祿存星(ろくぞんせい)・・・五行属陰土、北斗第三星、化氣爵祿

天馬星(てんばせい)・・・五行属陽火、化氣驛馬、主遷動

 

「祿馬」とは、祿存と天馬である。この二個の星曜は本来それぞれ独立した性質を持っているが、それらが一緒に会合したとき、ひとつの特性を形成するので、斗数ではしばしば「祿馬」と呼んでいる。

 

祿存という星の基本的な意味は衣禄(衣服と給料)なので、財富の象徴と言える。斗数において祿存が入る宮垣の左右両垣には、必ず擎羊と陀羅が入り、「羊陀所夾」の組み合わせになるが、これにはとても深い意味があり、財富のありかを、左右から必ず誰かが狙っていることを示している。

 

このほか羊陀所夾の宮垣は、いつも口舌是非を伴うか、気をもんで働くといった性質があり、羊陀に挟まれた祿存は、財富を稼ぐと同時に、必ずトラブルと過労が伴うことをあらわしている。世の中には簡単に稼げるお金などないので、斗数の星曜排列は非常に論理的である。このロジックに気付くことは、推断斗数に欠かせない。

 

だから祿存は大吉星だなどと単純に判断すると、大やけどをすることになるので、自ら勉強せずに他人の受け売りばかりしている自称紫微斗数鑑定師は、くれぐれも注意されたい。

 

祿存は必ず羊陀所夾を受けるので、祿存と同宮するのがいったいどの正曜なのか、推断の鍵となる。前人は「祿存北斗第三星、真人之宿。主人貴爵、掌人壽基。帝相扶之施權、日月得之増輝、天府武曲為厥職、天梁天同共其祥」とした。

 

つまり、祿存と紫微・天相の同宮は権力を象徴する。太陽と太陰の同宮も好み、光輝を象徴する。天府・武曲に至っては本来が財星なので、当然に祿存の同宮を好む。天梁は蔭の象徴で、天同は福の象徴であるから、祿存との同宮を好み、福禄蔭庇の力が増加する。

 

祿存の基本意義は衣禄なので、一個人の寿命を推断するのにも用いる。寿命が長い人は当然に衣禄を使って楽しむ時間が長いから、天梁と祿存が同宮する命宮の人は、往々にして長寿である。

 

遷移宮の禄存が吉化を見れば、もちろん遠方の財を求めるのに適し、もし命宮に「祿馬」を見ても、同様の性質がある。

 

いわゆる「祿馬」を見るというのは、祿存と天馬が三方四正で命宮と同宮加会することである。これは動けば財が得られる兆候であるから、昔の人は遠方で財が得られるとした。現代は、動いて財を得るのは遠方に限らない。海運業や航空業に従事する多くの人は、動いて財を得るので、命宮にしばしば「祿馬」を見かける。

 

祿存と天馬の同宮または対拱は「祿馬交馳(ろくばこうち)」となり、命宮との相対位置は、①命宮同宮、②遷移宮同宮、③命宮と遷移宮に分居・・・である。その中で両星が遷移宮に同集したとき、動象は最も顕著となり、力も最大になる。

祿馬交馳は同時に文昌・文曲を見るのを最も好み、辛労を減少させる。火星・鈴星を見るのが最も悪く、一日中忙しく働き、さらには辛い生活や困難に見舞われる。