海洋散骨について(「旅行業法」の規制について) | 海事代理士・行政書士の高松大 オフィシャルブログ

海洋散骨について(「旅行業法」の規制について)

【海洋散骨について(「旅行業法」の規制について)】

今日は行政書士として、表題のテーマについての私見を書いてみようと思います。

なお、海洋散骨と海事法令一般については以下の記事をご参照ください。

https://ameblo.jp/kaizi-dai/entry-12409907093.html
 

 

海洋散骨の事業者は、その多くが自社所有船舶で実施していますが、以下のパターンがあります。

 

1.普段は東京湾で散骨を実施しているけれど、相模湾での散骨を依頼されたので、現地の船舶運航業者に外注した。

2.葬送全般について扱っており、その中で自社では船舶は所有しておらず、海洋散骨については現地の船舶運航業者に外注している。

 

当然ながら、外注を受ける船主業者は海上運送法に基づく不定期航路事業等の許可等の取得が必要になります。

(これらは簡単ではありません。当事務所で対応していますので、よろしければご参照ください。

http://www.passenger-ship.com/」)

 

上記パターンについて、この「外注」が旅行業に該当し得るのではないかという疑義があります。

結論から言えば、「運用方法によっては該当する」ということになります。

つまり、旅行業法に規定する「運送等サービス」に該当するやり方をしていると、旅行業法に抵触する可能性が出てきます。

 

まず、「旅行」の定義が旅行業法に規定がありません。そのため、「常識的観点から」旅行ではないにも関わらず、旅行業法の規制が関わってくるのです。

しかし、無理して「旅行業に該当する運用した上で登録」をする必要はないというのが自分の考えです。
該当し得る必要な許認可等の規制があるから取る、というより、本当に必要な場合(旅行業法に該当する「運用方法」で海洋散骨事業を行いたい場合)に取得すればいいもので、そうでなければ、わざわざ進んで規制を受ける必要はないと思慮します。

その最たるものが「旅行業登録」だと思います。
つまり、海洋散骨においては事業者の運用方法如何によることなので、旅行業登録は任意であると思慮します。


なお、旅行業登録は大分ハードルが高くなります。勉強して資格の取得も必要です。

(不動産業で言う、「宅建士(旧宅建主任者)」みたく、国家試験を受験しての「国内旅行業務取扱管理者試験」の資格が必要です。)
そうなると、これらを満たすことが困難である海洋散骨業者からすれば、「如何にして『旅行業』に該当しない運用をしていくか」というのが大きなテーマになってきます(それらに気を使いたくなければ旅行業の登録をすればいいだけでです)。
以下で、これらについて少し書いてみようと思います。

ただし、個別具体的な案件もあるでしょうから、気になる方個別にご相談ください。

★旅行業登録に関して、当事務所でも対応できますのでご相談ください。

まず、旅行業法において海洋散骨の「外注行為」が抵触するだろう規定が「報酬を得て」、「旅行者のため、運送等サービスの提供を受けることについて、代理して契約を締結し、媒介をし、又は取次ぎをする行為」というあたりです。

 

①旅行業法第2条第1項において「報酬を得て」とあり、
②旅行業法第2条第2項に規定する旅行業(ここでは第4号の「運送等サービスを提供する者のため、旅行者に対する運送等サービスの提供について、代理して契約を締結し、又は媒介をする行為」が、海洋散骨の「外注行為」に当たり得る

キーワードは「運送等サービスについて外注(代理して契約を締結し、又は媒介)」して「報酬をもらうこと」です。

仮に海洋散骨業者をA社として、船を運航させる不定期航路事業者をB社とします。
例えばA社の計算のもと、B社船舶を傭船して、A社でB社所有船舶に対して不定期航路事業許可等を取得、A社の計算の元で運航する場合は、そもそも「外注」になりません。
ただ、この場合だと「A社の方でも」B社所有船舶に対して保険をかけなければならないので(つまり、二重保険になる)、あまり現実的ではありません(事案が頻繁にあるのであればいいのでしょうが)。



≪旅行業法を避けるには≫
以下の運用が嫌であれば、旅行業登録をすればいい、ということになります(そういった意味で「任意」という言葉を使用しました)。

または、そもそも論として自社船舶だけで、かつ、自分のテリトリー分野だけで運航をし、他エリアの依頼があった場合はそのエリアの同業者を紹介すればよいだけのことです。


前述したとおり運送等サービスについて外注(代理して契約を締結し、又は媒介)」して「報酬をもらうこと」が旅行業法に抵触し、旅行業登録が必要な行為となるわけです。
ですので、


1.海洋散骨の報酬
2.運送サービスの報酬


これらを利用者に対して明確に区別・説明した上で、「運送サービスの手配に関する部分に報酬が無ければ」旅行業には該当しないことになります。
さらに言えば、「B社と利用者が『運送サービス』については直接契約して代金の授受を行う」という体裁をきちんと整えられれば旅行業法における旅行業には該当しないということです(形だけはいけません。お金の流れを含め、明確にする必要が当然にあります)。


海洋散骨の手配行為(B社船舶へのA社員の派遣、船内アナウンスや司会進行等)については当然、A社が利用者から報酬をもらって差し支えありません。これらは「運送サービス」とは切り離して計算することができると思います。

