紫微斗数の公式教科書が「紫微斗數全書」「紫微斗數全集」であることを、紫微斗数を少しでも学んだことがある人なら、ご存じかと思います。

 

市販されている「紫微斗數全書」は陳希夷(チェンシーイー)著となっていますが、実際は希夷の第18代子孫に当たる陳道(チャンタオ)に伝わった秘術を、明代の1550年に儒学者で地理学者の羅洪先(ルオホンシエン)が執筆したものです。

 

斗数命盤では十二宮に干支が割り当てられますが、子から亥までの十二支は初めから位置が決まっていて、甲から癸までの十干は命盤の人が何年生まれかによって決まります。その方法が「紫微斗數全書」に記されています。

 

なぜ十二宮に干支を配置する必要があるのか? 答えは下線部にあります。

 

 

排盤安星訣

 

◆安身命例・・・要知與五星大不同

 大抵人命俱從寅上起正月、順數至本生月止、又自本生月上起子時、逆至本生時安命、順至本生時安身。

 假如正月生、子時就在寅宮安命身;丑時逆轉丑安命、順去卯安身;寅時逆轉子安命、順至辰安身。餘宮倣此。

 又若閏正月生者、要在二月内起安身命。凡有閏月、俱要依此為例。

「納音甲子歌」務要熟讀、就如甲生人安命在寅、即起甲己之年、丙寅首是丙寅丁卯爐中火、卻去火局尋某日生起紫微帝王。(「納音甲子歌」は熟読しなければならない。たとえば甲年生まれの人は立命宮が寅にあり、甲・己の年は、「起五行寅例」によって寅宮の丙寅から始まる。「六十花甲子納音歌」の中に『丙寅丁卯爐中火』の一句があるので、五行局の火局に行き出生日を探して紫微星を求める)

如是正月初一生者是火局、酉宮有初一日、就從酉宮起紫微庶無差勿誤。若錯了則差之毫釐、失之千里矣。

 

◆安十二宮例【男女俱從逆轉、切記莫順去】

 

◆起五行寅例

 甲己之歳起丙寅 乙庚之歳起戊寅 丙辛之歳起庚寅 丁壬之歳起壬寅 戊癸之歳起甲寅

(甲年・己年生まれの人は、命盤中の寅宮の天干が『丙』に始まる。つまり丙寅 ~以下同様)

 

◆六十花甲子納音歌

 甲子乙丑海中金 丙寅丁卯爐中火 戊辰己巳大林木 庚午辛未路旁土 壬申癸酉劍鋒金

 甲戌乙亥山頭火 丙子丁丑潤下水 戊寅己卯城頭土 庚辰辛巳白蠟金 壬午癸未楊柳木

 甲申乙酉泉中水 丙戌丁亥屋上土 戊子己丑霹靂金 庚寅辛卯松柏木 壬辰癸巳長流水

 甲午乙未沙中金 丙申丁酉山下火 戊戌己亥平地火 庚子辛丑壁上土 壬寅癸卯金箔金

 甲辰乙巳覆燈火 丙午丁未天河水 戊申己酉大驛土 庚戌辛亥釵釧金 壬子癸丑桑柘木

 甲寅乙卯大渓水 丙辰丁巳沙中土 戊午己未天上火 庚申辛酉石榴木 壬戌癸亥大海水

 

◆安南北斗諸星訣 ~以降は星曜、大限・小限、命主・身主などの配置法が続く

 

 

おわかりいただけましたでしょうか?

答えは、生まれ年の年干によって「六十花甲子納音歌」から「五行局」を割り出し、「五行局」と「生日」から「紫微星の位置」を求めるためです。

紫微星の位置が決まれば、残り13正曜の配置も決まります。

 

公式教科書の「紫微斗數全書」には、宮干に関する記述はこれだけです。

ところが飛星四化は、十二宮干から四化星をあちこちに飛ばして吉凶を占い、得意になっています。そんな技法はもとより存在しないのに・・・です。

 

これは完全に台湾の命理界の中で、自分は賢いと思ってうぬぼれ、変なことをやりたがる、頭のおかしい人物が考え出したもので、人と違うことを求めて、一派を成すために編み出したでたらめなスタイルなのだから、学ぶ価値はありません。<對你有影響的 十干化忌 法雲居士著 金星出版より>

 

最近、「私の來因宮には問題があるので、詳しく鑑定していただけないでしょうか」という問い合わせが数件ありました。來因宮をことさら重視するのは、飛星四化から派生した欽天四化です。

 

私の紫微斗数には、來因宮も串聯もA-Aも存在しないので、もちろんお断りしました。

根拠不明・正体不明の技法を看命に使うなんて、私には怖くてできません。

紫微斗数を別の学問に変えてしまう集団の登場により、正統な紫微斗数の普及が妨げられています。正直言って、迷惑しています。

 

理論的にはすぐれているかもしれませんが、頭のおかしい人物が、近年になって編み出したでたらめなスタイルを、これこそが紫微斗数の奥義だ、などと宣伝されては困ります。本気で信じた人が気の毒です。金もうけに利用しないでいただきたいのです。