしい最終作だと感じました。し、ドニー・イェン氏の代表作としてもアクション映画としても、ある種史実映画としても高水準な作品だと思います。今は日本どころか世界さえどうなるか全然わからない、とても不安な情勢ですがイップ・マン完結、待つだけの甲斐がある最高の作品なので皆さんスクリーンで見れる日が来るまで是非、序章から見返したりすると感動がグッと増すのでその日が来るまで復習したりして堪えましょう……! 皆さんどうか、お元気で……!

 

自分はその日が来たら二回、ならず可能な限り見ます。共に生き延びましょう。では、梶原でした。

次回更新は未定です、気が向いたら……。