********************************

※「直接契約して代金の授受」について付言すると、例えばお金のやり取りについて、

【総額15万円】
 内訳
  ・海洋散骨の手配 10万円
  ・運送サービス   5万円

この場合で、A社が15万円の振込を受け、A社からB社に対して5万円をキッカリ支払ったという場合。この場合は旅行業法には抵触せずです。そもそも旅行業に該当しない者同士で単にお金が動いたというだけのこと故。

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もっと堅くするのであれば、「B社と利用者を当事者とする『運送契約(運送サービスの当事者、金額等を明確に記載)』」なるものを作成し、A社が海洋散骨を受託する際に利用者に記入してもらう「海洋散骨の申込書」に併せて当該運送契約書にも記名押印してもらうのです。これにより、客観的に「海洋散骨」と「運送サービス」の主体、事業者等が明確に区別されますので、より好ましいと思われます。

 

なお、これらの運用をしたとしても、、いわゆる「バックマージン」をB社から受領する行為も「報酬を得て」に該当します。つまり、B社からA社への紹介手数料のようなものも「報酬を得て」に該当するということなので注意が必要です。

なお、付言すれば、当然の話ではありますが旅客の運送を行わない「代行散骨」は海上運送法も旅行業法も引っかからないということになります。

さて、いろいろ書きましたが、そういった意味でも、海洋散骨と旅行業登録の関係性は「任意」と解することもできると考えます。
必ず必要というより、「必要とする運用をするのであれば取ればいい」ということですね。


以上。

(これらの件に関しては一部念のため、所轄官庁である「観光庁旅行振興担当参事官室」に電話照会をしています)




【参考法令 旅行業法】
第二条

この法律で「旅行業」とは、報酬を得て、次に掲げる行為を行う事業(専ら運送サービスを提供する者のため、旅行者に対する運送サービスの提供について、代理して契約を締結する行為を行うものを除く。)をいう。
 旅行の目的地及び日程、旅行者が提供を受けることができる運送又は宿泊のサービス(以下「運送等サービス」という。)の内容並びに旅行者が支払うべき対価に関する事項を定めた旅行に関する計画を、旅行者の募集のためにあらかじめ、又は旅行者からの依頼により作成するとともに、当該計画に定める運送等サービスを旅行者に確実に提供するために必要と見込まれる運送等サービスの提供に係る契約を、自己の計算において、運送等サービスを提供する者との間で締結する行為
 前号に掲げる行為に付随して、運送及び宿泊のサービス以外の旅行に関するサービス(以下「運送等関連サービス」という。)を旅行者に確実に提供するために必要と見込まれる運送等関連サービスの提供に係る契約を、自己の計算において、運送等関連サービスを提供する者との間で締結する行為
 旅行者のため、運送等サービスの提供を受けることについて、代理して契約を締結し、媒介をし、又は取次ぎをする行為
 運送等サービスを提供する者のため、旅行者に対する運送等サービスの提供について、代理して契約を締結し、又は媒介をする行為
 他人の経営する運送機関又は宿泊施設を利用して、旅行者に対して運送等サービスを提供する行為
 前三号に掲げる行為に付随して、旅行者のため、運送等関連サービスの提供を受けることについて、代理して契約を締結し、媒介をし、又は取次ぎをする行為
 第三号から第五号までに掲げる行為に付随して、運送等関連サービスを提供する者のため、旅行者に対する運送等関連サービスの提供について、代理して契約を締結し、又は媒介をする行為
 第一号及び第三号から第五号までに掲げる行為に付随して、旅行者の案内、旅券の受給のための行政庁等に対する手続の代行その他旅行者の便宜となるサービスを提供する行為
 旅行に関する相談に応ずる行為
2 この法律で「旅行業者代理業」とは、報酬を得て、旅行業を営む者のため前項第一号から第八号までに掲げる行為について代理して契約を締結する行為を行う事業をいう。
3 この法律で「旅行業務」とは、旅行業を営む者が取り扱う第一項各号に掲げる行為(第十四条の二第一項の規定により他の旅行業者を代理して企画旅行契約を締結する行為及び第三十四条第一項の規定により行う第六項に規定する行為を含む。)又は旅行業者代理業を営む者が取り扱う前項に規定する代理して契約を締結する行為をいう。
4 この法律で「企画旅行契約」とは、第一項第一号、第二号及び第八号(同項第一号に係る部分に限る。)に掲げる旅行業務の取扱いに関し、旅行業を営む者が旅行者と締結する契約をいう。
5 この法律で「手配旅行契約」とは、第一項第三号、第四号、第六号(同項第三号及び第四号に係る部分に限る。)、第七号(同項第三号及び第四号に係る部分に限る。)及び第八号(同項第三号及び第四号に係る部分に限る。)に掲げる旅行業務の取扱いに関し、旅行業を営む者が旅行者と締結する契約をいう。
6 この法律で「旅行サービス手配業」とは、報酬を得て、旅行業を営む者(外国の法令に準拠して外国において旅行業を営む者を含む。)のため、旅行者に対する運送等サービス又は運送等関連サービスの提供について、これらのサービスを提供する者との間で、代理して契約を締結し、媒介をし、又は取次ぎをする行為(取引の公正、旅行の安全及び旅行者の利便の確保に支障を及ぼすおそれがないものとして国土交通省令で定めるものを除く。)を行う事業をいう。
7 この法律で「旅行サービス手配業務」とは、旅行サービス手配業を営む者が取り扱う前項に規定する行為をいう。

 

 


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