格局とは、構造様式のことです。

紫微斗數は命盤作成から始まります。その命盤は紫微在子から紫微在亥まで12の基本盤があり、それぞれに星が入る位置と組み合わせが決まっています。これが格局です。

 

命盤を命運計測の要とする紫微斗數では、最少14個から最多108個の星(実在しない虚星)を使用し、星は12宮のいずれかに収まります。すべての星は甲級から戊級まで5段階の等級に振り分けられていて、甲級が最大の威力を発揮し、等級が下がるにつれてその力は弱まります。この最大の威力を発揮する甲級星のうち、絶対に欠かせない核心の14星が甲級主星(正曜)と呼ばれるものです。

 

<14正曜>

 

紫微(しび)

「中心」「最高」を象徴します。いずれ何らかのトップに立つ素質を備えていますが、そのためには多くの人生経験を積んで、揺るぎない見解と人格を養わなくてはなりません。

 

天機(てんき)

「知恵」「変動」を象徴します。頭の回転が速く、ウイットに富み、計画や計略を立てさせたら右に出る者はいません。せっかちなうえに神経質なので、安定性には欠けます。

 

太陽(たいよう)

「活動」「男性」を象徴します。太陽のごとく休まず活動を続けます。公正無私で正義感が強く、別け隔てなく人を愛し、物惜しみせず人を助けます。寂寞に堪えられません。

 

武曲(ぶきょく)

「財力」「武器」を象徴します。短気で行動は迅速、戸外生活を好みます。信用を重んじ義理堅く、その断固とした態度には迫力があります。神経過敏で簡単に怒ります。

 

(てん)(どう)

「福寿」「快楽」を象徴します。児童のように天真爛漫で遊び好き。謙虚で礼儀正しく、人当たりがよいため多くの友人に恵まれます。反面、気迫に欠け忍耐力もありません。

 

(れん)(てい)

「極端」「囚捕」を象徴します。白黒はっきりしています。自由を発揮し、物事に積極的に取り組み、権力を握ります。交渉能力は抜群です。焦ると短絡的な行動に出ます。

 

天府(てんふ)

「財庫」「司令」を象徴します。保守的で変化を望まず、安定の中に発展を求めます。自分が正しいと信じる意見を堅く守り、品格を重視します。のんびり屋で大雑把です。

 

太陰(たいいん)

「感性」「女性」を象徴します。やさしく同情心に富み潔癖です。生活の風情を重んじ多芸多才で、一生快楽を味わえます。ただ、依頼心が強く、何事も引き延ばしにします。

 

(たん)(ろう)

「欲望」「善悪」を象徴します。現実欲求の塊で、興味は広範囲に及びます。誰とでもすぐに仲良くなり人気を集めます。大胆で勝手気まま、愛憎心が半端ではありません。

 

巨門(きょもん)

「口舌」「是非」を象徴します。勤勉で苦労をいとわず、研究や分析能力に長けています。口が達者で批評好き。疑い深く偏屈で人情世故に疎く、トラブルを引き起こします。

 

天相(てんそう)

「規律」「犠牲」を象徴します。穏やかで慎み深く、正義感にあふれています。忠実かつまじめに仕事に取り組むのですが、同情心の厚さが裏目に出て人から利用されます。

 

(てん)(りょう)

「庇護」「教導」を象徴します。老人のような落ち着きがあり、正直無私で、困っている人を見たら救わずにはいられません。教え諭すのが得意ですが、ひとりよがりです。

 

七殺(しちさつ)

「独立」「生死」を象徴します。果敢に取り組もうとする精神はピカイチです。勇気が漲り、積極的に動き回り、独立独歩を望みます。束縛を嫌うため変動は少なくありません。

 

破軍(はぐん)

「破壊」「創新」を象徴します。古いものを捨てて新しいものを確立する、この繰り返しです。指導力に富んでいますが忍耐力はなく、物事を持続できず起伏が多くなります。

 

 

<正曜を8グループに分類>

 

正曜は命盤12宮のいずれかに収まりますが、単星での配列は決まっていて2系統があります。少し難しくなりますが、命盤を理解するのに役立ちます。

 

◆安南北斗諸星訣(紫微斗數全書)

「紫微天機逆行旁 隔一陽武天同當 又隔二位廉貞地 空三復見紫微郎」

 

紫微星系・・・反時計回りに紫微・天機・中一宮・太陽・武曲・天同・中二宮・廉貞・中三宮・紫微に戻る

 

 

 

 

天同

 

武曲

 

廉貞

 

 

紫微星系

配列

 

太陽

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫微

 

天機

 

                 *紫微星のスタート位置は任意です。

 

◆安南北斗諸星訣(紫微斗數全書)

「天府太陰與貪狼 巨門天相及天梁 七殺空三破軍位 八星順數細推詳」

 

天府星系・・・時計回りに天府・太陰・貪狼・巨門・天相・天梁・七殺・中三宮・破軍・中一宮・天府に戻る

七殺

 

 

 

 

 

 

 

天梁

 

 

天府星系

配列

 

破軍

 

天相

 

 

 

 

 

巨門

 

貪狼

 

太陰

 

天府

 

                         *天府星のスタート位置は任意です。

 

