巨門

 

「紫微斗數」では巨門を暗曜としている。多くの人は「暗曜」の意味を誤解して、巨門自身に光輝がないと考えるが、実際はそうではない。巨門の暗というのは、この星が他の星曜の光輝を遮るのが得意だからで、したがって「巨門」という名は、巨大な障害物と理解できる。

世の中のいかなる障害物も、太陽の光だけは遮ることができないため、唯一太陽のみが巨門を恐れない。ただし、そのためには、太陽は入廟の光輝でなくてはならない。

≪紫微斗數全書≫にある「會太陽則吉凶相半」は、巨門が光り輝く太陽を見るのが好きであることを指している。巨門に光がなく、太陽の照射に頼らざるを得ないというのではなく、巨門が他の星曜を遮っている際、太陽がその障害の暗さを和らげるということである。

巨門は暗く覆い隠す力を持つため、人間関係に最も大きな影響を及ぼす。≪紫微斗數全書≫には、「其性則面是背非、六親寡合;交人初善終惡」と記されており、また「孤獨之數、剋剥之神」と呼ばれている。つまり人間関係を指している。

 

巨門は化祿・化權・化忌に変化しても、化科にはならない。これには深い意味がある。

巨門化忌は、障害・遮蔽の力を最も発揮できるため、巨門化忌はすべて是非口舌か、感情における口に出せない隠し事、または訴訟を表す。

巨門化祿は、口舌生財である。この意味を拡大すれば、現代社会のメディア界にも当てはまる。しかしその一方で、口は達者だが、内心は真の感情が乏しいことを表す場合もある。とりわけ「天機・巨門化祿」は特にそうである。

巨門化權を、昔の人は「凶為吉兆」と言った。つまり発生する出来事が凶に見えても、実は吉事であることをいう。これは障害の力が働き、障害を経て成功することを意味する。

巨門は障害が得意であるため、しばしば絶え間なく滔々と語り、社交の場では雄弁さが際立ち人目を引く。パフォーマンスに優れているから、化科は必要ないのである。

 

巨門の遮蔽・傷害の力は、どの星と同宮加会するかによって、発生する事象が往々にして異なる。例えば・・・

「天機巨門」、天機は權變(臨機応変な対応)の象徴で、巨門と同度すれば、臨機応変に対応すればするほど困惑が生じる。

「天同巨門」、天同は感情の象徴で、巨門と同度すれば、情緒における陰暗面となり、苦衷(辛く苦しい胸の内)を表すことが多い。

「太陽巨門」、太陽は発散の象徴で、人生においては表現となり、寅宮の太陽はまだ良いが、申宮の太陽は日没で、巨門と同度すれば、夕照が覆い隠されて光を失い、しばしば忍耐力不足・迫力不足を表す。

巨門独坐は、自ら障害を作り出し、疑念やトラブルが多く、たくさん学んでも精通せず、前進も後退も難しい。これらの特性については、≪紫微斗數全書≫で繰り返し述べている。

子午巨門独坐は「石中隱玉」で、その暗蔽の特性を知ることができる。

 

巨門の暗蔽は、その不吉な一面についてよく語られるが、「紫微斗數」ではどんな星曜であれ、吉凶両面の特性を持ち合わせているため、そのパフォーマンスが良好な場合も、しばしば節義のために命を捨てる。忠臣や烈士の多くは巨門独坐命宮である。

例えば巨門が辰宮坐命で、丁年生まれの人は巨門化忌である。所会する太陽は子垣にあり、巨門の暗を解消するに足りる光輝はないが、三方に天同化權の対拱があり、申宮無正曜が借用する寅宮の「太陰天機」は太陰化祿・天機化科で、祿權科忌「四化」がすべて逢う。

この命局の構造は、その人に善悪が多いものの、成り行き任せをよしとせず、大業を成し遂げることを表している。

あるいは、辰にある巨門が化祿、子にある太陽が化權で、対宮戌垣に文昌化忌の相照があり、そして辰宮が文曲化科なら、これもまた大格となり、突然の抜てきを受けてパフォーマンスを発揮し、富貴を取得できることを表す。しかし辰宮化忌の剛毅さは欠けている。

 

≪紫微斗數全書≫に記載されている古訣で、巨門に関するものは、大半が太陽と関わりを持っていると言える。

「巨日寅宮立命申、先馳名而食祿」および「巨日申宮立命寅、馳名食祿」。

これは申宮立命で宮垣に正曜がなく、対宮(寅宮)の「太陽巨門」を借りて星を配置する;または寅宮立命で宮垣に正曜がなく、対宮(申宮)の「太陽巨門」を借りて星を配置するものである。どちらも先に有名になり、その後に利益を得ることを表し、あるいは得られる利益の多少は、得られる名声の大小によって決まるとも言える。

「巨日命宮寅位、食祿馳名」、「巨日命立申宮亦妙」。これは寅申両宮の「太陽巨門」は、まず先に禄を得てから名声を得るという意味で、ちょうど「借星安宮」の状況と相反する。ただ、申宮の太陽は失地で、寅宮に及ばないから、古訣では「亦妙」とだけ言ったのである。

どちらも「巨陽」が吉曜と会合し、煞忌がない場合を指して述べている。

 

巨門と太陽の関係について、さらに二句の古訣がある。「巨在亥宮、日命巳、食祿馳名」、「巨在巳宮、日命亥、反為不佳」。

これは命宮が巳にあり、太陽守命で、対宮巨門が亥にある人で、まず食祿を得てその後に名声を得ることを表す。しかし状況が反対で、命宮が亥にあり、太陽守命で、対宮巨門が巳にある人は、「食祿馳名」を表さない。理由は亥宮の太陽は落陷、巳宮の太陽は廟旺で、落陷は巨門に遮られるからである。

このほか、「石中隱玉」格も実は巨門と関係がある。巨門が子午にあり、祿權科が会照すれば、いずれも合格で、最高峰の地位は取らないが富貴になれる。二者も子にある巨門が優勢で、辰宮では廟旺の太陽が得られ、午にある巨門は、戌宮の太陽が落陷しているので、格局はやや劣る。

「石中隱玉」格は、祿存と巨門が同行するより、巨門化祿のほうが勝ることも、知っておかなければならない。

 

巨門と天機は卯酉二宮で必ず同度するが、卯宮にある人が吉である。

「機巨」は動盪(不安定・動揺)の象徴で、その人は一業に専念することができず、興味があまりにも広く、粘り強い意志が足りないため、格局の高低は「福徳宮」を併せて調べる必要がある。

「機巨」立命者は、「福徳宮」が必ず巳亥にあり、天梁が独守する。卯宮立命者は、天梁が巳にあり、原則性が強いことを表す;酉宮立命者は、天梁が亥にあり、性質もまた揺れ動き、礼法にとらわれない才学を備えた名士風の気質と習癖を持つため、巳宮の天梁は卯宮の「機巨」の欠点を補えるが、亥宮の天梁はそれができない。

実は「機巨」立命は、祿を得ることを表している。巨門化祿・天機化祿、または天同化祿会照・太陰化祿会照のいずれも可能である。しかし太陽化祿は良くない。卯宮の「機巨」が太陽化祿の場合、必ず同時に羊陀の照射を受け、破格となるからである。

「機巨」は火鈴の同行を最も嫌い、古訣には「巨火鈴星逢惡限、死於外道」とあり、祿を見たとしても破格になる。