私は大学で中国文学を専攻しました。

現在は調べものをするのに、『超級クラウン中日辞典/三省堂』と『新選漢和辞典/小学館』をメインで使用しています。

 

日本語の音読みは中国語を起源とするもので、呉音・漢音・唐音があります。

呉音・・・主に百済人によって伝えられた中国南方系の読み方で、最も古いものです。
漢音・・・奈良時代から平安時代に伝えられた中国北方系の読み方で、正音とも呼ばれます。
唐音・・・主に鎌倉時代に伝えられた江南浙江地方の読み方で、僧侶が用います。

これら以外に、音読みにおいて中国漢字音との対応関係が見られる漢音・呉音・唐音に属さないものを慣用音と呼び、多くは間違って定着したものや発音しやすく言い換えられたものを指します。

 

以上から、紫微斗數甲級星の呼び名として最もふさわしい日本読みを考えて行きます。

( )内は漢音、< >内は呉音、{ }内は慣用音です。唐音は仏教読みなので、ここでは考慮しません。

 

紫 zi (シ)/微 wei (ビ)<ミ>

微をミと読むケースはほとんどありません。

⇒ 紫微ツー・ウエイはシ・ビ

 

天 tian (テン)/機 ji (キ)

漢音のみですから迷いなしです。

⇒ 天機ティエン・チーはテン・キ

 

太 tai (タイ){タ・ダ}/陽 yang (ヨウ)

光明を与えてくれる太陽をタヨウとかダヨウと読みますか?

⇒ 太陽タイ・ヤンはタイ・ヨウ

 

武 wu (ブ)<ム>/曲 qu (キョク)<コク>

武をムと読むのは武蔵野や武者くらいのもの。曲をコクと読むのは極めてまれです。

⇒ 武曲ウー・チュイはブ・キョク

 

天 tian (テン)/同 tong (トウ)<ドウ>

同は呉音ドウの独擅場です。

⇒ 天同ティエン・トンはテン・ドウ

 

廉 lian (レン)/貞 zhen (テイ)<チョウ>{ジョウ}

貞は日常的にあまり使わない漢字ですが、読みは十中八九テイです。

⇒ 廉貞リエン・チェンはレン・テイ

 

天 tian (テン)/府 fu (フ)<フ>

漢音・呉音ともにフですから迷いなしです。

⇒ 天府ティエン・フーはテン・フ

 

太 tai (タイ){タ・ダ}/陰 yin (イン)<オン>

平安時代の占い師を陰陽師オンミョウジといいますが、特殊な読み方です。

⇒ 太陰タイ・インはタイ・イン

 

貪 tan (タン)<トン>{ドン}/狼 lang (ロウ)

一般的に貪欲ドンヨクといいますが正しくはタンヨクです。中国読みもタンなので・・・

⇒ 貪狼タン・ランはタン・ロウ

 

巨 ju (キョ)<コ>/門 men (ボン)<モン>

巨をコと読む単語を私は知りません。巨人軍をコジングンと読めば笑われます。

⇒ 巨門チュイ・メンはキョ・モン

 

天 tian (テン)/相 xiang (ショウ)<ソウ>

相はショウ・ソウ互角ですが、相生ソウショウ・相剋ソウコクなど術語は呉音読みです。

⇒ 天相ティエン・シアンはテン・ソウ

 

天 tian (テン)/梁 liang (リョウ)<リョウ>

梁は漢音・呉音ともにリョウです。

⇒ 天梁ティエン・リアンはテン・リョウ

 

七 qi (シツ)<シチ>/殺 sha (サツ・サイ)<セチ>{セツ}

七のシツはまず使いません。殺はサツ読み以外の単語を知りません。

⇒ 七殺チー・シャーはシチ・サツ

 

破 po (ハ)<ハ>/軍 jun (クン)<クン>{グン}

破は漢音・呉音ともにハで迷いなく、軍は慣用音グンがすっかり定着しています。

⇒ 破軍ポー・チュンはハ・グン

 

文 wen (ブン)<モン>/昌 chang (ショウ)

文はブンでしょうが、この星の性質を考えるとモンのほうが味わいがあります。

⇒ 文昌ウエン・チャンはモン・ショウ

 

文 wen (ブン)<モン>/曲 qu (キョク)<コク>

文昌と武曲の読み方に倣います。

⇒ 文曲ウエン・チュイはモン・キョク 

 

左 zuo (サ)<サ>/輔 fu (フ)<ホ>

助けるという意味の輔弼という単語があり、ホヒツと読みます。

⇒ 左輔ツオ・フーはサ・ホ

 

右 you (ユウ)<ウ>/弼 bi (ヒツ)

左輔・右弼は左大臣・右大臣ですから、呉音ウが妥当でしょう。

⇒ 右弼ユー・ピーはウ・ヒツ

 

天 tian (テン)/魁 kui (カイ)<カイ>

これは検討する必要がありません。

⇒ 天魁ティエン・コイはテン・カイ

 

天 tian (テン)/鉞 yue (エツ)

こちらも検討の必要なし。

⇒ 天鉞ティエン・ユエはテン・エツ

 

祿 lu (ロク)/存 cun (ソン)<ゾン>

存はソン・ゾン互角でどちらも良さそうですが、祿が存在するという意味で・・・

⇒ 祿存ルー・ツンはロク・ソン

 

擎 qing (ケイ)/羊 yang (ヨウ)<ヨウ>

読み方はひとつしかありません。

⇒ 擎羊チン・ヤンはケイ・ヨウ

 

陀 tuo (タ)<ダ>/羅 luo (ラ)<ラ>

紫微斗數は道教哲学ですが、ここは仏教の曼陀羅を拝借しましょう。

⇒ 陀羅トゥオ・ルオはダ・ラ

 

火 huo (カ)<カ>/星 xing (セイ)<ショウ>

火は漢音・呉音どちらもカです。

⇒ 火星フオ・シンはカ・セイ

 

鈴 ling (レイ)<リョウ>/星 xing (セイ)<ショウ>

呼鈴も風鈴もリンで中国読みもリンですが、リンは唐音ですから迷った末に・・・

⇒ 鈴星リン・シンはレイ・セイ

 

化 hua (カ)<ケ>/祿 lu (ロク)

化粧とか化身とかありますが、漢音のカが優勢です。

⇒ 化祿ホワ・ルーはカ・ロク

 

化 hua (カ)<ケ>/權 quan (ケン)<ゴン>

権利・権力など漢音ケンが多用されています。

⇒ 化權ホワ・チュワンはカ・ケン

 

化 hua (カ)<ケ>/科 ke (カ)<カ>

科は漢音・呉音ともにカです。

⇒ 化科ホワ・コーはカ・カ

 

化 hua (カ)<ケ>/忌 ji (キ)

忌は漢音のキ読みしかありません。

⇒ 化忌ホワ・チーはカ・キ

 

ところが日本の紫微斗數関連の書籍には、武曲ブゴク・天府テンプ・巨門コモンなどとルビを振っているものがあります。なぜそのような読み方になったのか、ご存知の方がいたら教えてください。

 

余談ですが、紫微斗數の占い師の中にシビト・スウと発音する人が多く見られます。

紫微・斗數ですからシビ・トスウと発音しなければいけません。

シビト・スウと発音すれば死人数と聞こえてしまうのは、私だけでしょうか?