紫微星系のうち紫微・廉貞・武曲は三合の位置関係にあります。         ⇒紫廉武①

天府星系のうち七殺・破軍・貪狼は三合の位置関係にあります。         ⇒殺破狼②

天府星系のうち天府・天相は三合の位置関係にあります。             ⇒府相③

紫微星系のうち太陽・天機・天同は三合+中一宮の位置関係にあります。   ⇒陽機同④

天府星系のうち太陰・巨門・天梁は三合+中一宮の位置関係にあります。   ⇒陰巨梁⑤

 

加えて、上記5グループによる組み合わせがあります。①②、①③、④⑤同士は組み合わせを作りますが、それ以外が組み合わせを作ることはありません。          ⇒紫廉武+殺破狼⑥

                                            ⇒紫廉武+府相⑦

                                            ⇒陽機同+陰巨梁⑧

 

このように、正曜は以上の8グループに分類することができます。8グループの全組み合わせは次の19通りです。

 

紫微・廉貞・武曲       七殺・破軍・貪狼       天府・天相・空宮       *空宮とは星が入らない宮のこと

紫殺・廉破・武貪       紫破・廉貪・武殺       紫貪・廉殺・武破

紫府・廉相・武曲       紫相・廉貞・武府       廉府・武相・紫微

太陽・天機・天同       太陰・巨門・天梁       陽陰・天梁・空宮       陽巨・空宮・空宮       陽梁・空宮・太陰

機陰・天梁・天同       機巨・空宮・天同       機梁・空宮・同陰       同巨・天機・空宮       同梁・天機・太陰

 

 

<8グループの役割>

 

()(れん)()

紫微と廉貞は社会的地位の向上に作用し、武曲は財力の強弱に作用します。ですから、紫廉武の働きが良ければ、高い社会的地位を得て豊かで満ち足りた生活を送ることができます。働きが悪ければ、社会的地位は低いままで収入も少なく困窮します。

 

殺破(さっぱ)(ろう)

殺破狼は人生を必死に闘い抜こうとするエネルギーの源です。それと同時に、運気が循環する際に生じる起伏の法則性をも支配します。殺破狼の働きが良ければ、思いも寄らない成功を収めて世間から称讃されます。働きが悪ければ、自分自身で人生を壊してしまい世間から嘲笑されます。

 

府相(ふそう)

天府はあらゆる財を残そうと努力し、天相は何らかの痕跡を残そうと努力します。府相は外部から強い刺激を受け続けるため、必然的に守りの姿勢に入ります。府相の働きが良ければ、大きな遺産を後世に引き渡すことができます。働きが悪ければ、守りに徹しすぎて自己満足に終わります。

 

陽機(ようき)(どう)

陽機同は動くことにかかわりを持ちます。太陽は身体の動き、天機は頭脳の動き、天同は感情の動きに作用します。陽機同の働きが良ければ、心身ともに健全で福運に恵まれます。働きが悪ければ、才能はあってもいたずらに動き回るばかりで成果が得られず、感情が混乱して不幸です。

 

陰巨(いんきょ)(りょう)

陰巨梁は培うことにかかわりを持ちます。太陰は感性を培い、巨門は知識を培い、天梁は先人の恩恵を培います。陰巨梁の働きが良ければ、培ったものをさまざまな手段で表現することができます。働きが悪ければ、せっかく培っても結局は自分の内部で腐らせてしまいます。

 

紫廉武+殺破狼

組織の中で集団を率い、表街道を堂々と歩んで地位と財を引き寄せようとする紫廉武に対し、自分の力だけを頼りに危険を顧みず勝負を仕掛けて行く殺破狼との配合は、紫廉武のみの場合と比べて、人生に対する積極性と起伏が増します。性格も複雑になり、それが強烈な個性となって表れます。

 

紫廉武+府相

紫微・廉貞・天相は仕事の星であり、武曲・天府は銭財の星ですから、ますます現実的になって物質を重視し、精神面の影響をほとんど受けません。安定志向の中に斬新さと進取の気性が加わり、トップに君臨することができます。また、剛の紫廉武と柔の府相との配合はバランス良好といえます。

 

陽機同+陰巨梁

外向の陽機同と内向の陰巨梁の配合は、一種の二面性が生まれます。どちらかというと長所を伸ばし合う結果になりやすく、頭脳はいよいよ冴えわたって聡明さを増し、主に文化方面でその道の専門家として名を馳せることができます。公平無私で慈悲心が厚く、清高な暮らしを好みます。

 

このように紫微斗數は格局によって成り立っています。入る宮によって星の輝度(力量)が異なりますし、組み合わせによって星の性質が変化します。単星の性質を覚えるのは重要ですが、それだけを学んでも実用には役立ちません。

紫微斗數の原典と言われている『紫微斗數全書』の内容の、ほとんどが格局の説明です。冒頭の<太微賦>からすでに、例曰・・「祿逢沖破(祿存逢到天空・地劫)、吉處藏凶;馬遇空亡(天馬遇到空亡同宮)、終身奔走」とあるように。

だから紫微斗數を学習しようとするなら、まずは格局から入るべきで、たとえば飛星法から入っても混乱して、中途で逃げ出すことになりやすいでしょう。