月の運行から生まれた太陰太陽暦

 

命盤を作成するには太陰太陽暦(たいいんたいようれき)(略して太陰暦)を用います。私たちが日常的に使っているのは西暦(グレゴリオ暦)ですが、紫微斗数に限らず、中国命術はどれも、西暦から太陰暦への変換が必要になります。

 

ここからは退屈な話が続きますが、どうしても外せない重要事項なので、お読みいただけたら幸いです。

 

まだカレンダーも時計もなかった太古の昔、人類が農耕に成功したのは、季節の移り変わりを知り、それを予測できたからです。教えてくれたのは天体でした。太陽と月と星の運行に一定の法則を発見し、また天文現象から四季の存在を発見しました。当時の治世者にとって、農耕の時期を予言することは最も重要な任務でした。みんなの命がかかっています。もし予言を外してしまえば、クーデターが起こるかもしれません。

 

古代中国人は、地面に立てた棒の影の長さから夏至と冬至を見きわめ、1年が約365日であることを知ったそうです。さらに星の運行から季節を判断しました。そうした中で、日常生活を営むのに最も便利だったのが、月の満ち欠けでした。

 

月は、まったく見えない状態から三日月・半月を経て満月の状態になり、ふたたび見えない状態へと規則正しい運行を繰り返します。その周期が29日か30日であることを、古代人は指を折って数えて知りました。こうして誕生したのが太陰暦です。農耕に利用したことから、「農事歴」「農民歴」とも呼ばれます。

 

※参考書籍

「暦のわかる本」 松田邦夫著 海南書房

「現代に息づく陰陽五行」 稲田義行著 日本実業出版社